ドイツに本拠を置く自動車サプライヤーのシェフラーも「人とくるまのテクノロジー展2019」に出展している。同社の展示は、トランスミッションの電動化を通した効率化、運転機能の自動化による快適性向上と、排ガス規制への対応といったテーマで行われている。
そうした基本的なスタンスは他のサプライヤーの方向性と大きな違いは感じられないが、軸受けメーカーを起源とする同社らしい製品が見られた。
電気自動車(EV)向けのインホイールモーター用に開発された「センサーベアリング」は、直接モーターの動きを読み取るため、現在一般に使用されている車速センサーよりもタイヤの回転速度や位置を遅滞なく正確に読み取ることができる。したがって、タイヤの横滑りなど車両の挙動変化を即座に、かつ詳細に把握し、それに対応した姿勢制御を可能にする。
同社の特徴は、軸受け関係で培った鍛造やプレス、機械加工などの技術を、電動化と組み合わせてシステムとして自動車メーカーに提供するところにある。同じドイツのZFが、トランスミッションやシャシコンポーネンツなど、比較的大型のユニットを統合してシステム化を進めているのに対し、シェフラーはベアリングなどの細かな部品からモジュール化、システム化へと大きなコンポーネンツに発展させているところがコントラストとして興味深い。
大型のユニットとしては、電動ドライブ用に開発されたコンパクトなトランスミッションや、ドイツの完成車メーカーが積極的に採用している48Vのハイブリッドシステムなどが展示されている。こうした電動化における制御システムには、シリーズ立ち上げ当初からパワートレイン開発を通して参画している「電気のF1」、フォーミュラEから得られたノウハウも多く使用されているそうだ。
また、BMWの最新モジュラーエンジン「B38」に採用されている各種軸受けなどのパーツや、ステアリング、アクセルおよびブレーキ系統のバイワイヤシステムなど車両操作における精細な動きをサポートする部品の数々が展示されている。