【東京モーターショー2017】未来を先取り! 三菱電機『EMIRAI4』実機体験記

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三菱電機(東京モーターショー2017)
  • 三菱電機(東京モーターショー2017)
  • 東京モーターショーで展示される状態を先に体験させてもらった
  • 光の表現でドアまでの誘導を行ってくれる
  • ドアに近づくと足下に鍵のアイコンが表示され、上に乗ることでドアが上に上がる仕組み
  • 今回のデモを説明してくれたのは自動車機器開発センター 古本友紀氏
  • 乗車してすぐ目に入るクロッシングディスプレイには運転者と助手席に座る同乗者の状態を表示していた
  • Knob-on-displayにも運転席、助手席に座った人のステータスが表示される
  • クラウドに蓄積されたユーザー情報から行き先や趣味嗜好を組み込んだ選択肢が表示される

「ようこそ、EMIRAIへ!」そんなウェルカムメッセージから始まる、三菱電機のコンセプトカー『EMIRAI4』。ひと足お先に乗ってきました。

今回の東京モーターショーで三菱電機さんは『Feel the EMIRAI ~未来はここにある~』をコンセプトに掲げ、同社が考える「スマートモビリティ時代のクルマ社会のなかでクルマとクルマ、クルマと人やバイクや自転車などのコミュニケーションがどう変わるのか。どのように安心、安全になるのか、を一つのコンセプトカーで提案。今後のキーとなるであろう「電動化」、「自動運転」、「コネクテッド」のシステム体験や、製品展示を見ることができる。
東京モーターショーで展示される状態を先に体験させてもらった

《東京モーターショーで展示される状態を先に体験させてもらった》

そんな三菱電機ブースで可能であればこのモーターショーに向けて新開発された『EMIRAI4』というコンセプトカーでの実機体験をおすすめしたい。開発コンセプトは『Feelings with you ~一人ひとりに、やさしく、安心で心地よく~』。2020年以降のスマートモビリティ時代のクルマ社会に向け、低炭素化・持続可能なクルマ社会を支える「電動化」、安心・安全な社会に貢献する「自動運転」、同乗者一人ひとりに快適さを提供する「コネクテッド」の3つの分野における開発成果を集約したコンセプトカーとなっている。この体験での見どころ、触れどころは先ず3つのディスプレイ。一つはメーターパネル位置に採用される「クロッシングディスプレイ」、そしてその上奥に置かれた「ヘッドアップディスプレイ」、そして「Knob-on-display」だ。さらに「ドライバーモニタリングシステム」や「ライティング」の安全性かつ快適性、そしてオシャレな採用方法もぜひ注目してみて欲しい。
光の表現でドアまでの誘導を行ってくれる

《光の表現でドアまでの誘導を行ってくれる》

ドアに近づくと足下に鍵のアイコンが表示され、上に乗ることでドアが上に上がる仕組み

《ドアに近づくと足下に鍵のアイコンが表示され、上に乗ることでドアが上に上がる仕組み》

では改めて、このコンセプトカー『EMIRAI4』のインプレッションをご紹介しよう。スタイルは2シーターのSUVをイメージ。ちなみに左ハンドルだ。私が運転席のほうに向かって歩くと白いライティングが「こっちだよ」と言わんばかりに導線を表わしてくれる。それも水中を魚が動いたときにできる波紋のような動きのあるライティングが、気持ち良く、楽しい。さらに近づくと“鍵”のマークが点灯。その上に立つとセンサーが認識し、ドアロックが解除されガルウィング風のドアが自動的に開いた。
今回のデモを説明してくれたのは自動車機器開発センター 古本友紀氏

《今回のデモを説明してくれたのは自動車機器開発センター 古本友紀氏》

乗車してすぐ目に入るクロッシングディスプレイには運転者と助手席に座る同乗者の状態を表示していた

《乗車してすぐ目に入るクロッシングディスプレイには運転者と助手席に座る同乗者の状態を表示していた》

Knob-on-displayにも運転席、助手席に座った人のステータスが表示される

《Knob-on-displayにも運転席、助手席に座った人のステータスが表示される》

運転席に乗り込むと…、さっそく顔認識による、個人認証の開始。広角カメラで助手席の人も認識できるのが特長で、すぐにセンターパネルのKnob-on-displayとクロッシングディスプレイに二人の顔写真が現れた。これで認証OKのようだ。「ようこそ、EMIRAIへ。イイダさんと古本さんに合わせて車内設定を変更しました」というアナウンスがあり、私のシートポジションもヘッドアップディスプレイが見える位置へと自動的に合わせてくれた。モビルスーツを着る感覚? 着たことはないけれど…。(この例え、合ってますか?)Knob-on-displayにはバッテリーの量などのクルマの状態、乗車する二人の健康状態と感情までも表示されている。これらの認識は、ドライバーモニタリングシステムを使っているそうだ。ドライバー席の居眠りなどの異変も検知することができるため、将来の自動⇔手動運転には必要となる機能。EMIRAI4の場合、助手席の人もモニタリングできるところが新しい。
クラウドに蓄積されたユーザー情報から行き先や趣味嗜好を組み込んだ選択肢が表示される

