【ボルボ S60ポールスター 試乗】ボルボのスポーツ性を改めて認識させる1台…松下宏

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ボルボ S60ポールスター
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ボルボは日本ではプレミアム性を強調しているが、基本的には多くの人に向けたファミリーカーのメーカーだ。ただ、同時にスポーツ性も追求していて、かつて世界耐久選手権で「240」が活躍したし、「850」の時代にはエステートで英国のツーリングカー選手権に参戦していたこともある。

そして今はポールスター・シアン・レーシングが世界ツーリングカー選手権に参戦し、2016年の上海ラウンドで初優勝を遂げるなど、ボルボもスポーツ性の高い自動車メーカーであることを示している。

ボルボとポールスターは提携関係にあったが、ポールスターの市販車部門はボルボが買い取り、ボルボのスポーツモデルを扱うブランドとしての性格を明確化した。

かつてはエンジンのコンピューターチューンから始まったポールスターも、今やコンプリートカーを提供する形で販売されている。

そして最新のポールスターが『S60/V60』に設定された。2016年前半まで販売されていたひと世代前のポールスターは直列6気筒3.0リットルのターボ仕様エンジンを搭載していたが、今回のポールスターはボルボがドライブEと呼ぶ新世代の直列4気筒2.0リットルエンジンをチューニングして搭載する。

パワー&トルクは270kW/470Nmの実力で、この数値は3.0リットル時代を上回るものとされている。市販車用のエンジンをベースにしながらも、どこまで性能を引き出せるのかと驚かされるばかりの性能である。

今回の試乗では、アップダウンとワインディングの多い道路を貸し切り状態にして、完全に一方通行で走れる設定だったので、思い切りアクセルを踏み込むことができた。

高い動力性能を持つエンジンながら、荒々しさを感じさせるのではなく、より洗練された感じでパワフルな実力を発揮するのが特徴だ。

走行モードはスポーツモードに加え、シフトアップを4000回転以上で行うスポーツ+モードも用意されていて、これを使って走るとグイグイという感じで加速していく。これがボルボかと思うような性能である。

エンジンの吹き上がりの荒々しさや加速感では、同じ2.0リットルのDOHCターボ仕様エンジンを搭載する『シビックタイプR』の方が上回っている感じだが、ポールスターはより滑らかな印象で、なおかつ速いと感じた。

専用にチューンされたサスペンションに20インチのミシュラン製パイロット・スーパースポーツを装着した足回りは、高い操縦安定性を発揮し、いろいろなRのコーナーが連続する試乗コースを気持ち良く走り抜けることができた。

内外装のデザインからエンジン、足回りに至るまで全面的にチューニングされたS60ポールスターの価格は839万円。S60のベースグレードから見ると2倍に近い価格である。ポールスターに施された仕様や性能の高さを考えたら、価格が高くなるのもやむを得ないところだ。

ポールスターはまだ、メルセデス・ベンツのAMGやBMWのMほどには定着していない。今回のモデルはセダン35台とエステート65台の合計100台が限定販売されるのにとどまるのは、そのあたりも考慮してのことだろう。

S60/V60ポールスターは、ボルボのブランドイメージにスポーティな要素もあることを、改めて認識させるのは間違いない。AMGやMに匹敵するようになるための道はまだ遠いが、それに向けて更に一歩を進めることになった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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