【ホンダ CBR1000RR-R 試乗】すべてが上質さに満ちあふれている、超弩級の3連“R”…青木タカオ

ホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSP
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バイクファンらの間で話題沸騰中の最新スーパースポーツ、ホンダ『CBR1000RR-R ファイヤーブレードSP』。「CBR」といえばホンダ高性能マシンの代名詞であり、その最高峰モデルのネーム末尾にR(アール)が3つも連なるのだから、超弩級であることは間違いない。

「サーキットベスト」という目標を掲げ、開発段階からレーシングトラックで徹底的に鍛え上げられた究極のマシンは、Moto GPレーサー「RC213V」のようなウイングレットが左右に張り出し、もう見た目からしてレーシングマシンそのもの。トリコロールのHRCカラーを身にまとい、全身からレース直系のオーラが漂っている。

MotoGPマシン直系技術で最高出力218ps!

ホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSPホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSP
新設計の水冷DOHC4バルブ直列4気筒999ccエンジンは「RC213V」と同じ81mm×48.5mmのボア・ストロークで、最高出力218psを発揮。『CBR1000RR』の直打式バルブ駆動と比較し、バルブ系の慣性重量を約75%も削減したフィンガーフォロワー式のロッカーアームを採用するほか、セミカムギアトレイン、高強度化と約20%の軽量化を実現したチタン鍛造コンロッド、『RC213V-S』と同じA2618材を採用した鍛造ピストンなどレーシングテクノロジーが惜しみなく投入されている。

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アルミ製ダイヤモンドフレームは、縦剛性約18%、ねじれ剛性約9%向上しつつ、横剛性を約11%減とすることで、操作性や加減速時の安定性、限界域での接地感を増した。『RC213V-S』と同じアルミプレス製スイングアームを持ち、330mmディスクと組み合わされるNISSIN製対向4ポッドラジアルマウントキャリパーも新設計。車体および足まわりも超ハイスペックだ。

クラス最小の空気抵抗

ホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSPホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSP
さて、今回乗ることができたのは『CBR1000RR-R ファイヤーブレードSP』で、第2世代オーリンズSmart ECシステムなど電子制御システムがより充実した上級仕様。ロードレース未経験の筆者(青木タカオ)が乗っても、そのポテンシャルの数%しか引き出せないのは明白で、果たしてライディングして楽しいのだろうか。

とはいえ、興味は尽きない。若干のビビリと、マルケスのように速く走れるのではないかという期待が入り混じったまま跨ると、ライディングポジションがかなりコンパクトであることに気づく。シート高は830mmで、意外にも足つき性がよく、身長175cmの筆者だとカカトまで地面に届く。

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高く後ろにあるステップに足をのせ、前傾姿勢で身をかがめると、35度にセットされるスクリーンとヘルメットを被った頭部のラインがスムーズに繋がって効果的にエアマネジメントする。前面投影面積が小さく、クラス最小の空気抵抗(CD値)0.270を実現。レーシングポジションをとれば、弾丸ライナーのごとく突き進めるのだ。

イグニションのON/OFFだけでなく、ハンドルロックも可能としたHonda SMART Keyシステムを採用。メーター左横にあるスイッチを押すと、目前の高解像度フルカラーTFT5インチ液晶画面も動き出す。メーター表示は、走行シーンや好みに応じて切り替えできる。フォークトップからは電子制御の配線が伸び、細かなサスペンションセッティングもメーターパネルで変更可能だ。

排気バルブ開くといよいよ本領発揮

ホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSPホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSP
低回転域のトルクは細いが、想像していたより扱いやすい。パワーグラフで『CBR1000RR』と比較したとき、高回転域になってから「RR-R」がパワーもトルクも上回り、低中速域では「RR」の方が上をいく。「RR-R」は完全にサーキットで勝つことを考えた味付けで、公道でチンタラ走らせるのはかなり厳しいと、予想というか覚悟していたから、あっけなく普通に走ることにまず驚いた。

5000rpmを超え、エグゾーストバルブが開くとジェントルだった排気音が激変し、アクラポヴィッチのチタン製マフラーが胸のすくサウンドを奏でる。同時にパワーも盛り上がり、8000rpmあたりから一段と力強く、パンチの効いたエンジンの吹け上がり。加速は強烈そのもの。

ホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSPホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSP
リヤタイヤは『CBR1000RR』で190/50ZR17だったが、「RR-R」では200/55ZR17にワイド化。スイングアームも長さを30.5mm延長し、バンクしたときも車体は安定して落ち着き、前後輪の接地感もしっかりとある。コーナリングでは、自分が上手くなった気がするほど軽快かつバランス良く曲がっていく。

「“TOTAL CONTROL” for the Track」と、サーキットでの速さを追求した「RR-R」。クイックシフターでのギヤチェンジはスッとミッションに入るし、ブレーキなどを含め操作系すべてが上質さに満ちあふれていて、公道でも高性能を味わうことができた。サーキットではタイムを縮めてくれるだろうし、上達への近道に誘ってくれそうだ。

ホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSPと青木タカオ氏ホンダ CBR1000RR-R ファイヤーブレードSPと青木タカオ氏
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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