実現するのはまだまだ先になりそうだが、近い将来、ライダーの視界をカメラ越しにするいう手段も選べるかもしれない。
ヤマハ発動機がソニーと共同開発しているスマートヘルメットは、カメラの映像をディスプレイに映し出し、そこにナビゲーションの案内やバックビューなど各種情報を表示するほか、人の目では見えづらい暗闇もクリアな視界に変えてしまうという。
音も外部に向けたマイクから集め、内蔵するスピーカーで聞く。たとえ音楽などを聴きながらでも、緊急車両など聞こえなければならない音を認識し、人間の耳よりもクリアで、どちらの方向から音がしているか正確に聞き取れるようにしようという試みだ。
ヤマハ発動機NV事業推進部つながるバイクグループ・グループリーダーの望月博文さんは「二輪車の場合、ナビを見るために視線を下げることが必要になりますが、この方法ならライディングの妨げになりませんし、後方の視界も前方を見ながら確認できます」と、安全性が高まることを期待している。
今後の研究で課題となるのは、視界をすべて覆ってしまうことに対する法的問題や、そもそも抵抗や不安を感じるという人間の心理面。もちろん、何らかの問題でシステムがシャットダウンしてしまった場合にどうするかという点も、対応していく必要があると望月さんらは考えている。
その点、今年3月に発売されたソニーのスマートアイグラスをライダー用に手直ししたものは、現実味をより感じる。こちらはスマートフォンと連携し、テキスト、シンボル、画像などの情報を視界に重ねて表示する透過式メガネ型端末。
この技術は、すでに多方面で実用化しているだけに、ナビゲーションなどバイクの運転時に役立つ情報を表示できるようになれば、販売開始もそう遠くないはずだ。
いずれも、ウォッチタイプの端末で操作できるなど、拡張性への期待は広がる一方。ヤマハブースには、フロントにインホイールモーターを搭載した2輪駆動の電動バイク『PES2』も参考出展。
前後にカメラを備えるなど、スマートヘルメットをベースとした次世代のライダーアシストシステムを装備し、車体からの情報をライダーに視覚で伝えることなどを提案している。