複々線化完成で2018年3月中旬「白紙改正」…小田急電鉄、混雑率150%目指す

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2004年に複々線化が完成した世田谷代田~喜多見間(写真は同区間内の経堂~千歳船橋間)。2018年3月には代々木上原~登戸間の複々線化が全面的に完了する。
  • 2004年に複々線化が完成した世田谷代田~喜多見間(写真は同区間内の経堂~千歳船橋間)。2018年3月には代々木上原~登戸間の複々線化が全面的に完了する。
  • 現在工事中の区間は下北沢駅とその前後の地下区間(写真は2016年6月)。小田急は2018年3月の複々線化完成にあわせて「白紙ダイヤ改正」を実施する。
  • 現在工事中の区間は下北沢駅とその前後の地下区間(写真は2016年6月)。複々線化の全面的な完成で平日朝の上り方向を中心に大幅な増発が行われる。
  • 新ダイヤの列車種別と運行系統。通勤急行・通勤準急が新設される一方で多摩急行が廃止される。
  • 平日朝方の上り方向は大幅に増発。座席指定制の『モーニングウェイ』『メトロモーニングウェイ』も運転される。
小田急電鉄は11月1日、小田原線の複々線化工事完了にあわせて実施するダイヤ改正の内容を発表した。実施時期は2018年3月中旬の予定。平日朝ラッシュ時を中心に大幅な増発を行い、現在190%台の混雑率を150%程度まで大幅に引き下げることを目指す。

小田原線は代々木上原(東京都渋谷区)~登戸(川崎市多摩区)間の11.7kmで複々線化が計画され、工事の完成した区間が1997年以降、順次複々線化されている。残る東北沢駅付近から世田谷代田駅付近までの区間は2018年3月に完成する予定だ。これにより列車の本数を大幅に増やせることから、小田急はダイヤを一から作り直す「白紙ダイヤ改正」を計画した。

●千代田線直通は「世田谷強化」

列車種別は「通勤急行」「通勤準急」を新設。いずれも平日朝ラッシュ時の上り方向で運転される。通勤急行の運転区間は唐木田~新宿間。途中、小田急多摩センター・小田急永山・栗平・新百合ヶ丘・向ヶ丘遊園・成城学園前・下北沢・代々木上原の各駅に停車する。通勤準急は本厚木駅から東京地下鉄(東京メトロ)千代田線方面に直通。小田急線内では本厚木~登戸間各駅と成城学園前・経堂・下北沢・代々木上原各駅に停車する。

新宿~小田原・片瀬江ノ島間の快速急行は、新たに登戸駅に停車。多摩線直通の快速急行も新宿~唐木田間で新たに運転を開始し、多摩線内では栗平・小田急永山・小田急多摩センター・唐木田各駅に停車する。急行は平日の夕方下りのみ経堂駅を通過する。準急は全て千代田線直通になり、新宿発着が消滅。停車駅に千歳船橋・祖師ヶ谷大蔵・狛江各駅を加える。

一方、多摩線方面と千代田線方面を結ぶ多摩急行は廃止される。小田急運転車両部の田島寛之部長は11月1日の記者会見で「千代田線方面へ向かう利用者は圧倒的に(各駅停車のみ停車する)世田谷地区の駅からの利用が多い。しかし、従来の各駅停車は8両編成で、世田谷地区から千代田線(全列車10両編成)への乗り入れがなかなかできなかった。複々線化で(駅の)ホームも10両編成に対応することから、今回は世田谷方面からの直通に重きを置いて多摩急行を廃止した」などと話した。

特急ロマンスカーは、朝方に運行されている上り列車の名称を『モーニングウェイ』(小田原・片瀬江ノ島~新宿)と『メトロモーニングウェイ』(本厚木~北千住)に変更。土曜・休日のみ北千住~片瀬江ノ島間で運転する『メトロえのしま』を新設する。向ヶ丘遊園・新松田両駅の停車は取りやめる。

このほか、新型ロマンスカーの70000形電車がダイヤ改正にあわせてデビューする。70000形は老朽化したロマンスカーの7000形電車「LSE」の更新を目的に計画されたが、「LSE」の引退時期は未定だ。

●「座れる通勤列車」も強化

複々線化で可能となった輸送力の大幅な増強は、平日朝の上り方向(代々木上原着6時00分~9時30分)を中心に生かされる。

この方向・時間帯の運行本数は、今より21本多い105本に。ラッシュのピーク時(下北沢着8時00分前後の1時間)に限ると9本増の36本になる。

現在3本運行されている快速急行は25本増の28本に。ラッシュピーク時の所要時間は町田~新宿間が37分で、最大12分短縮される。他の区間でも登戸~新宿間が18分(最大短縮時間は9分)、小田急多摩センター~新宿間が40分(同14分)、経堂~大手町間が27分(同6分)になる。通勤急行は9本、通勤準急は11本運転される。

千代田線への直通列車は、急行・通勤準急・準急・各駅停車あわせて計28本を運転。今より17本増える。また、千代田線直通の多摩急行が無くなる多摩線から新宿駅に直通する通勤急行・急行が13本新設される。江ノ島線から新宿駅に直通する快速急行(江ノ島線内は急行)は15本運転される。

「座れる通勤列車」も強化される。座席指定制の『モーニングウェイ』『メトロモーニングウェイ』は、現在の特急ロマンスカーより4本多い11本を運転。このうち7本が新たに海老名駅に停車するほか、藤沢・大和・秦野・本厚木・相模大野・町田・新百合ヶ丘各駅の停車本数も倍に増える。また、小田急多摩センター始発の通勤急行を6本新設。藤沢・海老名・向ヶ丘遊園・成城学園前各駅始発の列車も増やし、途中駅からの乗車でも座席を確保しやすくする。

●新宿~小田原間は1時間切り

平日夕夜間の下り方向(新宿発18時00分~0時00分、同時間帯の千代田線直通含む)も増発される。全体の運転本数は今より39本多い176本。特急ロマンスカーが1本増えて24本になるほか、快速急行が28本増の35本(うち11本は新設の多摩線直通)になる。千代田線方面からの直通列車は24本ほ多い45本になる。日中は向ヶ丘遊園~千代田線直通の準急と唐木田~新宿間直通の急行を新設する。

土曜・休日は『メトロえのしま』新設のほか、新宿~片瀬江ノ島間で快速急行を83本運転する。『スーパーはこね』は新宿~小田原間の最短所要時間を今より5分短い59分とし、1時間切りを実現する。新宿~箱根湯本間も9分短縮の73分になる。

このほか、初列車の繰り上げと終列車の繰り下げも行われる。新宿方面への初列車は多摩線が今より30分繰り上げられるほか、小田原線や江ノ島線でも7~17分繰り上げられる。新宿発の終列車は多摩線方面が33分繰り下げられ、それ以外は7~25分繰り下げられる。

複々線の全面完成に伴う増発を中心とした改正だが、一方で各駅停車の列車が減る区間がある。平日朝方は小田原線新宿~代々木上原間と江ノ島線、多摩線で各駅停車を削減。日中(11~15時)は小田原線新松田~小田原間の各駅停車が削減される。

小田急は平日朝上り方向の大幅増発により、ダイヤ改正時点では混雑率が現在の192%から150%程度に引き下がり、その後は利便性の向上による利用者の増加で160%程度まで上昇すると見込んでいる。小田急の星野晃司社長は「外部の専門機関を通じて分析したところ、(利便性の向上で)3~4%程度は他社線からのシフトがあるだろう。売上げでは50億円プラスαの増加を見込んでいる」などと話した。
《草町義和》

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