伊イベコが日本進出、BRTを両備と共同開発 2018年めどに運行開始

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イベコ社の天然ガス連節バス「クレアリス」
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  • イタリア大使館で9月6日に行われた記者発表のようす
イタリアの産業用車両製造会社大手、イベコ社(Iveco:Industrial Vehicles Corporation)は、液化天然ガス(LNG)で動くトラック・バスで日本市場に進出すると発表。2018年からイベコ社の天然ガス連節バスが国内で走り始める。

イベコ社は、フィアット、ランチア、マギリスなどの産業用自動車部門が統合され、1975年に生まれたバス・トラック製造会社。伊トリノに拠点を置き、ヨーロッパ、ブラジル、ロシア、オーストラリア、アフリカ、アルゼンチン、中国など世界11か国に生産工場を持ち、160か国以上の約5000拠点で販売・サービス活動を展開。

同社は今回、日本市場に進出する「最初のステップ」として、岡山を拠点とする両備ホールディングスと覚書を締結。バスや鉄道、フェリー、物流、車両整備などを手がける両備グループは、イベコ社からバスの組み立てや車両のメンテナンスの依頼打診を受けていた。

「ちょうどことし6月に両備テクノカンパニーで20メートル級のバスやトラックのメンテナンスや組み立てのできる倉敷工場を新設していたこともあり、要請に十分こたえることができるので、販売も含め業務提携に関する検討分析を進めることにした」(両備グループ小嶋光信CEO)

イベコ社側から両備グループへ、完成車両の提供をはじめ、シャシのみの半完成車両の提供や技術供与を行い、国内向けバス・トラックを開発。両備グループは、イベコ社ベースの日本仕様バス車両を組み立てていく。

◆路面電車に代わるBRT「クレアリス」が国内を走る

イベコ社が日本に送り込むBRT車両「クレアリス」(CREALIS)は、天然ガスエンジンを動力とする12・18メートル級の連接バス。フランスでは、路面電車の代替え手段としてクレアリスの導入がすすみ、「線路敷設不要」「架線柱などで景観を損なわない」「排出ガス公害問題を解消」といったメリットを生んでいる。

同社はバスを基盤とした大量輸送システム、BRT(バス・ラピッド・トランジット)の特徴について「バス専用レーンを採用すれば、路面電車の高速・高頻度・安定サービスを引き続き運用可能。線路などのインフラが不要なので、初期投資を安く抑えられるうえ、市街地の複雑な都市交通でも運用可能」と伝えている。

既存のクレアリスは、左ハンドル、乗降ドア右側と、日本の道路事情に適さないレイアウトなので、「両備グループとともに日本向けBRT車両を開発・製造していく」。

このイベコ社の天然ガス車を取扱うアイティーエス ジャパン(千葉県船橋市)は、「国内の販売目標は、年間販売台数の1割となる40台をめざす」という。

◆天然ガス自動車は電気自動車よりも現実的

ヨーロッパでは、天然ガス自動車の普及が加速している。EUでは、燃料電池車や電気自動車はまだ技術革新が必要で2050年ごろまでは実用化できないという考えが一般的で、こうした車両が実用化されるまでの代替えエネルギーとして、環境面・実用面・コスト面からも現実的な天然ガス自動車を選択した。

世界では、EV約200万台に対し、NGV(Natural Gas Vehicle、天然ガス車)はその12.5倍の約2500万台が走っている。そのなかでもアジアが最も多くを占め、トップの中国は500万台、充填所は8000か所弱もある。天然ガス車保有台数ランキングでは、1位の中国から、イラン(400万台)、インド(300万台)、パキスタン、アルゼンチン、ブラジル、イタリア、コロンビア、タイ、ウズベキスタンと続く。

今回、イベコ社が日本に送り込む天然ガスエンジン搭載バス・トラックのもうひとつの特徴は、バイオガスに対応しているところ。

フランス・リール市は、市内の路線バスに天然ガス搭載車を選択。原発王国のフランスは、電気代が比較的に安いことから、電気バスも検討されたが、架線を引くコスト、航続距離の短さ、初期コスト増大、バッテリー廃棄処理の環境負荷などからあきらめ、天然ガスバスに決めた。

そして家庭ごみが集積されるバイオガスプラントと、バス車両基地を併設させることで、ゴミ処理場で発生したバイオガスをすぐとなりにあるバス車両基地で充填できるという仕組みもつくった。

フランス・リール市にみるこうした光景が、日本国内にも出現するか――。

イベコ社は「バイオガスでも走行できるクレアリスは、二酸化炭素、窒素酸化物がいっさい出ない究極のエコ交通手段。今後も、充填システムも含めたトータルの都市交通システムとして、世界各国に普及展開させていく」という。
《大野雅人》

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