同車は、ブガッティブランドの誕生110周年を記念したワンオフモデルだ。車両価格は1100万ユーロ(約14億円)と、自動車の歴史において、世界一高価な新車になる。ブガッティによると、この世界に1台のブガッティのオーナーはすでに決まっており、ブガッティのエンスージアストという。
◆シロンの車台にハンドメイドのカーボンファイバー製ボディの組み合わせ
ラ・ヴォワチュール・ノワールのベース車両は、『シロン』だ。このシロンの車台に、ハンドメイドのカーボンファイバー製ボディを組み合わせた。ラ ヴォワチュール ノワールとは、フランス語で「黒い自動車」を意味する。その車名どおり、ボディ全体がグロスブラックで仕上げられた。

◆モチーフは約80年前に生産されたタイプ57SCアトランティック
ラ・ヴォワチュール・ノワールのモチーフは、ブガッティ『タイプ57SCアトランティック』に求められた。タイプ57SCアトランティックは、1936~1938年にかけて4台が生産され、現在世界に残るのは3台。アールデコ運動の絶頂期に設計され、1935年型『エアロライト』コンセプトカーをベースにしている。

◆パリのオートクチュールに匹敵するオーダーメイドの作品を目指した
ブガッティはラ・ヴォワチュール・ノワールのデザインにあたって、このエアロクーペを現代流に再解釈する以上のものを目指した。ワイドなフロントエンドと独特のブガッティのCラインによって、ラ ヴォワチュール ノワールは、タイプ57SCアトランティック同様、優雅なクーペボディを表現する。ルーフ中央を前後に走る1本のラインは、タイプ57SCアトランティックにも見られる特徴だ。

ブガッティによると、ラ・ヴォワチュール・ノワールはフランス・パリの高級ファッションデザイナーのオートクチュールに匹敵するオーダーメイドの作品という。ジュネーブモーターショー2019のプレスカンファレンスに登壇したブガッティのステファン・ヴィンケルマンCEOは、「ブガッティの歴史は、特権でもあり責任でもある。それは、ブガッティの伝統を未来に継承する責任だ。ラ ヴォワチュール ノワールにより、伝統に敬意を払い、スピード、テクノロジー、ラグジュアリー、美学を新しい時代へと導いていく」と語っている。