VWグループ、EV普及を加速…電池生産と充電インフラを強化

ドイツなど欧州6か所に大規模バッテリー工場を建設

スペインをバッテリーと新型EV生産の戦略拠点に

北米や欧州で公共充電インフラの強化に乗り出す

フォルクスワーゲン ID.4 GTX
  • フォルクスワーゲン ID.4 GTX
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  • 中国の電池メーカーの「Gotion High-Tech」と2025年に生産を開始するためのテクニカルパートナー契約を締結したVWグループ
  • VWグループの子会社のElectrify Americaは北米の充電インフラを現在の2倍弱に増やし2025年までに1万か所の充電ポイントを備えた合計1800の急速充電ステーションを展開する計画

フォルクスワーゲングループ(Volkswagen Group)は7月14日、EVの普及に向けた動きを加速するために、バッテリーの生産と充電ネットワークを強化すると発表した。

独自のバッテリーテクノロジー、充電インフラ、エネルギーサービスは、新しいモビリティの世界における重要な成功要因になるという。フォルクスワーゲングループは、電力関連のビジネスを2030年までに中核事業とし、二本の柱である「バッテリーセルとシステム」と「充電とエネルギー」は、新しく創設された「テクノロジー」部門で統合する計画だ。

フォルクスワーゲングループは、新しいパートナーシップを確立し、原材料からリサイクルまで、すべてに取り組むことにより、適切に管理されたバッテリーサプライチェーンを構築することを目指している。その目標は、バッテリーを製造するために、最も持続可能で費用対効果の高い方法として、バッテリーバリューチェーンのクローズドループを実現することにある。

ドイツなど欧州6か所に大規模バッテリー工場を建設

フォルクスワーゲングループは、この目標を達成するために、バッテリーの性能を引き上げ、複雑さを軽減している。2030年までにコストを最大50%削減し、グループ内の車両への搭載率で最大80%が可能な統一規格のバッテリーセルフォーマットを導入する。2030年までに、ヨーロッパ内に総生産能力240GWhの6つの大規模バッテリー工場「ギガファクトリー」を建設することで、バッテリーの安定供給を目指す。

スウェーデン・シェルレフテオーに建設される最初の工場は、ノースボルトによって運営される。フォルクスワーゲングループは、ノースボルトに5億ユーロを追加投資し、2023年の生産開始に向けてノースボルトと協力していく。

フォルクスワーゲングループは7月13日、ドイツ・ザルツギッターに2番目のギガファクトリーを建設するため、中国の電池メーカーの「Gotion High-Tech」と、2025年に生産を開始するためのテクニカルパートナー契約を締結した。このドイツの工場において、ボリュームセグメント向けの統一規格のセルを生産するために、両社は協力する。

スペインをバッテリーと新型EV生産の戦略拠点に

フォルクスワーゲングループは、3番目のギガファクトリーとして、スペインを電動化の戦略的柱にすることを目指している。スペインに本拠を置くグループ傘下のセアトと協力して、電気自動車のバリューチェーン全体を構築することを検討している。より大規模な変革プログラムの一環として、ローカライゼーションにより、スペインでのEV生産計画のためのバッテリー供給が確保されるという。

フォルクスワーゲングループは、戦略的パートナーとともに、このギガファクトリーの立ち上げを検討している。2020年代末の最終拡張段階では、このファクトリーで年間容量40GWhを実現することを目標としている。

また、フォルクスワーゲングループは、2025年からスペインで、小型EVファミリーを生産する予定だ。最終的な決定は、市場の要件と補助金によって、変動する可能性があるという。

北米や欧州で公共充電インフラの強化に乗り出す

フォルクスワーゲングループは、ハードウェアの充電からエネルギー管理サービスまでのワンストップソリューションを、顧客に提供する予定だ。最終的には、充電とエネルギーのシステム全体を構築し、顧客にとって利便性の高い充電サービスを確立し、さらなるビジネスチャンスを生み出すことを想定している。これらのテクノロジーとサービスは、フォルクスワーゲングループの中核事業に位置付けられる。

さらに、フォルクスワーゲンは、中国の「CAMS」や米国の「Electrify America」など、成功を収めたグループ イニシアチブに基づいて、アジア、ヨーロッパ、北米の公共充電インフラを強化する予定だ。

フォルクスワーゲングループの子会社のElectrify Americaは7月13日、米国とカナダの充電インフラを現在の2倍弱に増やし、2025年までに 1万か所の充電ポイントを備えた合計1800の急速充電ステーションを展開する計画を発表した。このインフラ拡張により、最大出力150kWと350kWの充電器の展開が加速し、北米でより多くのEVを販売できる道が開かれるという。

同時に、グループはヨーロッパの顧客に、利便性の高い充電を提供するための新しいパートナーシップを、BP、Iberdrola、Enel Xなどと締結した。フォルクスワーゲングループとEnel Xは7月13日、イタリアでEVの普及を促進するための合弁事業を立ち上げると発表した。この合弁事業では2025年までに、イタリア全土で3000を超える最大出力350kWの充電ポイントを備えたハイパワー充電(HPC)ネットワークインフラを所有・運用する予定だ。

なお、フォルクスワーゲングループは、ヨーロッパ全体に1万8000か所、中国に1万7000か所、米国とカナダに 1万か所のHPCポイントを設置する予定、としている。

《森脇稔》

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