ヨーロッパのカーオブザイヤー2017に輝いたのがSUVのプジョー『3008』。世界的に高まるSUV人気に合わせてPSAが放ったモデルは、ヨーロッパで高い評価を得たが、日本仕様のフィールはどうなのだろう。早速、東京都内の市街地で短時間ながら3008に試乗した。エクステリアデザインはSUVらしい存在感と力強さを感じるが、3008のデザイン的なハイライトはインテリア。運転席に乗り込むとセンターコンソールがドライバーに向かって囲むようにレイアウトされている。プジョーがニュー「i-cockpit」と呼ぶインターフェイスは、SUVでありながらスポーティモデルのような印象だ。特に美しいのがセンターに配置された、ピアノの鍵盤のようにきれいに並ぶ光輝メタル調のスイッチ。そこからコンソールまで光輝パーツが続くため、よりコックピット感覚が演出されている。インターフェイスで新しいのがシフトレバー。バイワイヤーのそれはBMWなどと同じような短いストロークでDやRレンジをセレクト可能。最初は操作感が独特だがすぐに慣れ、Pモードのスイッチもレバーにビルトインされているため扱いやすい。試乗車は1.6リットル直噴ターボに6速ATを組み合わせた「3008 GTライン デビュー エディション」(車両価格400万円)。ACCと走破性を高めるアドバンスドグリップコントロールを標準装備する。「アリュール」など通常のガソリングレードでは、これらの装備を選ぶことはできない。3008は『308』と車両重量を比べると180kgほど重い1470kgだが、アクセルを軽く踏むと重量増を感じさせないほど軽快にスタート。1400回転から最大トルク240Nmを発揮するため、ボディが大きくなったようには感じない。EPB(電動駐車ブレーキ)のスイッチの手前にスポーツモードスイッチが配置され、これをオンにするとさらに活発に走ることができる。都内の走行でも、ちょっと先行して車線変更したいときにはスポーツモードを選ぶと走りやすい。最新プラットフォームのEMP2を採用するため、先進安全装備の充実度が高いのも3008の特徴。ACCを作動させると全面液晶メーターの中央部に自車と先行車が大きく表示されると同時に、作動状態が日本語で表示されるのも親切。追従から停止保持まで行うが、なぜか再発進はアクセルをちょっと踏んでも追従走行を再開せず、再びセットしなければならなかった。気になったのがもう1つ。EPBを装備しているのにもかかわらず、停止時にペダルフリーになるホールドモードがないのも残念。走破性を高めるアドバンスドグリップコントロールのスイッチはシフト横に装着され、路面状況に応じてダイヤルで走行モードを選べるが、これも試す路面状況がなかった。今回は短時間の試乗だったため高速道路や悪路を走ることができなかったが、高速のロングドライブでパワフルな走行と省燃費走行を両立させているはずの1.6リットル・ターボディーゼルのブルーHDiは、今年8月に導入予定。価格は今回試乗した限定車より少し高いが、426万円と魅力的な価格だ。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。