JR北海道、高架橋の耐震補強工事に着手…新札幌、千歳高架橋を優先的に施工

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新札幌駅を出る上り『スーパー北斗』。この先(札幌方)に今回、耐震補強工事が行なわれる高架橋が続く。新札幌駅は千歳線が新線に切り換えられた1973年に開業した高架駅だが、44年を経て耐震補強工事の必要に迫られている。
  • 新札幌駅を出る上り『スーパー北斗』。この先(札幌方)に今回、耐震補強工事が行なわれる高架橋が続く。新札幌駅は千歳線が新線に切り換えられた1973年に開業した高架駅だが、44年を経て耐震補強工事の必要に迫られている。
  • 耐震補強工事が行なわれる新札幌高架橋は、新札幌駅の前後、延べ2.1kmの部分が相当する。
  • 千歳駅は1980年に高架化されている。その前後、延べ2.4km部分の高架橋で補強工事が行なわれる。

JR北海道は5月11日、高架橋の耐震補強工事を2017年度から着手すると発表した。

現在、JR北海道には1983年以前の設計基準で建設された、耐震補強を必要とする高架橋が次の8ヶ所存在する。

●千歳線=新札幌(平和~上野幌間延長2.3km)、千歳(長都~千歳間延長3.3km)、輪厚・大曲(上野幌~北広島間延長0.6km)

●函館本線=三樽別(手稲~発寒間延長1.1km)、小樽(小樽~南小樽間延長0.3km)、七飯(七飯~大沼間延長0.9km)

●宗谷本線=旭川四条(旭川~新旭川間延長1.2km)、稚内(南稚内~稚内間延長0.5km)

これらの高架橋は、東日本大震災や熊本地震のような激甚災害を考慮して、震度7程度の地震が発生した際に、柱が大きく損壊するか否かを計算により判定する「耐震診断」が必要とされている。

このうち、新札幌高架橋と千歳高架橋は、いずれも輸送量が最大であるにも拘わらず、新札幌は1955年、千歳は1970年の設計基準で建設されていることから、優先的に耐震補強工事が進められることになった。

工事は国からの支援金を活用して2017年度から2021年度にかけて行なわれる予定で、高架橋柱の補強が施工される。

総工費は新札幌高架橋が21億4000万円、千歳高架橋が9億6000万円を見込んでおり、そのうち前者は11億5000万円、後者は7億1000万円までが投資決定済となっている。

なお、両高架橋に絡む高架駅部(新札幌駅、千歳駅)については、2006年に国土交通省が出した「1日の平均利用者数が1万人以上、かつ、折返し設備を有する、または他路線と接続している鉄道駅は、耐震補強に努めること」という通達により、関係自治体と耐震補強工事の協議が行なわれている。

駅部の総工費は新札幌駅が27億円程度、千歳駅が16億円程度を見込んでいるが、こちらは国、関係自治体がそれぞれ3分の1の工事費を負担する「鉄道施設総合安全対策事業費補助」を受けることができる。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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