ZMPと日の丸交通は7月11日、東京五輪に向けた自動走行タクシー実現のための研究会を発足した。以前から両社は、タクシー配車サービスに関連して提携していたが、今回、東京オリンピックに向けて自動走行タクシーの実現を目指すため、他のタクシー会社も巻き込んで実現に向けて加速していくことを目指すもの。
ZMPの谷口恒社長は、記者発表会で登壇し、「ドライバーと自動走行は相互補完の関係だ。タクシードライバーは高齢化が進んでおり、人手不足はますます深刻になる。ドライバーの人手不足分を自動走行タクシーが補い、またドライバーの収益性が低いエリアや、深夜早朝などドライバーにとってきついところを自動走行タクシーが補っていく」と、既存のタクシーとは競合関係ではないことを強調した。
さらに、「自動運転タクシーの認定整備工場を計画している。センサーやコンピューターなど自動運転向けの機器も提供し、(タクシー産業が)自動運転タクシーを導入して持続的に発展していただくための役割を担っていきたい」と付け加えた。
研究会の目的については、「2020年にレベル4の自動運転タクシーを商用化することが重要だ。レベル2や3でもいいのでは、という声もあるが、それでは海外勢にやられてしまう。そうならないよう、2020年のレベル4の自動走行タクシーの本格営業を目指し、法規制、利用料金、走行エリアなどについて議論し、政府および各省庁に実現に向けて働きかけていく。日の丸交通とZMPが発起人となるが、ほかのタクシー会社に広く参加をよびかけていく。」と説明した。
続いて日の丸交通の富田和孝社長が登壇し、「日の丸タクシーのブランディングのためにやっているわけではない。タクシー産業の発展のためにやっている。自動運転とタイアップすると言うと、ドライバーを否定するのかと言われるが、それは違う。タクシーと自動運転が利用者の利便性向上につながり、産業が発展すると考えている」
「タクシーの稼働率は下がり続けている。また、人手不足、高齢化、過疎地のタクシー不足などの問題がある。自動走行タクシーは需給のバランスの調整弁だ。訪日外国人は増え続けている。2019年のラグビーワールドカップ、2020年オリンピックに向けて、既存のタクシーだけでは担いきれなくなる。Uberなどのライドシェアサービスを導入するしかない、という議論にならないためにも、補完しあっていきたい。」と危機感を表した。
研究会の発足については、「2020年にレベル4の自動走行タクシーを運用するため、タクシー会社が、有人・無人に関わらずきちんと運営していくための法整備が不可欠。タクシー会社全体で同じベクトルに向かって全力で取り組まないとお客様のニーズを満たすことはできないと確信している」と説明した。
また今後、他のタクシー会社を巻き込んでいくために、「自動走行タクシーがタクシードライバーを守ると信じている。この共通認識が重要。既存のタクシーにリプレイするという危機感があるので、研究を進めて情報発信をする、安心感を持っていただくのが一番の近道だと考えている」と抱負を語った。