【懐かしのカーカタログ】『ユーノス ロードスター』には“いつもの40km/hとは違う”景色があった

ユーノス ロードスター(初代マツダ ロードスター)のカタログ
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この記事を書くために自宅の資料室から『ユーノスロードスター』のカタログを見つけ出し、デスクの上でページをめくっていたら、気持ちがスウッと30年前に引き戻された。

正確には筆者が『ロードスター』を自分のクルマにしたのはデビュー翌年になってだったから29年前になるが、ディーラーに注文を入れ、クルマが届くまで、このカタログをどれほどはやる気持ちを抑えきれずに眺めていたことか。今ならiPadでも同じことはできるけれど、やはり紙のカタログ(クルマの場合は“本カタログ”と呼ばれる厚いもの)を手にし、寝ても覚めても、トイレの中でも(!)あれこれページをめくり飽きるまで(飽きないのだが)眺める……。

こだわり派のクルマ好きの方ならおわかりいただけると思うが、ましてやがて自分のものとなるクルマのカタログであれば、そこには夢が詰まっているどころか、間もなく実現する自分の夢がそこに詰まっているという実感が、天にも昇る気持ちにさせてくれたものだ。

ボディ色が新しくなるたびに変わる表紙


今年30周年を迎えた『ロードスター』には、もちろん筆者などより造詣が深いマニアの方がそれこそ世界中におられる。なので今回は、ごく個人的な筆者自身の思い出をもとに、このカタログを振り返らせていただきたい。

ちなみに初代のカタログは当時発足したユーノスチャネルのフォーマットで、写真のような正方形に近いサイズで、表紙の印刷は車名のみのシンプルなデザイン。タイトル写真の白い表紙は89年9月の登場時のもので白はボディ色(クリスタルホワイト)だったが、ご覧のとおり、96年に表紙に“MAZDA”のロゴとクルマの写真になるまでは、新しくなるたびに順に違うボディ色が表紙になっていた。


2、3、ヌケはあるかもしれないが(イエローなどあったはずだ)、オーナーである以上、新しい色のカタログが発行されたとなれば手に入れない訳にはいかなかったのである。

著名なイラストレーター、フォトグラファーの絵や写真がタップリと使われた中身はスマートなレイアウト。内容の詳細は今回は割愛するが、メカニズムやスペックを説明したボディコピーもやや大きめのQ数で、文面自体も情緒的な書き方になっていた。とはいえ“5段マニュアルの短いシフトレバーはレバー比4.4、シフトストローク45mm”など、ツボを抑えた要点はしっかりと記されている。

今の時代なら安全支援関係の説明が走るのはあたり前だが、運転席エアバッグさえなく(北米仕様には装着された)、今見ると、実にピュアなクルマのカタログだなぁと思える。

“いつもの40km/hとは、まるで違う”景色


ピュアといえば、オプションパーツが充実しており、キットカーのように自分仕様の1台に仕立てることも可能だった。思い出したのだが筆者は、スペシャルパッケージは選ばずスチールホイールとウレタンステアリング仕様の標準車にし、アルミホイール(エンケイ・アライフ)やステアリング(ナルディのウッドやモモ・モンツァの復刻版)は自分の好みで社外品から選んだ。

当時のスペシャルショップのご厚意で、純正の約半分の重さのカーボン製ハードトップも付けさせていただいたし、コニの減衰力可変ダンパー、レーシングビートのスプリング、“miata”の車名ステッカーなど、思いのままにカスタマイズを施して楽しんだものだ。


古いアルファロメオのような指先を差し込んで開けるドアハンドル(ちゃんと金属製だった)を開けて乗り込み、オープンで走り出す。するとカタログにもあるように“いつもの40km/hとは、まるで違う”景色と走行フィーリングは本当に楽しいものだった。プォーン!と小気味いい純正の排気音も満足だった。

あるとき、やはり社外品のアルミ製トランクキャリア(今でも物置きの天井につり下げてある)を見つけ装着したら、それを見た今は亡き母が「ちょうどよかった!」と近所のダイクマ(首都圏に展開していた今で言うホームセンター)へと“簾”を買いに行かされ、まるで二宮金次郎みたいにそれをキャリアに背負わされ母を助手席に乗せて帰ってきた……といった話も今ではいい思い出だ。

初代ロードスター(NA型)

《島崎七生人》

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