自工会の豊田会長がオンライン記者会見で訴えたこと

日本自動車工業会の豊田章男会長が3月19日に行った定例記者会見は異例のものだった。新型コロナウイルスの感染防止のため、会見場に入れたのは各社1人でマスク着用。そのほかの報道陣はオンラインでの参加だった。もちろんオンライン会見は初めてのことだ。

その中で豊田会長は「先が見えない、何が正解か分からない今の状況においては、とにかく決断して実行していくしかない。1日も早い終息を願い、力を尽くしていきたい」と決意を述べるとともに「われわれ自身が何をしていかなければいけないのか、改革を一気に進めていくときと捉えたいと思う」と述べた。

まさしくこれまでピンチを全社一丸となって乗り越えてきたトヨタ自動車の社長らしい言葉といっていいだろう。ピンチの時こそ会社を強くするチャンスがあるというわけだ。今回の新型コロナウイルス感染拡大でも、いくつか課題を見つけたという。

例えば、ネットを活用した消費行動について、今回のことでさらに加速しているが、自動車業界はその世の中の流れについて行けているのか。また、テレワークにしても、トヨタではすぐにできる状況ではなかったという。こんなことで本当に働き方改革などができるのかどうか。先日のトヨタが行ったオンライン記者会見でも、映像や音声が途切れ途切れであった。

「笑顔あふれるモビリティ社会を日本が世界に先駆けてつくっていくためには、われわれはもっと競争力を磨いていかなければならない。その源泉は間違いなく人だ。今は先行きがはっきりと見通せないが、この状況だからこそ見えてきた課題を着実に乗り越えて、笑顔の未来を目指していきたいと思う」と豊田会長は力説する。

豊田会長は最近、どこへ行っても「この状況をどう考えているか」と聞かれるそうだ。その度に「真剣に考えないと行けないが、深刻には考えないようにしている」と答えているという。そして、こう強調した。

「世の中にはコントロールできる話とコントロールできない話がある。比率でいえば、ほとんどがコントロールできないもので、コントロールできない話を真剣に考えすぎれば、人はネガティブになってしまう。ネガティブになっても何も良くならない。ネガティブの連鎖は物事を悪くするばかり。だから深刻にはならずに、まずはコントロールできることを真剣にやっていけばいい。こんな時だからこそ、笑顔になって乗り越えましょう」

現在、国内の自動車生産は新型コロナウイルスの感染防止やサプライチェーンの問題などで思うように進んでいない。自動車産業は75%以上を外注に頼っている裾野の広い産業なので、これからさまざまな問題が噴出してくるのは間違いないだろう。そんな中、日本自動車工業会の豊田会長はどのようにリーダーシップを取ってそれらの問題を解決していくのか、その手腕が問われようとしている。

《山田清志》

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