ボルボ拠点の接客・技術などアフターセールス技能を競う世界大会「VISTA」。その日本代表決定戦(愛知・豊橋、4月27・28日)では、「けさ、エンジンをかけようとしたら始動しなかった」という『XC60 T5SE AWD』ユーザの悩みに対して原因を究明する試験に選手たちが苦戦。
まず選手たちは、ユーザへの問診情報をもとに、実車の症状を確認していく。スタートスイッチを押しても始動(クランキング)しない。インストルメントパネルには、「ESCサービスが必要です」「パーキングアシストシステムサービスが必要です」「冷却システム故障サービスが必要です」というメッセージが表示されているのに気づく。
実車のこうしたサインをチェックしながら、選手たちはボルボ故障診断機(VIDA)をあて、実車に発生しているエラーを探っていく。モニタ上には、エンジンコントロールモジュール(ECM)とトランスミッションコントロール(TCM)の交信不具合が表示され、この時点で「モジュールの供給電源系統かアース系統か、CAN通信系統か」とエラーを絞り込める。
ボルボ設問担当は、「この時点で該当部分の電圧をそれぞれチェックしていくことになる。12Vが供給されるリレーで、ECM側は4Vと測定されるとなると、そのなかで分圧されているんじゃないかと見当がつく。そこで、左側のメンバー部分についているアースポイントに着目し、電圧降下などで断線部分を特定していくことになる」と解説。
今回の不調原因は、ECMとTCMの共通アース取り付けボルトが外れたことによるアース不良。ボルボは、「理論的な故障診断を目指すため、目視ではなく測定でエラーを発見し、対処していくことが問われる。だから、アース上の断線といっても、切れているわけではなく、アースのチューブ内にダミーの樹脂製のコードを埋め込んでいる」とも話していた。
実技試験では、「少し前から走行中にエンジンが吹けなくなり、何度かエンストした」「けさ、エンジンをかけようとしたら始動しなかった」「リヤシート左右ヘッドレスト格納機能が不調」「リヤワイパーが動かない」「パワーテールゲート上限位置の設定依頼」「車内の計器側とセンターコンソール側の『Sensus』で燃費表示が違う」という6つの問題が設定された。試験開場では、選手たちがこうした課題について的確に原因を究明し、正しくユーザに案内できるかどうかなどが審査された。