VWの中期戦略…eモビリティのリーダー目指す、T-ROC 市販化

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フォルクスワーゲン「2017Annual Session」
  • フォルクスワーゲン「2017Annual Session」
  • VW T-ROC(ジュネーブモーターショー2014)
  • フォルクスワーゲン アーテオン Rライン

●VW、eモビリティのリーダー目指す…2025年までに

欧州の自動車最大手、フォルクスワーゲンは5月5日、ドイツ・ウォルフスブルグにおいて、「2017Annual Session」を開催した。

2017Annual Sessionは、フォルクスワーゲンブランドの戦略や財務状況を、より詳しく説明するために開催されたもの。フォルクスワーゲンブランドの中期的な戦略が示された。

フォルクスワーゲンは、「Transform 2025+」戦略に基づいて、3つの段階で変革を実施することを計画。フォルクスワーゲンは2020年までに中核事業を再編し、2025年までには、eモビリティ(EVやPHVなど電動自動車)における世界的なマーケットリーダーになることを目指す。

さらに、2025年からは、自動車業界の大きな変革を主導的立場から実施するため、新しいモビリティソリューションとビジネスモデルに焦点を当てる予定。フォルクスワーゲンブランドは今後、再編とともに、急速に前進することが強調された。

フォルクスワーゲンブランドのヘルベルト・ディースCEOは、「未来に向けて、フォルクスワーゲンを競争力のあるブランドにしていく。2025年までに、絶え間なく変化する自動車業界において、主導的役割を果たすことを目指す」と語っている。

●VWがSUVで新型車攻勢、2018年末までに7車種…「T-ROC」も市販化へ

フォルクスワーゲンは5月5日、中期的な新型車の発売計画を明らかにした。

フォルクスワーゲンが製品戦略の重要な要素に位置付けるのが、SUV。フォルクスワーゲンは、このセグメントにおける存在感を大幅に強化し、SUVの全世界ラインナップを、当初の2車種から19車種に拡大する予定。

すでに最近の数か月間では、『アトラス』、『テラモント』、『ティグアン・オールスペース』の3車種を投入。さらに2018年末までに、7つの新型SUVが全世界で発売される計画。中でも、コンセプトカーの『T-ROC』(ティーロック)の市販モデルは、販売台数および収益増加に大きく貢献すると見込む。

市場別では、北米が2020年までに、毎年2つの新型モデルを発売する予定。中国では、市場リーダーの地位を守ることが極めて重要。そのため2018年までに、さらに9つの新型車を投入する計画。現地生産される「ニュー・エナジー・ビークル」を重視していく。

●売上高10%増と営業利益率3.5%達成へ…2017年目標

フォルクスワーゲンは2017年通年(1~12月)の業績目標を明らかにした。

同社は2017年通年、第1四半期(1~3月)に記録した好調な業績が、今後も継続すると予測する。売上高は前年比およそ10%増、営業利益率は予想された2.5~3.5%の上限値となることを見込む。

このことは、2020年までに少なくとも4%、2025年までに6%に設定した営業利益率の目標に向かって、順調に推移していることを意味している。

2017年の主な焦点は、競争力の強化。フォルクスワーゲンは、2017~2018年にかけて、生産性を2年連続7.5%向上させることを狙う。生産能力とコスト意識を高め、各地域における継続的な製品攻勢と収益性の改善に取り組むことが、競争力のあるポジショニングの確立にも貢献することにつながる。

フォルクスワーゲンブランドのヘルベルト・ディースCEOは、「第1四半期の好調な業績は、今後の追い風となるだろう。しかし、これで2017年は安泰とは言えないことは明らか。今は、断固たる決意を持ってこの流れを維持し、やるべき仕事を続けていくことが重要」と述べている。

《森脇稔》

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