スズキの長尾正彦取締役常務役員は8月3日に都内で開いた決算会見で稼ぎ頭のインド市場について「少しポジティブな見通しをしても良い」とする一方で、「競争を勝ち抜いていくためにも販売力の強化が必要」との認識を示した。
長尾常務は「全体市場を引っ張るような感じで(インド合弁会社の)マルチスズキは頑張っている」とした上で、「モディ政権の効果によってパイがどんどん膨らんでいって、とくにエントリー層の需要が増えてくればと思う。マクロ動向をしっかりとみていかなければいけないというのが大前提ではあるが、今のところは少しポジティブな見通しをしても良い」と分析した。
その半面、「そういう中で、マルチでとくにこれから頑張らなければいけないのは販売力の強化。生産体制はグジャラートにスズキのファイナンスとリスクで新工場を建てることになっているので、マルチが競争を勝ち抜いていくためにも販売力の強化が必要」とも指摘。
具体的な取り組みとして「都心部、農村部両方、広い国土なのでしっかりカバーしていく。層別では上級車の志向の高いお客様をカバーする新しい販売ルート『NEXA(ネクサ)』を造って、今月から(SUVの)『S-CROSS』を流通に乗せていくことを始めた。今年度30店くらい造って100店を目指している。どんどん中間層から上にいく層がインドでも出てきているので、そうしたところもくまなくカバーできるような販売体制にマルチとしては尽力していくことが大きい課題としてある」と説明した。