新たな亀裂も発見され、補修…金属音との因果関係はないとされた南海『ラピート』の台車トラブル

8月24~31日に行なわれた点検や検査で全6編成中3編成で新たな亀裂が発見されたが、1編成を除いて補修の上、運行を続けている『ラピート』の50000系。
  • 8月24~31日に行なわれた点検や検査で全6編成中3編成で新たな亀裂が発見されたが、1編成を除いて補修の上、運行を続けている『ラピート』の50000系。
  • 亀裂が発見された編成の部位とその状況。

南海電気鉄道(南海)は8月30日、難波~関西空港間の特急『ラピート』で運用されている50000系電車で8月24日に発見された台車亀裂についての詳細を明らかにした。

この件については、国土交通省の運輸安全委員会から8月27日付けで重大インシデントに認定されており、南海では亀裂発見から6日を経た8月30日に記者会見を行ない、公式に謝罪。発見までの経緯や今後の対策についてを明らかにした。

それによると、亀裂が発見された車両は、50000系の第4編成2号車のモハ50201形50204号で、「主電動機」(モーター)を支える台車の「受座」と呼ばれる部分の裏面に140mm程度のものを認めたという。

亀裂が発見されたきっかけは、走行中に車掌が連結部の渡り板部分に「金属が擦れるような音」を聞いたことだった。

この音は、8月23日、難波18時発関西空港行き『ラピートβ41号』が堺~岸和田間を走行中に確認され、関西空港駅(大阪府田尻町)で折り返した難波行きの『ラピートβ50号』でも岸和田~堺間で同様の音が確認された。そこで、堺駅(堺市堺区)を出た時点で車掌が、渡り板付近の音が通常より大きく、乗客に不快な思いをさせる怖れがあるとして、車内設備の不備を運輸指令に連絡した。

連絡を受けた運輸指令は、これまでにも聞いたことがある音であるとして、運行に支障がないと判断。難波駅(大阪市中央区・浪速区)で『ラピートβ69号』として折り返した後、泉佐野駅(大阪府泉佐野市)から乗車した車両係員は異常を認めず、そのまま関西空港駅まで運行。その後、関西空港~難波間を1往復半し、住ノ江検車区入庫後に行なわれた渡り板部分の点検でも異常を認められなかったが、さらに拡大して点検したところ、日が変わった8月24日0時10分頃にようやく亀裂が認められたという。

これを受けて、南海では8月24~31日に50000系全編成のモーター受座部分(36台車、72か所)に対して目視点検や、目視できない微細な傷を探る「磁粉探傷検査」を行なったが、第1~3編成については異常がないことを確認。

残る3本の編成については新たな亀裂が発見され、第4編成では8月29日に受座1か所で60mmほどのものが、第5編成は8月26日に受座1か所で70mmほどのものが、第6編成では受座2か所で60mmほどのものと亀裂の疑いがある20mmほどの傷が、それぞれ発見されたという。

これらの亀裂について、南海では安全性に問題がないとしており、第三者の研究機関による調査が実施される第5編成を除いて、補修の上、運行を続けている。

亀裂の原因は現在、調査中だが、南海では補修後も渡り板で車掌が聞いたものと同様の金属音を確認していること、亀裂箇所と車掌が聞いた音の箇所が離れていること、台車の製造メーカーが、亀裂が音を発生させるものではないと判断していることを理由に、金属音と亀裂との因果関係を否定している。

南海では今後の対策として、台車枠検査マニュアルを改訂し、重要検査箇所に今回の亀裂発生箇所を加えるとともに、4年ごとに実施している重要部検査では、重要検査箇所を磁粉探傷検査で確認。将来的には、より安全性の高い台車に交換する方針を示しており、運輸安全委員会が行なっている原因調査に全面的に協力し、研究機関や台車製造メーカーと協力して原因究明に務めるとしている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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