【スズキ アルトラパン 試乗】先入観を除いたら新しい発見があった!…鈴木ケンイチ

試乗記 国産車
スズキ アルトラパン
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3代目となる『アルトラパン』は若い女性ユーザーのニーズへ徹底的に応えるクルマ作りを行ったという。得てして、こうしたコンセプトのクルマはどうしても中途半端な出来になりがちだが、乗ってみれば、これが意外とよかったのだ!

まず室内が快適だ。ウッドのテーブルを模したインパネには、置き時計をイメージしたメーターとフォトフレームをイメージしたカーナビ。シートや天井はキルティング風。まるでリビングのソファに座るかのよう。また、ガラスエリアが大きく明るい色味の室内色のせいか広々感もある。

そして運転がしやすい。なんといっても視界が広い。フロントウインドウは立ち気味だし、ウエストラインを落としたサイドラインのせいでサイドウインドウも広い。振り返ったときの斜め後ろの視界も良好。さらにクルマを上から見たように周囲を確認できる全方位モニターがあるので、駐停車時にも安心度が高い。また全グレードに衝突被害軽減自動ブレーキが標準装備されている。この存在も運転に不安のある人には嬉しいものだろう。

そして最後に実用性。なんといっても燃費性能は35.6km/リットルにも達する。エネチャージ&アイドリングストップ&エコクールというスズキが誇る最新技術を用いて、ひと世代前のハイブリッド並までもってきた。後席の広さも特筆すべきもの。大人が余裕で足を組むことができる前後空間を確保。4人乗車でも荷物がおける荷室の存在もいい。そして、前席を中心に収納スペースがたっぷりある。さらに、シートヒーターやナノイー付きオートエアコンまである。装備類も充実だ。

ただし、走りに関しては、特筆するようなものはない。動力性能は必要十分。ハンドリングは安定志向。だが、走りを求めるスポーツカーではないのだから、それがどうした。まったく問題はない。

つまり、総合的に言ってアルトラパンは、快適で運転しやすい実用的なクルマであったのだ。ただし、従来の男性目線ではないこともあり、デザインは内も外もなかなかに斬新。「女性向け」と括弧付きで語らなくても、男性でも欲しいという人がいてもおかしくない。

考えてみれば、一般的に女性は男性ほどクルマのメカニズムに興味を持っていないだろう。しかし、クルマの使い手としてみれば、性別は関係ない。興味の方向が異なるだけだ。だからこそ、女性目線で生まれたクルマは斬新でなかなかの出来となったのだ。

とはいえ、モニター内に表示されるキャラクターは、僕のようなおじさんにはちょっと辛い。同じ内容のままで、もうちょっと男性寄りにしたバージョンがあってもいいのではないだろうか。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

鈴木ケンイチ|モータージャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材、ドライブ企画まで幅広く行う。特に得意なのは、プロダクツの背景にある作り手の思いを掘り出すインタビュー。

《鈴木ケンイチ》

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