《クラウドに蓄積されたユーザー情報から行き先や趣味嗜好を組み込んだ選択肢が表示される》

ここからのデモのシナリオはこうだ。顔認証をすることで車両側に二人のスケジュールデータをダウンロード。いつ、どこに行くかというルートは予めスケジュールをもとにナビにセットされるが、ランチするレストランだけが決まっていないという状況。そこでKnob-on-displayが活躍する。大きな場面の下にはカスタネットくらいのサイズの丸い”ノブ“が配置されている。それを回したり、時計の振り子のような可動域を持つノブを左右に動かしたりして設定や検索や決定をする。クラウド情報によって二人の趣味や好みもわかっているので、それらの情報を基にクルマが充電ができるおすすめのお店をリコメンド。ディスプレイにたくさんのレストランがリスト表示される。液晶ディスプレイが大きく、画質もきれい。リストがたくさんあっても、とても見やすい。ノブをまわすとリスト閲覧が可能になる。そのノブを右にスライドさせれば一軒の詳細表示になり、さらに奥までグッと押せば“決定”。このスライドと決定の感触の違いも質感や重さにこだわられているみたい。会場で体験する方は、こんな感覚的なところにもご自身のセンサーを働かせて試してみてほしい。
ユーザーステータスや行き先など色々な情報がKnob-on-displayには表示されることとなる

《ユーザーステータスや行き先など色々な情報がKnob-on-displayには表示されることとなる》

目的地の駐車場に到着→オートパーキングを利用する。自動駐車で青色に光り、外の人にもわかるように車体リヤには“PARKING”の表示。クルマは駐車場に入ると空いているスペースを認識し、ドライバーはどこに駐車するかをKnob-on-display上の候補からタッチパネルを使って選択。ドライバーは降車して、そのままレストランに向かうことができる(想定)。ここでもライティング技術が光る。ドアを開ける際はドアノブが光り、そこをタッチするとドアが開く。また、周囲には「ドアが開きますよ」の周知をするためのライティングもあり。降車する際には目的の建物方向に向かって足元にサインを照らし、エレベーターがあることもグラフィックで教えてくれる。その体験が新鮮だからか、とてもオシャレで優雅な気分になれた。
EMIRAI4はクルマの外側にいる歩行者にも光とアイコンで色々な注意喚起を行ってくれる。説明してくれたのはデザイン研究所 福高新作氏

《EMIRAI4はクルマの外側にいる歩行者にも光とアイコンで色々な注意喚起を行ってくれる。説明してくれたのはデザイン研究所 福高新作氏》

ライティングはビジュアルで人を愉しませ、さらにメッセージも送ることができる素敵な技術。将来的にはグラフィックは統一されたりするのかもしれないけれど(非常口のマークや交通標識のように)、これまでは表示は動かなったが、これからは注意喚起の先回りもできるようになるのだろう。それはドライバーにとっても歩行者にとっても周囲のクルマやバイク、自転車にとっても安全リスクが高まるだろう。ライティング一つでも、変わるものだと実感できた。
高速道路の自動運転中には各種センサーで状況を読み取って適切な走行を行ってくれる

《高速道路の自動運転中には各種センサーで状況を読み取って適切な走行を行ってくれる》

高速走行シーン。運転席正面の大きなクロッシングディスプレイの奥行があり立体感のある表示が可能な点はとても興味深い。視認性を重視をしているからちょっと暗めだが、何かのショーケースを覗いているみたいにも見える。
ここに映し出される情報や設定はまだまだ様々可能であるのは想定内。今回は画面左右下には電子サイドミラーが映し出す(モニターする)画像を常時表示し、画面中央は走行中の自車と自車の周辺情報および警告、左にはオーディオ関係、右側には地図が表示されていた。
クロッシングディスプレイについて説明してくれたのは自動車機器開発センター 開発第二部長 渡部秀雄氏

