テインの新・車高調キット「モノレーシング」を シビック タイプR と スイフト スポーツで試す!

テイン モノレーシング 試乗
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気持ちいい走りやサーキットでのタイム短縮に大きな影響を与えるのがサスペンションである。サスペンションの形式やアームやロッドを変えることは難しい。だが、反力を利用してショックを吸収するスプリングとボディを安定させるダンパー(ショックアブソーバー)は交換することが可能だ。高性能なダンパーを装着し、厳選したスプリングの伸縮を速やかに減衰させてやれば、クルマのハンドリングと乗り心地は劇的によくなる。

自社設計、自社生産にこだわる高品質サスペンション

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神奈川県横浜市に本拠を構えるテイン(TEIN)は、高度な技術力を持つサスペンションメーカーだ。高品質を維持するために自社設計に加え、自社工場での生産にもこだわり続けている。ストリートユースを主眼とした車高調整式のフレックスAVSを筆頭に、エンデューラ・プロシリーズやフレックスシリーズなど、バリエーションも多い。そして2019年2月から発売を予定しているのが、サーキット走行でも痛快な走りを楽しめる新世代の車高調キット、「モノレーシング(MONO RACING)」ダンパーだ。

過酷なサーキット走行をこなせるテインのスポーツダンパーは、これまで2種類だった。全長調整式+単筒・ストロングチューブ正立式構造の「モノスポーツ」とサーキットマスターと呼ばれ、減衰力調整をより細かく行える「スーパーレーシング」である。新製品の「モノレーシング」は、その間に位置する車高調キットだ。両者のいいとこ取りをした製品と言えるだろう。

この車高調キットは、ワインディングロードからサーキット走行まで無理なくこなせる高いポテンシャルを秘めている。構造は「モノスポーツ」に近く、単筒式、全長調整式、1ウェイの伸縮同時減衰調整式を受け継いだ。だが、「スーパーレーシング」と同様にキャンバー・キャスター調整式ピロボールアッパーマウントやキャンバー調整式ロアブラケットを採用している。それでいて販売価格も17万円からと、「モノスポーツ」に近づけた。

セールスポイントは、スポーツ走行に特化したスプリングレートと減衰力セッティングだ。もうひとつは「スーパーレーシング」からフィードバックしたパーツの採用である。キャンバー・キャスター調整式ピロボールアッパーマウントはその代表で、セッティングできる幅が大きく広がった。また、スプリングレート無償変更システムやダンピングフォースカスタマイズシステム(減衰力変更)なども採用している。このサービスもうれしい。ちなみに3年または6万キロの製品保証が付く。これはテインの自信の表れだ。

コントロールできる領域が広くなった印象

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最初に試乗した「モノレーシング」装着車は『シビック』のタイプRである。タイプRにはドライブモードも装備されているが、スパルタンモデルだし、タイヤも20インチの30タイヤだからコンフォートモードでも硬質な乗り味だ。デモカーはサーキットで速く走れるようにタイヤを245/40R18サイズのBSポテンザRE71Rに履き替えた。スプリングレートをさらに高め、減衰力調整は前後とも16段である。アッパーマウントはフロントが2ウェイのピロボール、リアは強化したゴムブッシュだ。車高は30mmほど低くなっている。

試乗は公道で行ったが、タイプRの魅力を損なうことなく刺激的なクルマに仕上げられている。ハンドリングは軽やかだ。しかもタイヤのグリップ感が分かりやすい。内輪がリバウンドするようなコーナーでも路面に吸い付くように駆け抜けていく。速いスピードでも狙ったラインに無理なく乗せることが可能だ。タイヤを替えてもスタビリティ能力は高く、ピッチングも上手に抑えているから安心感がある。また、ハードなブレーキングでもノーズダイブが抑えられているから次のコーナーへの進入もラクだった。

荒れた路面ではサスペンションのストロークがもう少しほしい、と思わせる場面があったが、サーキットでは敵なしの走りを楽しめるはずである。ノーマルのタイプRよりコントロールできる領域が広くなった印象だ。乗り心地は標準のタイプRと大差ないが、走りの楽しさを優先するユーザーは不満と感じないだろう。

キレよく正確なハンドリングが魅力

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もう1台のデモカーは、クイックな走りを身上とする『スイフトスポーツ』だ。こちらはスプリングレートを標準の2.3/3.8kgf/mmからフロント10.0 kgf/mm リア5.0kgf/mmに締め上げている。減衰力調整は前後とも16段である。アッパーマウントは純正をそのまま使用した。車高は前後とも50mmほど低い。タイヤは標準は195/45R17サイズだが、ファットな215/40R17(ダンロップ・ディレッツァZIII)を履いた。

この手の減衰力調整式ダンパーの多くは、減衰力の調整を手動で行う。減衰力を変えるときはダイヤルを回して無段階のニードルを上下させることで減衰力を変えるのだが、減衰力の調整はかなり面倒だ。この面倒な減衰力調整作業を運転席からコントロールできるようにしたのが「EDFC」である。デモカーにはEDFCが装備されていた。

最新作の「モノレーシング」を装着したスイフトスポーツは、キレのいい動きが魅力だ。デモカーは軽快なハンドリングに磨きがかけられている。ワインディングロードでは路面に吸いついたかのような一体感のあるコーナリングを見せた。重心も下がったから、スタビリティ能力も高められている。とくにスイフトスポーツで気になったリアの抑えがよくなり、舵も気持ちよく入るようになった。だから意のままに、狙ったラインに乗せることが可能だ。

ハイスピードのコーナリングでもロールを巧みに抑え込み、驚くほど正確なハンドリングを披露した。ストローク不足を補うためにヘルパースプリングを採用しているが、こちらも乗り心地は引き締まった印象だ。荒れた路面ではストロークが不足気味と感じる場面がある。だが、公道で乗り味が気に入らないときはEDFCで好みの減衰力に変えればいい。撮影後のバイパス路では減衰力を下げて走った。走りを優先した戦闘モードだけでなく、快適モードも選べるのが「モノレーシング」のいいところだ。走りにこだわるクルマ好きには魅力的な車高調キットの登場である。

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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