【プジョー 208 新型試乗】SUVライクにイメチェン!1900kmを走ってみた実力は…内田俊一

プジョー 208GT Line
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欧州のカーオブ・ザ・イヤー2020およびレッドドットデザインアワード2020を受賞したプジョーの新型『208』が日本でも販売開始した。そこで早速1900kmほどテストに連れ出し、その実力を試してみた。

プジョー208はPSAグループの最新世代の車両プラットフォーム「CMP」(Common Modular Platform) を採用。このBセグメントおよびCセグメント専用の新しいプラットフォームは、ディメンジョンとパワーユニットのバリエーションに高い柔軟性を備えている。

その最大の特徴は居住空間、ラゲッジスペースなどを限りなく同一にしつつ、BEVと内燃機関(ICE=Internal Combustion Engine)の全ての動力源に対応。日本へも、ICEとともにフル電動の『e-208』の両方が導入される。

評価の高い1.2リットル3気筒ターボ

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今回テスト出来たのは最上級グレードの「208 GT Line」。そのパワートレインはPure Tech 1.2リットルターボエンジンだ。このエンジンは世界各国の自動車評論家やジャーナリストの投票によって決められるインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーで2015年の登場以来5年連続で選出されたマスターピースともいえるもので、3気筒のイメージを覆す低振動、低騒音とドライバーの意図に忠実なトルクデリバリーに定評がある。

最高出力は100ps/5500rpm、最大トルクは205Nm/1750rpmを発生。そこにBセグメント最多段数(2020年7月現在)となる電子制御8速オートマチックトランスミッション、EAT8が組み合わされる。

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この208の大きな特徴のひとつが、プジョーお得意の「i-Cockpit」がバージョンアップし「3D i-Cockpit」となったことだ。具体的にはヘッドアップメーターが3D表示になったことで、ドライバーは情報に対して0.5秒ほど反応時間を短縮する効果が得られたという。

テスト車のGT Lineにはホールド性の高いダイナミックシートが装備されているほか、シート素材にアルカンタラ&テップレザーを採用することでスポーティーなドライビングを支え、モダンなデザインと質感を創造しているという。因みに「Allure」グレードには長時間ドライブでも疲れにくいコンフォートシートを設定。ファブリック&テップレザーのカジュアルな雰囲気がドライビングを引き立てる。

SUVライクでスポーティなデザインに進化

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パールホワイトに塗られた208 GT Lineのキーを受け取り、一回り外観を見てみる。もっとも目に付くのは前後フェンダーなどにあしらわれたクラッティングだ。SUVライクであるとともに、タイヤを大きく見せる効果もあり、4輪がしっかりと大地を踏みしめ安定感が増した印象も与えている。

ヘッドライトとリアコンビネーションランプにはプジョーのアイデンティティであるライオンの爪を意識した3本のラインが入っており、これが少しスポーティーさを感じさせ好感が持てた。

前述した3D i-Cockpitのポジションは、多少慣れは要するものの、街中を少し走らせているうちに全く意識しなくなるものだ。更に3Dメーターは、どんな状況でも確実に情報が得られ、老眼が進んだ筆者でも前方から視線を移した際にも非常に見やすいものであった。また小径ステアリングも街中では扱いやすく、かつキビキビさが感じられ、スポーティーな走りを楽しむことができる。

そして走り始めた瞬間から、ボディーがしっかりしていると感じた。これはBEVも視野に開発されたCMPのおかげで、バッテリーを搭載するためフロア周りの剛性を高めた結果であろう。これであればきっと直進安定性が高く、今回のロングドライブも楽々こなせそうだ。

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意外にも固めの乗り心地

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街中での乗り心地は若干固め。タイヤが205/45R17(テスト車はミシュランプライマシー4を装着)でありAllureの195/55R16タイヤよりも大径であることからか、バネ下重量も若干感じるものの気になるほどではない。これは良く出来たシートが上手にショックを吸収してくれていることも貢献している。一方、若干ロードノイズの侵入は気になった。この辺りは改めてAllureを借り出して確かめてみたい。

