ホンダ、国内の過剰生産能力問題にようやく区切り…4輪事業の営業利益率が改善か

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ホンダの八郷隆弘社長(右)と山根庸史専務取締役
  • ホンダの八郷隆弘社長(右)と山根庸史専務取締役
  • ホンダの八郷隆弘社長

ホンダは10月4日、急遽記者会見を開き、八郷隆弘社長が国内4輪車の生産体制を再編すると発表した。「国内生産拠点の進化」と強調したが、生産拠点を4カ所から3カ所に集約するわけで、「選択と集中」と言っていいだろう。

具体的には、「オデッセイ」などの中型車を生産する狭山工場(埼玉県狭山市)の生産ラインを2021年度を目処に寄居工場(埼玉県寄居町)に移管し、約4600人いる従業員も寄居工場に異動する。

「電動化や知能化など新技術の急速な進展により、自動車産業は過去にない大転換期を迎えている。クルマづくりがこれから大きく変化することから、開発現場だけでなく生産現場も大きく進化させる。日本のモノづくりを強化し、日本が世界をリードする体制を築く」と八郷社長は強調した。

ホンダは2003年に社長に就任した福井威夫氏が国内販売100万台を掲げ、販売体制を見直すとともに、埼玉県寄居町に新工場の建設を決断した。しかし、販売台数は伸び悩み、そのうえリーマンショックが起こり、国内販売100万台の目標は遠い彼方に行ってしまった。寄居工場も計画が延び延びになり、2013年にようやく操業を開始した。これによって、ホンダの国内4輪生産能力は100万台に拡大した。

それに合わせて、当時社長だった伊東孝紳氏は国内で年間100万台をつくる目標を掲げた。ところが、小型車「フィット」のリコール問題もあって達成できず、ずっと年産80万台をウロウロする有様だった。文字通り、約20万台が過剰生産能力となってしまったわけだ。ホンダの4輪事業の営業利益率が低いのも、それが一因になっていると言ったいいだろう。

四半期ベースでの四輪事業の営業利益率を見ると、2016年度第1四半期7.3%、第2四半期5.5%、第3四半期5.0%、第4四半期5.0%、そして2017年度第1四半期5.3%と、二輪事業の15.5%(2017年度第1四半期)に比べて格段に低い。もちろん、同業他社と比べても、低く、平均以下であるのは言うまでもない。

「狭山が寄居に集約されると、年間81万台の生産能力になる。70万台を国内販売に、10万台を輸出に充てる。これでほぼ100%近い稼働率に国内がなり、競争力がついてくる」と八郷社長。

同時に、寄居工場では電動化などの新技術に対応した生産技術を構築、標準化するための実証ラインを新設する。そして、その技術、プロセスをグローバルに水平展開し、高品質な新製品をスピーディーに出していくという。

現実を重視する八郷社長が今回、課題だった国内4輪の過剰生産能力問題にようやく区切りをつけたことになり、これからホンダの4輪事業の営業利益率も良くなっていきそうだ。しかし、まだまだホンダには元気がないという声も多い。やはりホンダらしいクルマでヒット車を生み出すことが重要だ。
2つの誤算と電動化への対応急務で狭山工場閉鎖へ舵…

《山田清志》

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