メルセデス・ベンツ日本は2016年の販売台数について、グローバルでは6年連続、日本は4年連続で過去最高台数を記録したと発表した。
グローバルでの台数は、初めて200万台を超え、「2004年以来12年ぶりに高級車市場であるプレミアムブランドのナンバー1に返り咲くことができた」とはメルセデス・ベンツ日本代表取締役兼CEOの上野金太郎氏の弁。
「メルセデスベンツにとって歴史上最も成功した年だった。最新のテクノロジーを搭載した数々の新車を投入し、更に中国市場のテコ入れを図り10万台以上プラス出来たことが、この首位奪還につながった」と、ダイムラー社会長のディーター・ツェッチェ氏が、1月9日のデトロイトモーターショー2017でのコメントを披露。
また、ダイムラー社が昨年のパリモーターショー2016で発表した中・長期戦略、“CASE”について、「コネクティビティ(接続性)のC、オートノマス(自動運転)のA、シェアードモビリティ(共有サービス)のS、エレクトリックモビリティ(電動化技術)のE、それぞれの頭文字だ」と述べる。
コネクティビティについて上野氏は、「クルマとドライバー、クルマとクラウド、そして、クルマとクルマなどをコネクトさせることによって、クルマがより安全で利便性の高いモビリティへと変化していく」と話す。例として、「まだ開発中だが、クルマの中に健康を取り入れる技術がある」という。これは、車内、あるいはドライバーが装着するデバイスのセンサーからデータを収集し、ドライバーの心身の状態を読み取り分析。そして、音楽、光、空調、シートを調整してリラックス出来、安全な状態に整えるものだ。クルマが心拍や脈拍などからドライバーの状態をモニター検知し、応答がない場合は自動でブレーキをかけたり、安全な場所で停止させ、更には救急車を呼ぶことも可能になる。
次にオートノマスでは、「自動運転で最近力を入れている領域はマップデータとAIの活用だ」と上野氏。近年、ダイムラー、BMW、アウディの3社がNOKIAから共同買収したHERE社は、世界各地の3Dマップデータを保有する。これを使うことで、例えば、「右折左折時やカーブ手前での、自動で減速させるという技術を開発中だ。どの位置から減速を始めれば理想的にかつ完全にカーブを曲がれるか、それをAIが瞬時に計算し、人の判断を介さず、かつ人が運転するのと同様なスムーズな減速加速が可能となる」と語る。また、AIの活用により、「音声認識や画像認識の技術レベルも急速に高まってきており、今後は人間の表情や言葉のトーンからドライバーの要望やコンディションを読み取り、最適な提案がされるだろう」という。
シェアードモビリティについては、ダイムラー社が実施しているCAR 2 GOという乗り捨て型のカーシェアサービスや、カーシェアビジネスを展開していることを例に挙げ、「カーシェアを推進すると、クルマの販売が落ちるのではと思われるが、お客様にこれまでと違う体験を提供し、クルマの利便性や快適性を経験してもらうなど、常にクルマに興味を持ってもらうというのが目的だ」。
最後に、エレクトリックモビリティについて上野氏は、「ダイムラーは全車種において電動化していく方向性を示している。新たに“EQ”というブランドを立ち上げ、2025年までに10車種展開を考えている」という。「どの車種にも使える共通のプラットフォームを作り、事業の柱としてビジネスモデルを構築していく。また、クルマ本体のみならず、ソーラーパネルを含む充電設備や、家庭での充電システム、公的サービスとしての充電設備、バッテリーのリサイクルまで全てがプロジェクトに含まれている」と説明。
また、「一般ユーザーにとっては充電が購入の障壁となるといわれているが、家の車庫に駐車しておくだけで充電ができる非接触型の充電システムなども開発中だ。航続距離も500km程度をターゲットとしている」とコメント。
そして、「このCASEに基づき、本社は事業を行っていくので、日本においても同様の方向性になる。2020年頃から本格化されるが、本年から少しずつCASEに沿った技術を日本にも順次導入出来るよう進めていく」と語った。