第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストが、国内自動車産業のマクロ経済分析レポートを公表した。
自動車産業は、一般的にはすそ野が広いと言われるが、他産業における影響力はどれほどなのか。それを明らかにした上で、生産や出荷販売の急減による国内経済の影響について試算したレポートだ。
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自動車産業の影響力は、経済産業省の産業連関表を使った乗用車の生産構造から知ることができる。
「産業関連表で乗用車の生産構造を見ると、100万円の『乗用車』を生産するために投入される原材料金額は86.7万円。この部分が自動車産業のすそ野となり、他の産業への影響力を高める要因になっている」
レポートに記された86.7万円の原材料、内訳は下記の通りだ。(1万円以上に限定)
自動車部品・付属品…53.7万円
鉄鋼…4.7万円
プラスチック・ゴム…4.2万円
教育・研究…4.1万円
商業…2.9万円
産業用電気機械…2.5万円
民生用電子機器…2.1万円
窯業・土石製品…2.0万円
運輸・郵便…1.8万円
その他の電気機械…1.7万円
その他の対事業所サービス…1.6万円
業量的、質的な多様さが、自動車産業の影響力を物語っている。永濱氏は、こうも言う。
「産業関連表(2011年、総務省)に基づけば、乗用車に対する需要が1単位増えると、関連産業を含めた生産額が3.0単位増える。他の産業に比べて生産誘発効果が大きいことが確認された」
永濱レポートでは自動車だけでなく他の産業の生産誘発効果についても示しているが、「乗用車」と「その他の自動車車」生産以外には、3.0を超える産業は見当たらない。次いで「鉄鋼」の2.8と続くが、それと同率で「自動車部品・付属品」生産の2.8がある。自動車産業の動向は、それだけ注目に値する。