JR北海道は5月11日、高架橋の耐震補強工事を2017年度から着手すると発表した。
現在、JR北海道には1983年以前の設計基準で建設された、耐震補強を必要とする高架橋が次の8ヶ所存在する。
●千歳線=新札幌(平和~上野幌間延長2.3km)、千歳(長都~千歳間延長3.3km)、輪厚・大曲(上野幌~北広島間延長0.6km)
●函館本線=三樽別(手稲~発寒間延長1.1km)、小樽(小樽~南小樽間延長0.3km)、七飯(七飯~大沼間延長0.9km)
●宗谷本線=旭川四条(旭川~新旭川間延長1.2km)、稚内(南稚内~稚内間延長0.5km)
これらの高架橋は、東日本大震災や熊本地震のような激甚災害を考慮して、震度7程度の地震が発生した際に、柱が大きく損壊するか否かを計算により判定する「耐震診断」が必要とされている。
このうち、新札幌高架橋と千歳高架橋は、いずれも輸送量が最大であるにも拘わらず、新札幌は1955年、千歳は1970年の設計基準で建設されていることから、優先的に耐震補強工事が進められることになった。
工事は国からの支援金を活用して2017年度から2021年度にかけて行なわれる予定で、高架橋柱の補強が施工される。
総工費は新札幌高架橋が21億4000万円、千歳高架橋が9億6000万円を見込んでおり、そのうち前者は11億5000万円、後者は7億1000万円までが投資決定済となっている。
なお、両高架橋に絡む高架駅部(新札幌駅、千歳駅)については、2006年に国土交通省が出した「1日の平均利用者数が1万人以上、かつ、折返し設備を有する、または他路線と接続している鉄道駅は、耐震補強に努めること」という通達により、関係自治体と耐震補強工事の協議が行なわれている。
駅部の総工費は新札幌駅が27億円程度、千歳駅が16億円程度を見込んでいるが、こちらは国、関係自治体がそれぞれ3分の1の工事費を負担する「鉄道施設総合安全対策事業費補助」を受けることができる。