街中で気になったのはアイドルストップとブレーキの踏力の関係だ。信号などで停止寸前にアイドルストップが介入するのだが、その時にブレーキペダルの踏力を僅かに抜き気味にしても、そのままの状態で停止し、カックンというショックを残すことがままあった。また、アイドルストップ中、エアコンは送風のみになるため、真夏では少々暑い思いをするかもしれない。もちろんクルマの方も熱くなるので、アイドルストップ時間が短くなることは予想されるが。

この空調関係はタッチスクリーンによる操作なので、いちいち画面を切り替えねばならず、非常に煩わしく、また危険でもある。この辺りはぜひ物理スイッチも併用してほしいものだ。

欲しいだけのパワーを手に入れることが出来る

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高速に乗り入れ、速度を上げるほどフラットになる乗り心地は満足のいくものだ。また直進安定性も予想通り高く、ほとんど修正舵は必要としない。街中の印象と同様にシートもしなやかさとともに腰をホールドしてくれるので、出雲までそれほど疲れずにたどり着くことが出来た。その証拠に、到着後、そのまま原稿を書き進めたといえば、その程度がお分かりいただけるだろうか。

1170kg(ガラスルーフ付きは1180kg)の車重に100psのエンジンパワーだと、高速では非力なイメージがわくかもしれない。しかし、実際は十分にパワフルで、上り坂や坂道などで痛痒を感じることは全くなく、欲しいだけのパワーを手に入れることが出来た。

また、追い越しなどでアクセルペダルを深く踏み込んだ時などは、さすがに3気筒独特の音は伝わってくるものの、特に気になるような振動はなく、ほとんどの人が3気筒だと意識することはないだろう。

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個体差か?安全運転支援システムに違和感

さて、これは輸入初期モデルならではの個体差かもしれないが、高速で最も気になった、そして、208最大の欠点ともいえるのがADAS、安全運転支援システムだ。

まずアクティブクルーズはかなりセンシティブで、設定速度を正確にキープしようとするあまり、僅かだが常に前後Gが感じられた。また、コーナーだけでなく直線においても左側を走るクルマを検知しブレーキがかかることもあった。

レーンポジショニングアシストとレーンキープアシストもいまひとつだ。僅かに車線内での位置を調整したいとステアリングに力を加えても、暫くの間抵抗にあい、その後、いきなり力が抜け修正が可能になるので、その力加減とタイミングが非常に難しく、神経を使うことになった。

レーンキープに関しても工事後に消された白線を拾って修正舵が入るなど、これまでのグループPSAのクルマには感じられなかったので、もしかしたら導入初期の個体差ではないかと疑った次第だ。これもAllureを借りた際に検証したい。

性能に対してタンク容量は少ないかも

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今回1900km走らせての実燃費だが、

・市街地:10.0km/リットル(13.0km/リットル)
・郊外:13.3km/リットル(17.5km/リットル)
・高速:17.9km/リットル(19.3km/リットル)
( )内はWLTCモード燃費値

という結果であった。WLTCモード燃費値と比較すると市街地と郊外路で7~8割弱の達成率だった。特に郊外路では大山のワインディングなども含まれているので、若干不利な条件だったかもしれない。

長距離を走らせるという視点でいえば、高速燃費に対して44リットルというタンク容量は少々心もとないかもしれない。一気に1000km走ろうという日本のユーザーは少ないだろうが、せめて東京名古屋往復くらいは無給油で行きたいものだし、そのくらいの走行性能は備えているクルマだ。

このコンパクトなサイズで出雲までの往復を計画した際、正直躊躇する気持ちと、これまでの経験から余裕でこなせるのではという期待感と半々でテストに出かけたのだが、結論からいうと、かなり楽にこなせる実力を持っているといっていい。

ただし、ADAS系に関しては述べたとおりなので、高速では結局、アクティブクルーズのみで走行した。この件を除けば、街中では狭い道まで楽々入ることが出来、高速では極めて快適に長距離を移動出来る実力を備えたクルマということが出来る。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★(ADASを除けば★5つ)
オススメ度:★★★★

内田俊一(うちだしゅんいち)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

《内田俊一》

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