2人は25年間以上にわたり友人として交流を続けているが、それぞれのカテゴリーで大きな成功も収めている。
チェッキネロは2003年に現役を退くと、2004年からは自身のチームLCRをマネジメントする立場となった。2006年からLCRホンダチームでMotoGPに参戦、カル・クラッチローが通算3勝している。現在はクラッチローと中上貴晶のチームマネージャーを務めている。
一方の藤井は、TSR(TECHNICAL SPORTS RACING)を運営し、鈴鹿8耐で3回優勝などの成績を残し、2016年からはEWCシリーズに年間参戦。最近ではF.C.C TSR Honda Franceとして2017-2018年シーズンのタイトルを獲得している。
彼らはHonda Racing Thanks Day 2019(2019年11月、ツインリンクもてぎ)に招聘され、モーターサイクルレースに注ぐ愛情と、お互いが日々行っている非常に異なる仕事について語り合った。

チェッキネロは自身が元レーシングライダーとして、ライダーがコース上で何をしているかを熟知している。 「ライダーがMotoGPで競っているのを見ると、まるで自分がバイクに乗っているかのように、心臓が鼓動するのを感じることができるほど、本当に緊張しているんだ!」と語り、「各グランプリでこのストレスに45分の間、自分で向き合わねばならない。でもマサ(藤井)はこのストレスに8時間や24時間などという途方も無い時間、対処しなければならないんだ!」。
さらに、「MotoGPは年間20レースあって、レースで何らかの問題が発生した場合、2週間後には何かを再度トライすることができる。しかし、鈴鹿8耐やボルドール24時間などの耐久レースでは、何か問題が発生した場合、次のレースまで丸々1年かかってもう一度試すことになる。だから、チームマネージャーがすべてのことを完全に達成するためのストレスは、とても、とても高いものにならざるを得ないと思うよ」と違いを述べた。

藤井は、「レースで1台の同じマシンに乗る3人のライダーをうまくコントロールし、マネジメントして様々な事態に対応しなきゃいけない。特にピット作業における1秒の差は、ラップタイムでの1秒の差と同じくらい重要だから、ピットストップでの作業がとても重要な要素となる」と語った。
「耐久レースでは、ライダーのパフォーマンスがおそらく40%、チームとその作業がもう40%を占める。だから、チームがどうやって様々な連携をするかが非常に重要。そして私にとって最も重要な点はライダーの管理。ライダーを選ぶときは、体重と身長がほぼ同じで、腕と脚も長さが同じであることが必要だね。ライダーの背格好やサイズが大きく異なると、耐久レースは難しいね」
チェッキネロはこれまで耐久レースをしたことはないものの、色々な面からそれに魅了されていることを認めている。
「MotoGPでは、バイクの純粋な速さ、最高のパフォーマンスを見出し、ライダーからのインフォメーションによってバイクを調整する。いっぽう耐久レースでは、2人または3人の異なるライダーに対処する必要があるため、ライダーたちのすべての情報を組み合わせて、どのセットアップがライダーたちにとって最適かを判断する必要がある。とても興味深いし、面白そうだね」

<Interview: Mat Oxley, Honda Racing Thanks Day story>