パナソニック、自動運転レベル2対応のコックピットを2022年度までに実用化

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自動運転レベル2に対応したコックピット
  • 自動運転レベル2に対応したコックピット
  • e-パワートレインユニット
  • 自動運転レベル3に対応したコックピット
  • 2030年の完全自動運転を想定した次世代キャビン
  • パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社オートモーティブ開発本部の塩月八重三副本部長

パナソニックは3月28日、横浜市にある子会社オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社の施設で自動運転に関する技術セミナーを開催し、自動運転向けのコックピットを報道陣に公開した。

同社は車載関連ビジネスを成長の柱と位置づけ、オートモーティブ事業の売上高を2016年度の1兆3000億円から2021年度には2兆2500億円を目指している。特に車の電動化技術や自動運転技術には力を入れている。今回のセミナーでは実際に開発品を並べて同社の取り組みについて説明した。

並んでいたのは小型EV向けの「e-パワートレイン」、自動運転の「レベル2」「レベル3」に対応するコックピット、そして2030年の完全自動運転を想定した次世代キャビンだ。すでに米ラスベガスで開催された「CES2018」で披露したものだが、日本で公開するのは初めて。

e-パワートレインは、4輪や2輪の小型EVの普及を目的に開発したもので、モーター、インバーター、充電器、DC/DCが一体になったもので、非常にコンパクトだ。「現状とは違った車をつくりたいお客さまに提供していこうと考えている」とオートモーティブ開発本部の塩月八重三副本部長は話す。

自動運転のレベル2に対応したコックピットは、4つのマルチディスプレイを同時にコントロールする高性能グラフィックスエンジンを搭載し、視覚情報を中心とした運転支援を行うようになっている。ドライバーや助手席同乗者に必要な情報をそれぞれ表示したり、ディスプレイに触れることなく、手のひらや指の動きによるジェスチャーでコントロールできる。

「すでにいくつかのカーメーカーが興味を示しており、レベル2対応のコックピットは2021年度か22年度に実用化できる」と塩月副本部長は話し、遅くとも22年度までにはこのようなコックピットを搭載した車が登場している可能性は高そうだ。

レベル3のコックピットでは、エンジンを始動すると大型画面のヘッドアップディスプレイに車の状態とドライバーの健康状態を表示。運転中はパノラマディスプレイにリアカメラ、サイドカメラの映像を表示し、死角のない安全運転を支援する。しかも、ドライバーの視線移動に合わせて、リア、サイドカメラの映像を自動表示するという。

そして、次世代キャビンは住空間の快適さを車で再現したもので、同社が住空間事業で培ってきた技術やノウハウが満載されている。4つのモードがあり、例えばリビングルームモードでは、デジタルサンシェード、空室調整付きシート&エアコン、リビング照明、AI・クラウド連携によるエージェント機能なので、リビングの快適さを実現している。

また、ビジネスモードでは、シートを回転させて集中力を高めるビジネス専用の空間を創出。リラックスモードでは、22chサラウンドによる空から降り注ぐ、新しい音空間を実現し、アロマの香りに加え、五感全体へのリラックス空間を演出するといった具合だ。

ただ、自動運転については、米ライドシェア最大手ウーバーテクノロジーズの自動運転車の死亡事故による波紋が広がっている。「当社としては、今回の事故の情報を開発者みんなで共有し、安全面での見直しを行った。複数での乗車を義務づけている。とにかく安全性を保つ仕組みを再確認し、監視体制などを徹底していく」と塩月副本部長は話していた。

《山田清志》

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