【F1 アブダビ若手テスト】角田裕毅と佐藤万璃音、アルファタウリ・ホンダで120周以上を走る

#38 角田裕毅(F1アブダビ若手テスト)
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  • アルファタウリのトスト代表と話す角田。
  • #39 佐藤万璃音(F1アブダビ若手テスト)
  • #39 佐藤万璃音(F1アブダビ若手テスト)

現地15日、F1の「ヤングドライバーテスト」(若手テスト)がアブダビで開催された。アルファタウリ・ホンダから角田裕毅(つのだ ゆうき)と佐藤万璃音(さとう まりの)が参加し、それぞれ120周以上の貴重な走行経験を積んでいる。

近代F1では、昔のように各チームが頻繁かつ自由には最新型マシンでのテストができない決まりになっている。最終戦アブダビGP(ヤス・マリーナ・サーキット)の後、同地にて当年型マシンを使用して行なわれる“若手テスト”は、その名の通り、基本的にはF1実戦経験のない(もしくは実戦経験が豊富ではない)若手ドライバーに最新のF1マシンでの実走機会を与えることが主目的だ。

ただ、テストには中堅やベテランの参加も見られる(今季レギュラーのレースドライバーだった者はいない)。チーム事情等によるもので、テスト&開発系ドライバーを出走させるところもあれば、ルノーは来季自陣からF1に実戦復帰する元王者フェルナンド・アロンソを参加させている(F1の実戦から2年遠ざかっているアロンソの今テスト参加可否は話題になっていたが、12月に入ってから参加が認められた。なお、ルノーは来季から「アルピーヌ」になる)。

テストは1デイ(昨年は2デイだった)。参加したのは8チームで、全15人がステアリングを握った。そのなかには来季ハースで自身初めてF1のレースドライバーとなるミック・シューマッハも含まれている。

2020年の最終戦で優勝したレッドブル・ホンダはユーリ・ビップスとセバスチャン・ブエミのコンビでテストに臨んだ。ビップスは若手だが、ブエミは元F1レギュラーで、近年は各種トップシリーズで多岐にわたる活動を展開している選手だ。しかも日本に馴染みが深く、WEC(世界耐久選手権)ではトヨタの、フォーミュラEでは日産の主戦ドライバーとして活躍、F1ではホンダ製パワーユニット(PU)搭載のレッドブルで仕事をするという“マルチ”なドライバーである。

そして今回、日本にとって最注目のチームはアルファタウリ・ホンダだ。角田裕毅(20歳)と佐藤万璃音(21歳)、今季のF2を戦った若手両名を起用しており、なかでもF2で年間総合3位となった角田はレッドブルとホンダの育成プログラム選手。角田は来季アルファタウリ・ホンダでのレースドライバー就任が有力視されている(アルファタウリはレッドブルの系列チーム)。

その角田はアルファタウリAT01・ホンダで晴天の下、計123周を走り、ベストタイムは1分37秒557。マシンもテスト内容も違うなかでの順位比較にあまり意味はないが、全体5位であった。大きなトラブルはなく、予定通りの(ロングランやショートランの)プログラムをこなせたとのこと。計123周(約683km)はF1の通常レース距離の2倍以上という数字になる。

#38 角田裕毅のコメント(ホンダ公式サイトより)
「今日は11月のイモラでのF1初走行時の倍以上の距離を走ったので少し疲れましたが、とても楽しい一日になりました。前回は2018年型のマシン、今回は2020年型マシンを使ってのドライブで、前回よりもダウンフォースとパワーが大きく上がっており、まずはそれに驚きました」

「イモラでの経験も活かしながら走行を重ね、そのなかで自分が学ぶべきこと、改善していくべきことをたくさん見つけていきました。そして、それらの課題に対してチャレンジを重ねながら、ひとつひとつ克服していくというプロセスを続ける一日になりました。自分としては今日の走りを通して多くを学び、ドライバーとしてさらに進化することができたと感じています」

「ここからはオフシーズンに入ります。日本に戻って美味しいごはんを食べてたっぷり充電するとともに、さらに強いドライバーになるため、新たなシーズンに向けてトレーニングを重ねていきます」

佐藤もアルファタウリAT01・ホンダに搭乗、計127周という全体で2番目に多いラップ数を走り、ベストタイムは1分38秒495(13位)だった。

#39 佐藤万璃音のコメント(アルファタウリ公式サイトより)
「まず、このチャンスを与えてくださったアルファタウリのすべての人に感謝したいです。たくさんのラップ数を走ることができました。ソフトタイヤでの走行の際にトラフィック(渋滞)につかまってしまったことは残念でしたが、それまではうまくいっていたと思います。とはいえ、今日、自分がすべてを出し尽くせたとまでは言えませんけどね。F1初走行は本当に楽しく、素晴らしい経験でした。近いうちにまた乗りたいです」

今回のテストの全体最速タイムはアロンソ(ルノー)がマークした1分36秒333だった。ミック・シューマッハ(ハース)は1分39秒947で15位。

アルファタウリのフランツ・トスト代表は日本の若手2名を起用した今回のテストに関し、チームと両選手にとって充実した内容の一日であった旨をコメントしている。

今後、角田に関しては来季アルファタウリ・ホンダからのF1デビュー正式決定という報の到着が待たれるところ。F1へのファーストステップを踏んだ佐藤には、独力で今回のチャンスをつかんだ気概と仕事ぶりを武器に、次はF2での上位成績獲得、実績づくりに期待がかかる。

[追記] 日本時間16日夕刻、アルファタウリ・ホンダが来季2021年のレースドライバーに角田裕毅を起用することが正式発表された。

《遠藤俊幸》

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