【スバル BRZ tS 発売】ねじりをいなし、走り意のままに…新開発「フレキシブルVバー」採用

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6月30日、スバルテクニカルインターナショナル(STI)は、スバル『BRZ』をベースとしたコンプリートカー『BRZ tS』を300台限定で発売した。最大の特徴は新開発の「フレキシブルVバー」と呼ばれる補強パーツを新たに採用した点にある。

BRZは元々ロングノーズ・ショートデッキのボディ形状を採用するため、フロントストラットからバルクヘッドまで距離があり、剛性を高めるためには補強材を入れる必要がある。チューニングカーのエンジンフードを開けると、極太のタワーブレースが鎮座していることがよくあるが、フレキシブルVバーの開発を担当した商品開発部 車両実験グループの渋谷真氏は開発当時を次のように振り返る。

「もっと(フロント部を)ガッチリとやれば応答性が上がるだろうということで、太い部材を何度か試したが性能が上がらない。ガッチリ感は出るが、応答性やヨーのリニア感が薄く、遅れて唐突に反応が返ってきて非常に乗りにくなってしまった。そこで、本当に欲しい荷重を受けるだけで十分なのではないか、むしろ曲げやねじりといった力を“いなして”あげた方が良いのではないかという考えに至った」(渋谷真氏)

ベース車には元々ストラットからバルクヘッドの間にリジット止めのスチールの棒材が使用されているが、フレキシブルVバーでは先端にピロボールが組み込まれ、これが曲げやねじり成分を逃しながら、圧縮・引っ張りのような軸方向の動きには高い剛性を示すという。

STI取締役 商品開発部長 森宏志氏によると、ピロボールを仕込むことで、ベースモデルよりも軸力の伝達スピードを上げることができるそうだ。STIの計測ではビルシュタインサスペンションとの組み合わせにより、車両のヨーと横G応答性がベース比で30%ほど向上し、路面からの微振動をステアリングに伝えない副次効果も生み出すことができたという。

森氏によると、ヨーやGの立ち上がりを急にしてしまうとゲインが高すぎて敏感なクルマになってしまうため、ゲインは上げずに応答時間を小さくするのが開発の狙いという。

「サーキットでバシッとハンドルを切る場面ではなく、街中で車線変更をするような操舵でも操舵遅れを小さくしていく、というのがSTIの求める気持ちのいい走り。(応答時間の向上は)時間としては微小だが、スラロームのような走りでもクルマが意のままに動く」(森宏志氏)

このフレキシブルVバーのもう1つのポイントは、安全性を全くスポイルしていない点にある。ベースモデルではスチールの棒材を含めて衝突実験を行っているが、STIでは今回のパーツを投入するにあたり、フルラップ前突試験とオフセット衝突試験の2つの試験を実施。安心・安全を重視するスバル直系としてのプライドを見ることができる。

《橋本 隆志》

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