JR北海道の「ニセコエクスプレス」がラストラン…29年の歴史に幕

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倶知安まで特急で運行する上りラストラン列車。「Niseko」の文字は一時消えていたが、ラストランを控えて復活した。函館本線小樽~塩谷。2017年11月3日撮影。
  • 倶知安まで特急で運行する上りラストラン列車。「Niseko」の文字は一時消えていたが、ラストランを控えて復活した。函館本線小樽~塩谷。2017年11月3日撮影。
  • 最後の「ニセコエクスプレス」を盛り上げた旗。倶知安、ニセコ、蘭越の各駅でJR社員が熱心に配布していた。2017年11月4日撮影。
  • 蘭越駅で折返し停車中の「ニセコエクスプレス」。倶知安駅~蘭越駅間は快速として2往復が運行された。2017年11月4日撮影。
  • ニセコ駅では、札幌から移設された9600形蒸気機関車とのツーショットも実現。この機関車は1972年に廃止された日曹炭鉱天塩砿業所の専用鉄道で使われていたもので、元は国鉄に在籍していた。今年6月に井門グループの井門義博社長が譲り受け、ニセコ駅近くに移設・整備された。2017年11月4日撮影。
  • 1988年9月に苗穂工場で一般向けに公開された「ニセコエクスプレス」の構体。
  • 2003年12月、苗穂工場で報道関係者向けに公開された北海道日本ハムファイターズ仕様の「ニセコエクスプレス」。2010年には元の塗色に戻され、今回のラストランを飾った。
  • 倶知安駅~蘭越駅間の停車駅で発売・配布されていた「ニセコエクスプレス」ラストラングッズの数々。左下の2枚は記念乗車券。
JR北海道のリゾート型車両「ニセコエクスプレス」が、11月4日に札幌駅(札幌市北区)~蘭越駅(蘭越町)間で運行された臨時列車を最後に引退した。

■特急から普通まで、幅広く活躍したリゾート型車両

「ニセコエクスプレス」は、札幌からニセコ方面へのスキー客輸送を主目的に、1988年12月にデビューした。

北海道のリゾート型車両としては、キハ58系を改造した「リゾートエクスプレス」(アルファコンチネンタルエクスプレス)、キハ80系を改造した「フラノエクスプレス」「トマム・サホロエクスプレス」に続いて4番目に登場した車両だが、先の車両はすべて廃車となり、JR北海道に現存する最も古いリゾート型車両となっていた。

系列としてはキハ183系に属するが、それまでのリゾート型車両とは異なり、新製されたため5000番台で区分された。戸袋を設けずにプラグドアを採用したり、冷房装置を床置き式にしたりと、デザイン優先の斬新な構造が話題を撒いたが、そのことが保守面で仇となり、引退を早めたとも言える。登場時は各座席にモニター付きのAV装置を備えるなど、グリーン車に迫る設備を誇ったが、こちらは2004年に行なわれたリニューアル工事を機に撤去されてしまった。

主に臨時特急に使用されたが、現在は列車の運行が休止されている日高本線鵡川駅(むかわ町)~様似駅(様似町)間や、昨年12月に廃止された留萌本線留萌駅(留萌市)~増毛駅(増毛町)間にも普通・快速列車として乗り入れたことがあリ、用途はさまざまだった。

2003年にプロ野球・日本ハムファイターズが札幌に本拠地を移転したことを契機に、その応援列車としても運行されていたこともあり、ファイターズカラーを纏った斬新な塗色に塗り替えられたが、2010年にはオリジナルのアイボリーとブルーを基調にしたカラーに復帰した。その時は、当初あった「Niseko」の前面文字が省略されたが、今回はラストランに備えて復活した。

■歓迎ムード1色の沿線、蒸気機関車の汽笛吹鳴も

ラストラン列車は10月29日、11月3・4日の延べ3日間設定され、札幌駅~倶知安駅(倶知安町)間は全車指定席の特急として、倶知安駅~蘭越駅間は全車自由席の快速として運行された。

運行最終日の11月4日は、倶知安・ニセコ・蘭越の各駅で地元の熱烈な歓迎を受け、各自治体のゆるキャラも登場。ニセコ駅と倶知安駅では、正真正銘のラストランとなる下り列車の停車時に「29年間ありがとう!」と書かれた横断幕が掲げられた。JR社員らも積極的に旗を配布して、歓迎ムードを盛り上げていた。

一方、今年6月に、札幌市東区のサッポロビール園からニセコ駅の転車台付近に移設された9600形蒸気機関車9643号の御披露目式がラストランと同時に行なわれ、「ニセコエクスプレス」のニセコ駅発車時に汽笛吹鳴を行なうという粋な計らいも見られた。

「ニセコエクスプレス」のラストを見送る人々の思いもさまざまだった。

札幌市からやって来た写真家の矢野友宏さんは、高校生の時、製造元の苗穂工場で公開された「ニセコエクスプレス」完成前の姿を見たという。当時の写真を拝見させていただいたが、すでに、特徴ある流線型のフォルムが形作られており、眩しいオレンジ色の構体が斬新に映った。

生まれる前の姿と去りゆく時の姿の両方を見ている人はかなり珍しいと思うが、それだけに、矢野さんは時の流れをしみじみと噛みしめているかのようだった。

最終日の「ニセコエクスプレス」は、上りは若干席に余裕があったということだが、下りは正真正銘のラストラン列車になっただけに、指定席特急券は完売状態で、ネットオークションでは高値で取り引きされていたという情報も。全車自由席となる快速区間では、立客はあったものの、積残しになるようなことはなく、探せば空席を見つけることができる程度の車内だった。

倶知安駅から特急として運行される「最後の」ラストラン列車は、太鼓の演奏が流れる中、倶知安駅を16時定刻に発車。途中の小樽駅では、4分という短い停車時間であるにも拘わらず、小樽名物の潮太鼓による見送りも行なわれた。

今回運行された区間は、JR北海道の経営不振や、北海道新幹線札幌延伸に伴なう在来線経営分離問題に揺れているが、そのことを忘れさせてくれるかのような、地域一丸の熱い歓迎ムードが強く印象に残ったラストランだった。
《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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