V2B対応の滞在型リゾート、神奈川にオープン…ワークプレースチャージング事業とは

EVの街かながわが推進するワークプレースチャージング事業とは?
  • EVの街かながわが推進するワークプレースチャージング事業とは?
  • V2Bの充放電ポストは3つ
  • マリブファーム正面のテラスエリア
  • 客室の例:ルームチャージで9万円から
  • 江の島と富士山を眺望できる部屋
  • リクエストにより、ガーデンでの朝食なども
  • 宿泊客向けにホテルシップのツアーなどもある
  • V2Hの管理画面:デモとしてピークカットの閾値をさげて、EVからの給電をさせたところ

リビエラは、神奈川県逗子市小坪の高級リゾートマンションエリア、逗子マリーナに「マリブホテル」とレストラン「マリブファーム」を同時にオープンする。このホテルの特徴のひとつが、V2B(Vehicle to Building)に対応し、EVからの電力をピークカットや非常時の電力として活用できることだ。

同社では、「リビエラ未来創りプロジェクト」として環境、教育、食文化などへのCSR活動を展開している。V2B対応ホテルもその一環であり、神奈川県の後押しもあり導入に踏み切った。同県は、日産のおひざ元であり、EV普及に独自の購入支援や事業者への支援を展開しているEV推進自治体だ。

V2Bは、一般家庭向けのV2Hと同じ機能で、車両から建物の配電盤に電力を供給するシステムと思えばよい。V2Hの場合、平時は車両への充電がメインで、車両からの放電、つまり住居への電力供給は災害や停電時が一般的だ。マリブホテルのV2Bは、屋上のソーラーパネルと12.7kWのバッテリー(蓄電池)を併用することで、ピーク時の電力消費(電気代)を効果的、定常的に行える。バッテリー、EV、PV(ソーラーパネル)という3つの電力ソースを制御するトライブリッドシステムである。

ホテルは新規オープンとなるため、実測データや具体的な数字ではないが、マリブホテルでは、V2Bのピークカットによって、消費電力が増える夏の契約電力を2段階ほど安いプランで賄えると試算している。

停電時は、12.7kWのバッテリーとV2Bに接続されたEV(PHEV)のバッテリーを使って、ホテルフロントに必要な電力を供給する。V2Bの充放電ポストは3基設置されている。62kWのリーフe+が3台つながれば、合計で198.7kW。客室(全11室)や施設全体は無理でも、照明、暖房、スマートフォンの充電、その他の電力としては十分だ。

V2B設備があったとしても、肝心のEVがいなければ意味がない。リビエラでは社用車として三菱『i-MiEV』3台を所有しており、さらにホテル従業員の日産『リーフ』が2台ほぼ常時用意される。従業員は、勤務時間中ホテルで充電できる。ピークカットの設定は、11時00分から15時00分までとなっているので、ピークカットでリーフのバッテリーが利用されても、退社までには再び充電されることになる。

V2Bの充電規格はCHAdeMOの急速充電に対応している。ただし、容量は25kWから30kWあたりで、同規格の最大出力50kWではないとのこと。分類上「中速充電」と表現されることもある充電器だ。

普通充電ではないので、リーフならば30分もあれば80%充電は問題ないはずだ(なお、普通充電以外で100%充電は時間だけかかりバッテリーの劣化も早める)。充電能力は25kW前後とみられ、分類上は「中速」充電となる

神奈川県では、通勤や業務利用のEVとV2Bを組み合わせたエネルギー自立型事業所を支援する「ワークプレースチャージング導入事業」を行っている。リビエラは、EVの乗り換え支援の補助金も活用して従業員にEV利用を広げている。事業所は、契約電力の削減、BCPおよび災害時の地域貢献というメリットがあり、従業員は、通勤の電気代の節約になる。リーフの場合、ZESP2から3へと切り替わり、定額充電し放題という契約が新規にできなくなっている。事業所がこの取り組みを行えば、EV買い替えのインセンティブになる。

もちろん、宿泊客もマリブホテルのV2Bにつないで宿泊中に充電することもできるという。EVオーナーにとっては普通充電より便利であり、長期滞在のプランも立てやすい。

残念なのは、V2B(V2H)に対応するEVは、国内だとリーフや三菱『アウトランダーPHEV』など限られる。テスラはアダプターでCHAdeMOにつなぐことができるが、V2Bケーブルでは充電できない。コネクターがつながっても、充放電対応のV2B、V2Hシステムと正しく制御信号のやりとりができないからだ。

幸い、逗子マリーナ周辺の駐車場はEVの充電スポットが比較的豊富だ。マリーナの駐車場、ホテルに隣接したゲート式駐車場には複数の充電ポスト(普通充電含む)が備わっている。しかし、V2B、V2Hこそ大容量バッテリーを搭載するテスラの価値が発揮される領域でもある。できれば、国内V2B、V2Hシステムのテスラ対応も進めたいが、テスラが独自の充電規格で充電網の自社整備を進めているので難しいかもしれない。

テスラは2020年に独自のパワーウォールシステム(トライブリッドシステム)を国内販売する。神奈川県は、ワークプレースチャージング事業をもっと拡大し、さまざまな事業所が参加できるようにしてはどうだろうか。リクエストにより、ガーデンでの朝食なども

《中尾真二》

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