変異ウイルスの拡大も懸念されるなかで、政府が東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県に発令している緊急事態宣言を3月21日の期限で解除することを正式に決定した。
菅首相は記者会見で「リバウンドが懸念されている」と指摘し、再流行の予兆をつかむためのPCR検査の拡充など、5つの対策に全力を挙げる方針を示した。
きょうの読売、産経、日経が1面トップで報じているが、朝日、毎日、東京は「東海第二原発の運転差し止め」を命じる判決の記事を大きく取り上げている。東海第二原発の運転差し止めのニュースはともかく、緊急事態の解除については、各紙が社説のテーマにも取り上げており、読売は「リバウンド回避へ警戒怠るな」。朝日も「展望みえぬ宣言解除、再拡大阻止に全力をあげよ」。毎日は「懸念を拭う対策が必要だ」、産経も「変異株把握に全力挙げよ」、東京は「感染再拡大を懸念する」。そして日経は「緊急事態の全面解除後も万全の対策を」などとしている。
これから花見や年度替わりの歓送迎会などのシーズンを迎えるが、経済活動が活発化すれば、感染力が既存株よりも強いとされる変異ウイルスの広がりを懸念する指摘も少なくない。
その経済活動をバックアップする政府の観光支援事業「Go Toトラベル」については、解除後も停止が継続される見通しだが、きょうの産経によると、「感染が落ち着いた一部地域から実施される可能性が高い」とも伝えている。政府内では早ければ4月中にも部分再開する案が浮上しており、その後、ゴールデンウイークが明ける5月に全国に拡大する動きもみられるという。
どんなにドライブテクニックに優れているドライバーでも、ブレーキとアクセルを同時に踏み込むことはむずかしい。宣言が解除されても油断は禁物、身の安全を守るには、マスク、手洗いは当たり前で、引き続き不要不急の外出を自粛するしかないようで、何のための緊急事態の解除なのか、改めて理解に苦しむ。
2021年3月19日付
●緊急事態21日解除決定、新型コロナ再拡大阻止へ5対策、変異型警戒やPCR拡充(読売・1面)
●日本旅行赤字127億円、過去最悪、店舗半減・人員3割減へ(読売・12面)
●海外と往来遠い再開変異腫懸念最大1日2000人(朝日・4面)
●日立新型車両ワシントン地下鉄に、受注最大800両2400億円、24年納入へ(朝日・8面)
●トヨタ北米4工場一部停止へ(朝日・8面)
●Go Toトラベルは停止継続、早ければ4月に部分再開か(産経・12面)
●東海第二運転認めず避難計画「不十分」(東京・1面)
●東芝、異例の株主提案可決(日経・2面)
●日経平均3万円回復、米の緩和長期化に期待(日経・5面)
●日産、車体に再生アルミ、まずSUV「ローグ」に(日経・15面)