JR北海道の鉄道網、15年後は半減か…維持困難路線を正式発表

鉄道 企業動向

北海道高速鉄道開発が関わる線区(青)を含む維持可能路線のみ残り、北海道新幹線(緑)の札幌開業と並行在来線の経営分離(2030年度末)が実施された場合のJR北海道の路線図。15年後には営業距離が現在の半分以下になる可能性もある。
  • 北海道高速鉄道開発が関わる線区(青)を含む維持可能路線のみ残り、北海道新幹線(緑)の札幌開業と並行在来線の経営分離(2030年度末)が実施された場合のJR北海道の路線図。15年後には営業距離が現在の半分以下になる可能性もある。
  • 日本最東端の駅として知られる根室本線の東根室駅。同駅を含む釧路~根室間は上下分離経営への移行などを軸に協議する。
  • 札沼線の終点・新十津川駅。同駅を含む北海道医療大学~新十津川間はバス転換を基本に協議する。
過疎化に伴う利用者の減少や、相次ぐ事故や災害の影響による経費の増加で経営が悪化しているJR北海道は11月18日、利用者が少ない13線区の計1237.2kmについて「当社単独では維持することが困難」と正式に発表した。同社は鉄道の廃止や上下分離方式の導入などの協議を沿線自治体と進める方針。

発表によると、13線区は1日の平均通過人員(旅客輸送密度)が2000人未満。このうち輸送密度が200人未満となっているのは5線区で、災害運休中の日高本線鵡川~様似間と、沿線自治体が廃止に同意している石勝線夕張支線は、既に協議を開始している。

札沼線の北海道医療大学~新十津川間など残る3線区も、列車1本あたりの利用者数が平均10人前後と少なく、100円の収入を得るために必要となる費用の金額(営業係数)は1000を大幅に超えている。運営上の赤字とは別に老朽化した土木構造物の更新も必要で、今後20年間で58億円程度の維持更新費が必要になる見込みだ。こうしたことからJR北海道は、3線区について「持続可能な交通体系とするために、バス等への転換について地域の皆様と相談を開始したい」としている。

宗谷本線の名寄~稚内間など旅客輸送密度が200~2000人の8線区も営業係数が300~1000程度で、単独での維持は困難とした。ただ、特急列車による都市間輸送や観光客の利用もあり、利用者の少ない駅の廃止や運賃の値上げなどのほか、運行会社と鉄道施設の保有会社を分ける上下分離方式の導入も視野に入れて「地域の皆様と(中略)相談を開始したい」とし、鉄道を維持したい考えを示した。

一方、「鉄道でなければ輸送を担えない」札幌圏や旅客輸送密度が4000人以上の線区など計11線区1150.7kmは「当社単独で維持可能な線区」とした。これらの線区でも老朽化した土木構造物が多く、維持更新には多額の費用がかかることから、国や自治体などの補助制度を活用するなどして鉄道を維持するとしている。

ただし、11線区のうち、第三セクターの北海道高速鉄道開発が設備の一部を保有している2線区は、「当面は当社で維持」するとしつつ持続的な維持は難しいとし、「北海道高速鉄道開発との関連で検討してまいりたい」とした。JR北海道は北海道高速鉄道開発の出資自治体に維持費の増額を要請するものと見られる。

JR北海道が示した維持困難線区と維持可能線区は以下の通り。仮に単独維持が困難な線区が全て廃止され、北海道新幹線の札幌延伸開業と並行在来線の経営分離が予定通り実施された場合、JR北海道の営業距離は2030年度末時点で約1150kmになるとみられ、現在(2568.7km)より半分以上減ることになる。

■単独維持が困難(輸送密度200人未満・バス転換を軸に協議)
札沼線 北海道医療大学~新十津川 47.6km
根室本線 富良野~新得 81.7km
留萌本線 深川~留萌 50.1km

■単独維持が困難(輸送密度200~2000人・上下分離方式の導入などを軸に協議)
宗谷本線 名寄~稚内 183.2km
根室本線 釧路~根室 135.4km
根室本線 滝川~富良野 54.6km
室蘭本線 沼ノ端~岩見沢 67.0km
釧網本線 東釧路~網走 166.2km
日高本線 苫小牧~鵡川 30.5km
石北本線 新旭川~網走 234.0km
富良野線 富良野~旭川 54.8km

■単独維持が困難(既に協議を開始)
石勝線(夕張支線) 新夕張~夕張 16.1km ※沿線自治体が廃止に同意済み
日高本線 鵡川~様似 116.0km ※災害運休中

■単独維持が可能(札幌圏または輸送密度4000人以上)
石勝線・根室本線 南千歳~新得~帯広 176.2km
室蘭本線 長万部~東室蘭 77.2km
室蘭本線 室蘭~苫小牧 65.0km
函館本線 岩見沢~旭川 96.2km
札沼線 桑園~北海道医療大学 28.9km
函館本線 札幌~岩見沢 40.6km
函館本線 小樽~札幌 33.8km
千歳線・室蘭本線 白石~沼ノ端~苫小牧・南千歳~新千歳空港 68.0km

■単独維持が可能(北海道高速鉄道開発が一部施設を保有)
宗谷本線 旭川~名寄 76.2km
根室本線 帯広~釧路 128.3km

■単独維持が可能(新幹線)
北海道新幹線 新青森~新函館北斗~札幌 509.1km(新函館北斗~札幌間は工事延長) ※新函館北斗~札幌間は2030年度末開業を想定

■その他
函館本線 函館~長万部~小樽・大沼~渡島砂原~森 287.8km ※北海道新幹線新青森~札幌間開業時に経営分離予定
留萌本線 留萌~増毛 16.7km ※2016年12月4日限りで廃止予定
《草町義和》

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