《クロッシングディスプレイについて説明してくれたのは自動車機器開発センター 開発第二部長 渡部秀雄氏》

高速道路の走行シーンでは、今回は必要があれば、もしくは一般道に降りる前にはドライバーが手動運転を行うため、切り替える必要がある、自動運転レベル3あたりを想定。自動運転中のEMIRAI4のダッシュボードはブルーに光り、ディスプレイには“AUTONOMUS”の文字が表示されている。ちなみに手動になるとグリーンへと色が変わる。さらにクルマのリヤバンパーの上あたりもブルーに点灯し、“AUTONOMUS”=自動運転走行中であることを文字にて周囲にも伝える。つまり、中の人も外のひともその車輛の状態がわかるようになっているのだ。そして手動になれば”MANUAL”に変わる。
車間距離や割り込み検知の状況もクロッシングディスプレイに分かりやすく表示される

《車間距離や割り込み検知の状況もクロッシングディスプレイに分かりやすく表示される》

デモンストレーションでは右後方から来た車がその前を走るトラックを追い越そうと車線変更を行って割り込むシーンを体験した。クロッシングディスプレイにはクルマがやって来る画像(CG)がリアルタイムで映し出され、EMIRAI4はそのクルマの動きを先読みし、減速、割り込みを開始したあたりから車間調整をスムーズに行うためのさらなる速度調整を行った。もう一つの体験は障害物検知と回避動作のデモ。前方を走るクルマの先に障害物があるらしい。クロッシングディスプレイには「“●●●mのところに障害物あり”」のメッセージが表示される。そのまま障害物までの距離をカウントダウン…。前方にはいくつもの段ボール(立体的なCG!)が落ちていたのだが、EMIRAI4は自動的にウインカーを出し、右車線へと移動し回避した。
「自動運転はクルマが勝手に動くわけで、クルマがなぜ動いているのか、をクロッシングディスプレイに表示する。それがドライバーのみならず乗っている人にも安心感を与えるはず」と三菱電機 自動車機器開発センター 渡部秀雄氏とおっしゃるが、本当にその通りだと思う。この間、Knob-on-displayでは野球中継を映し出し、ときどき自動運転までの切替時間を文字情報でも表示する。このあたりの認知や判断は重要になるだろう。ほどなくして「まもなく自動運転区間を終了します」、というメッセージとアナウンスあり。同時にドライバーモニタリングシステムがドライバーが手動運転に切替可能な状況かどうかのモニタリングを開始。ポイントは3つあった。目が開いているか、前を向いているか、ハンドルを握っているか。すべてがOKとなると、ダッシュボードがグリーンに光り始めた。
自動運転から手動運転への切り替えは運転者の状態をセンサーで確かめた上で切り替わる

《自動運転から手動運転への切り替えは運転者の状態をセンサーで確かめた上で切り替わる》

一般道走行では、バイクが自車を追い越そうとする様子などを知ることができるほか、濃霧のなかでの走行体験ができた。ここではクロッシングディスプレイとヘッドアップディスプレイを使った情報表示が、感覚的に距離感も感じさせているのがいいと思えた。バイクの追い越しについても、クロッシングディスプレイで注意喚起をすることができる。どちら側に迫ってきているのか、クロッシングディスプレイ内の電子サイドミラーに表示するようだ。電子サイドミラーのフレームを赤く点灯させることで意識をそちらに向け、ミラーの中のバイクを認識することができる。電子サイドミラーは既存のサイドミラーよりも明らかに目線の移動が少なく、少なくともEMIRAI4はとても見やすくて、これなら今すぐにでも実用化して欲しい。
見通しの悪い濃霧でもセンサーが対向車を検知して注意喚起を行ってくれる

《見通しの悪い濃霧でもセンサーが対向車を検知して注意喚起を行ってくれる》

また濃霧のような前方がまったく見えない状況では、ミリ波レーダーなどのセンシング技術を活用して対向車を検知しARでドライバーに知らせる。
ヘッドアップディスプレイでも対向車や車線キープなど運転に必要な情報に絞って表示してくれる

《ヘッドアップディスプレイでも対向車や車線キープなど運転に必要な情報に絞って表示してくれる》

目の前の車線も判別できないほどの濃霧のなかではカメラでの認識は難しい。そこでミリ波レーダーなどのセンシング技術を活用する。対向車を検知した場合は、ヘッドアップディスプレイ上に常時表示されている2本の緑色の車線が、対向車側のみ赤く光るのでリアルタイムで注意を促すことができる。つまり手動運転にとっても、自動運転の技術とHMIの技術を融合することで、より安全運転ができる。

これらがEMIRAI4に搭載された技術となる。今回は全部で11の体験が用意されているそうだが、会場では多くの方に体験をしていただきたいということで、そのうちのいくつかを3分くらいで体験できるそうだ。少し先のクルマ社会を、皆さまも覗いてみてはいかがでしょうか。
◆三菱電機 東京モーターショー特設サイトはこちら◆

《飯田裕子》

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