新連載[カーオーディオユニットの取り付け]デッドニングって、何?…取り付けにまつわる疑問をすべて解決!

カーオーディオに興味を抱くドライバーは数多い。しかし、専門店に入りづらい…、そう感じている人も少なくない。不安要因の1つとなっているのは「取り付け代」だ。どのようなことが行われるのか、そしてそのコストがどのくらいなのかを心配する人が多いのだ。

当特集ではそこのところを明らかにしていこうと試みている。各回ごと1店のカーオーディオ・プロショップに直撃し、「取り付け」作業の内容から費用の目安までを訊いている。今回は、広島県広島市の実力店、“M.E.I.”の山本さんに話を訊いた。テーマは“デッドニング”だ。これが何なのか、そして作業の意図、効果、コストまでを教えてもらった。

“デッドニング”とは、クルマのドア内部の音響的なコンディションを上げるための作業!

最初に、“デッドニング”とは何なのかを教えてもらった。

「“デッドニング”とは、クルマのドア内部の音響的なコンディションを整えるための作業です。カー用のスピーカーはユニットが裸の状態で売られています。対してホームオーディオ用のスピーカーはユニットが箱(エンクロージャー)に取り付けられて完成品となっています。つまり箱もスピーカーの一部です。

で、カーオーディオではドアが箱の役目を果たすのですが、これはそもそも音響パーツとして作られていません。なのでそれを“スピーカー”へと仕立て上げる必要があるんです。その作業のことが、一般的に“デッドニング”と呼ばれています。

ちなみに“デッドニング”の“デッド”とは、音響の分野では“響きにくいこと”を表す言葉として使われています。対義語は“ライブ”でこちらは“響きやすいこと”を表します。ちなみに“デッドニング”において中心的に行われるのは、ドア内部の鉄板の共振を止める作業です。ゆえに、鉄板の響きを止めるという意味で“デッドニング”という言葉が使われているのだと思います。

なおこれは“ドアチューニング”と呼ばれることもありますし、“防振”とか“制振”と呼ばれることもあります。当店では、“防振”という言葉を使うことが多いです。

では、当店ではどのようなことを行っているのかを具体的にご説明していきますね。3タイプのメニューをご用意しています。その中でもっともライトなのが、『防振プラン1』です。

ところで当店では、スピーカー交換のセットプランをさまざまラインナップしていて、この『防振プラン1』は基本的にすべてのセットプランに含めてあります。で、各セット内ではこれを1万5000円(税抜)として計上しています。でももしもスピーカー交換をせずに『防振プラン1』だけをオーダーいただく場合には、2割程度価格が上がります。セットプランでは、割引きしてご提供していますから」

アウターパネルへの“拡散材”の装着例(施行ショップ:M.E.I.<広島県>)。

まずはスピーカーの“背圧”を処理し、もっとも共振しやすい箇所の“制振”を実行!

「『防振プラン1』の作業内容は以下のとおりです。スピーカーの奥側のアウターパネル(ドアの外側の鉄板)に対して、“背圧処理”と“制振”を行います。“背圧”とは、スピーカーの裏側から放たれる音エネルギーのことを指します。スピーカーは振動板を前後させて空気を震わせ音を伝えるわけですが、この営みは裏側でも行われていて、それにて発生する音エネルギーはさまざまな悪さをしでかします。例えば、アウターパネルで跳ね返ってスピーカーに戻り振動板の動きにストレスを与えます。まずはその影響を少なくさせることが重要だと当店では考えています。吸音材と拡散材とを用いて、“背圧”を吸収し分散させます。

さらにはその周辺(30cm四方くらい)に制振材を貼り、鉄板の共振を抑えます。ドアの鉄板は“背圧”によっていとも簡単に共振します。共振すると音を発し、その音がスピーカーから放たれる音を濁します。なので『防振プラン1』では、もっとも共振しやすい部位であるスピーカーの奥側周辺に制振材を貼り共振を抑えます。

続いて、スタンダードプランとなる『防振プラン2』についてご説明していきます。当プランでは『防振プラン1』の内容に、アウターパネル全体の制振、インナーパネルのサービスホールを塞ぐ作業、インナーパネルの制振、この3つの作業が加わります。費用は5万円から6万円(税抜)くらいです。

なお、スピーカー交換のセットプランをオーダーいただいた場合には、『防振プラン1』はセットに含まれていますので、3万5000円(税抜)を追加していただければそれを『防振プラン2』へとバージョンアップさせられます」

内張りパネルへの“デッドニング”の施工例(施行ショップ:M.E.I.<広島県>)。

ドア内部のサービスホールを塞いで、裏側の音の回り込みを抑制!

「なお『防振プラン2』で行われるサービスホールを塞ぐ作業には、目的が2つあると考えています。1つは、スピーカーの裏側から放たれる音をドア内部に閉じ込めることです。ホーム用のスピーカーの箱は、主にそのために存在しています。裏側の音と表側の音とは耳で聴く分には同じ音なのですが、音波としては真逆の関係にあります。それが同一空間で交わると、キャンセリング(打ち消し合い)を起こしてしまうんです。

しかしサービスホールを塞げば、裏側の音が表側に回り込むのを抑制できます。そしてもう1つの目的は、内張りパネルの共振を少なくすることです。サービスホールを塞げば、裏側の音が内張りパネルまで到達するのを少なくできますので、パネルの共振を緩和できます。

その上でアウターパネル全体とインナーパネルの共振も抑えれば、ドア内部の音響的なコンディションはかなり向上します。ここまで行えば、交換するスピーカーの性能を相当に引き出せます。

そして、3つめのメニューとして『防振プラン3』をご用意しています。当メニューでは、内張りパネルへの制振材の貼り付けと、パネル内の空間への吸音材の装着を行います。これらの作業によりパネルの共振を抑えることと、空間内で“背圧”が悪さをすることを防ぎます。費用は、プラス3万円から3万5000円(税抜)ほどです。

ところで“デッドニング”はDIYで行われることも多いのですが、より高い効果を得たいとお考えの方にはプロショップでの施行をお薦めしたいですね。プロはノウハウを多々持っていますから。ちなみに当店では、雨水対策やメンテナンス性の良さも考慮して作業を実行しています。ドア内部には雨水が浸入してきますので、耐久性を上げるためにはそれへのケアはマストです。また、パワーウィンドウ等の配線を表に出しておくなどして、何かあったときに整備士の方々が作業しやすいように工夫して施行しています。

“デッドニング”にご興味があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。詳しくご説明いたします。お待ちしています」

《太田祥三》

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