燃料電池バス『SORA』に乗ってみた---車内は? 乗り心地は?

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トヨタが2018年3月に市販を開始した燃料電池バスSORA
  • トヨタが2018年3月に市販を開始した燃料電池バスSORA
  • SORA
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  • 『SORA』を開発したトヨタ自動車、CVカンパニープレジデント小木曽聡専務役員(右)と権藤憲治CV製品企画・権藤憲治ZM主査(左)
  • 放熱スリットからルーフ上に設置されたFCスタックが見える
  • 案内表示横の外部電源供給コネクターが燃料電池バスの存在感を示す

燃料電池バス『SORA』に乗ってみた。国内で初めて型式認定を受けた量産型の燃料電池バスとして3月に市販を開始。バス事業者の関心も高く、「FCバスってどんな感じ?」という疑問に答えるべくトヨタ自動車は全国キャラバンを行っている。

20日、東京・霞が関の国土交通省で報道向け説明会・試乗会が行われた。豊田市から運ばれたSORAは、白と黒のツートンカラー。窓ガラスとボディの継ぎ目が目立ないフラッシュサーフェス。スタイリッシュなデザインだが、中扉と前扉のそれぞれに、一目瞭然で識別できるイエローラインが縦に入っている。色が識別しにくい人にも一目瞭然の色使いだ。バス用途の中でも路線バスに適したSORAには、こうした配慮は欠かせない。トヨタ自動車がパワートレインを中心に開発し、ボディは日野自動車が担当した。

車室は低床フラットで入りやすい。燃料電池のためのユニットは、ルーフ上前方と後方に分けて、水素タンク10本と酸素と水素の化学反応で電気を作るFCスタック2基を置き、モーターなど駆動系だけを、床下(後方)に配置した。水素がルーフの前方から後方に流れ、FCスタックで電気となり、駆動モーターを回す。水素は軽く、10本の高圧タンクでも重量は約22kg。重いバッテリーをルーフ積むような不安定さを生じない。

「ベースとなった車両(ブルーリボン)より30cmほど全高はあるが、車室の広さはガソリン車と変わらない」(日野自動車チーフエンジニア渡辺浩章氏)

車室が広く感じる理由は他にもある。

「ディーゼルエンジンとトランスミッション、そのための冷却装置は意外と大きい。だから燃料電池バスの床下のスペースは、ガソリン車と同等以上にとれる。SORAはパワートレインが小さいので、ホイールベースを伸ばして、後輪を500mm下げることができた」(小木曽聡専務役員)

車両の外寸はガソリン車と同じだが、FCユニットのおかげで車室のノンステップ部分が長いのだ。だから運転席後ろに続く折り畳み式のロングシートが、車椅子、ベビーカーなどの利用スペースとして広く使える。

FCバスは乗り心地もいい。

「モータードライブだから、エンジンの振動や変速ショックがない。音も静か」(小木曽氏)

このほかにも、行先や停留所などを知らせるサイネージ(電子案内板)を運転席の後ろと車両中央の2か所に取付け、後ろの乗客にも見やすい配慮。薄型LED照明で車内も明るく、すっきりしている。

実はSORAは、すでに路線バスとして一線で活躍中だ。東京都営バスはSORAを3台と、その前身の『FCバス』を2台の合計5台の燃料電池バスを所有。東京駅丸の内南口~東京ビッグサイト(都05-2系統)で運行中だ。ディーゼル車と同じ運賃210円で乗ることができる。東京都は2020年の東京五輪までにFCバス100台を導入予定だ。

《中島みなみ》

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