[最新プロセッサー事情]パワーアンプ内蔵DSPってどうなの?

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パワーアンプ内蔵DSP『ミューディメンション・DSP-680AMP』の、サウンドチューニングソフトのコントロール画面。
  • パワーアンプ内蔵DSP『ミューディメンション・DSP-680AMP』の、サウンドチューニングソフトのコントロール画面。
  • パワーアンプ内蔵DSPの一例(ミューディメンション・DSP-680AMP)。
  • パワーアンプ内蔵型DSPの一例(アークオーディオ・DSP8 Univaersal)。
カーオーディオでは、アナログタイプからデジタルタイプまでさまざまな“プロセッサー”が活躍する。それらについての全方位的な現状解説を行っている当短期集中連載。第5回目となる当回は、“パワーアンプ内蔵DSP”をクローズアップする。


■“パワーアンプ内蔵DSP”なら、本格システムを合理的に構築できる!

最初に、“パワーアンプ内蔵DSP”とはどのような物なのかを解説していこう。

ひと言で言えばその名のとおりに、「パワーアンプと“DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)”とが一体化した製品」なのだが…。

さて、パワーアンプと“DSP”が一体化されている理由は何なのだろうか。

それを理解していただくために、まずは“DSP”の成り立ちをおさらいしておきたい。“DSP”には、“クロスオーバー”、“タイムアライメント”、“イコライザー”といった機能が搭載されている。で、音楽信号は“DSP”内で最初に帯域分割(クロスオーバー)され、その上で、帯域分割されたそれぞれの信号に対して個別に“タイムアライメント”や“イコライザー”が掛けられる。こうして音楽信号が緻密にコントロールされ、より高度なステレオ再生が可能となるのだ。

なお、“DSP”内部で制御された音楽信号は、制御された以降は別chで伝送されなければならなくなる。個別に調整された音楽信号を混ぜるわけにはいかないからだ。信号を増幅する段階においてもそれは変わらない。それぞれをパワーアンプの別ch内で個別に増幅しなければならないのだ。なので“DSP”を用いると、制御するch数分のパワーアンプのchが必要になる。高度な再生が可能となる代わりに、システムが強大化してしまうのだ。

しかしながら、パワーアンプと“DSP”とを一体化させれば、パワーアンプを別途用意する必要がなくなるのでシステムが巨大化しなくてすむ。結果、インストールの手間(費用)もインストールスペースも少なくてすむ。“パワーアンプ内蔵DSP”ならば、手軽に“DSP”のメリットが得られ、本格的なシステムを合理的に構築できる、というわけなのだ。


■“パワーアンプ内蔵DSP”の“プロセッサー”としてのポテンシャルは結構高い!?

というわけで“パワーアンプ内蔵DSP”は、言ってみれば“お手軽”であることが最大のメリット、というタイプの機器であるのだが…。

しかしながらおしなべて、“プロセッサー”としてのポテンシャルは結構高い。前回の記事では、“ハイエンドナビ”に内蔵されている“プロセッサー”が高性能であると説明したが、“パワーアンプ内蔵DSP”の“プロセッサー”能力は、“ハイエンドナビ”よりも高性能である場合が多いのだ。

違いとして大きいのは、“イコライザー”だ。“ハイエンドナビ”では「左右独立」タイプが主流なのだが、“パワーアンプ内蔵DSP”の“イコライザー”の多くは、「ch独立」になっている。つまり、各スピーカーユニット1つ1つに対して個別に“イコライザー”を掛けられるのだ。

前回、「車内の周波数特性の乱れは、左右どちらかのchだけが原因となって起こる場合もある」と説明したが、さらに厳密に言えば、片側chのツイーターだけ、もしくはミッドウーファーだけが原因となることも往々にして起こり得る。例えば、ツイーターが発する音がメーターフードに反射して特性が乱れるというようなこともあるのだ。そのときには、ミッドウーファーの“イコライザー”は触らない方がいい。悪さをしていないところはそのままにしておいた方が賢明なのだ。「ch独立」であれば、そのような運用が可能となる。

なお、“クロスオーバー”や“タイムアライメント”については、“ハイエンドナビ”と比べてそれほど大きな違いはない。“クロスオーバー”の“スロープ”の選択肢の数や“タイムアライメント”の1ステップの細かさ等々、機種ごとで微妙に仕様は異なっているものの、できることには大きな違いはないと思っていいだろう。


■人気が高いだけに、製品バリエーションが豊富。高性能なモデルも続々登場!

“パワーアンプ内蔵DSP”は、手軽であることが支持されて人気が高い。結果、さまざまなメーカーから多様な機種がリリースされている。ゆえにタイプ違いもいろいろと増えてきた。

どのようなタイプがあるのかと言うと、ざっくり以下の3タイプに分類できる。1「内蔵パワーアンプの出力を小さくして小型化が図られたタイプ」、2「内蔵パワーアンプの出力を大きくして、“外部パワーアンプ”と“DSP”それぞれの良さが両得できるタイプ」、3「パワーアンプに“DSP”が内蔵されたタイプ」、以上だ。

「1」は、とにもかくにも合理性が重視されている。内蔵パワーアンプの出力は大きくはないが、その分小型化が成し遂げられているのでインストール性が高い。または、リーズナブルに仕上げられたモデルもある。お手軽であることが突き詰められている。

「2」は、“パワーアンプ内蔵DSP”としてもっともスタンダードなタイプと言っていい。しっかりと鳴らせるパワーアンプを搭載し、外部パワーアンプを導入するメリットも同時に得られるようになっている。

当タイプは製品数も多く価格差も大きくなってきた。なお、基本的には価格が上がるほどに内蔵パワーアンプの性能も上がっていく傾向が強いのだが、最近は価格が抑えられていながらも内蔵パワーアンプの性能が高いモデルも登場している。主流であるがゆえに競争が激化していて、市場にはさまざまな製品がひしめき合っている。

そして「3」は、パワーアンプが“主”で“DSP”が“従”の関係になっているというタイプである。ただし、だからといって“DSP”が簡易的なのかというとそうではない。むしろ“DSP”は平均点以上の能力がある場合が多い。ただパワーアンプの性能が磨き上げられているがゆえにそちらが主体となっている、というわけなのだ。“パワーアンプ内蔵DSP”というよりも、“パワーアンプ”として捉えるべき製品、なのである。

今回はここまでとさせていただく。次回は具体例を挙げながら、より詳しく“パワーアンプ内蔵DSP”のタイプ解説を行っていこうと思う。お楽しみに。

最新“プロセッサー”事情、全方位解説! Part 5「“パワーアンプ内蔵DSP”ってどうなの?」

《太田祥三》

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