【BMW 2シリーズ グランツアラー 試乗】乗車人数・荷物に関わらず安定志向のハンドリング…片岡英明

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BMW 2シリーズ グランツアラー
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後輪駆動のFR方式にこだわり続けてきたBMWだが、ファミリー層をターゲットにした『2シリーズ アクティブツアラー』では初めてFF方式を採用した。スペース効率にこだわったアクティブツアラーに続く第2弾として送り出したのが3列シート、7人乗りの『グランツアラー』だ。

アクティブツアラーよりホイールベースは110mm長く、全高も90mm高い。2列目までは5人乗りのアクティブツアラーと変わらない快適性で、大柄な人でも最適なポジションで座ることができる。

注目の3列目は、シートが小振りなうえにフロアもちょっと高めだ。頭上の空間は十分だが、膝元は窮屈。大人だと抱え込むような姿勢で座ることになる。子どもには快適な空間だ。

3列目シートの後方はラゲッジルームだが、7人乗ってしまうと荷物を積み残す。ただし、アンダーボックスは重宝する。3列目のシートはフロア下に簡単に収納可能だ。この状態ならほとんどフラットなフロアになるから大きな荷物も難なく積める。さらにたくさんの荷物を積みたいときは2列目のシートを畳めばいい。2列目は3分割可倒式だ。すべて倒せば広大なラゲッジルームが出現する。中央席だけを倒せば長尺物を積むのも苦ではない。

パワーユニットは3機種のターボエンジンを用意している。もっとも魅力的だったのは2.0リットルの直列4気筒ディーゼルターボだ。8速ATとの相性もいいから気持ちいい加速と柔軟な走りを存分に楽しめた。エンジンを始動した直後はディーゼルエンジン特有のガラガラ音を意識させられる。だが、回転を上げてしまえばガソリンエンジン車に迫る静粛性だ。振動も上手に抑えられている。

1000回転台から湧きだす豊かなトルクを実感でき、思い切りアクセルを踏み込めば身体をシートに押さえつけられる力強い加速を見せた。ガソリンエンジンの3.0リットルクラスと同等のパワフルさを身につけ、しかも街中では驚くほどフレキシブルだ。渋滞した街中の走りでのマナーもいい。

ロングホイールベースと相まって乗り心地がいいのも魅力のひとつだ。さすがにスポーツサスペンションにインチアップしたタイヤを履く「Mスポーツ」は引き締まった乗り心地だが、16インチタイヤを履く標準仕様なら同乗者にもやさしい。

FF車になってもハンドリングはBMWらしいものである。乗車人数、荷物の多少に関わらず安定志向にしつけられ、足の動きがいい。前輪を駆動していることを意識させないスッキリとした操舵フィールで、ドライバーが意図した通りに、素直にクルマが向きを変える。止まる性能も一級だ。走りの質感にこだわるファミリー派には魅力的なミニバンといえるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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