ボルボ V40 最新型でワイナリーへドライブ…グランドツアラーとして不満なし

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「V40 T4 SE」
  • 「V40 T4 SE」
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  • 「明野ミサワワイナリー」にてワインテイスティング
  • 「明野ミサワワイナリー」
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  • 「V40クロスカントリーT5 AWD」
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高速道路を長駆するグランドツアラーとしても不満なし!

新緑が萌える5月。エンジンやサスペンションが新しくなった2台の2015年モデルのボルボを駆ってロングドライブにゆく機会を得た。目指すは山梨のワイナリーだ。

東京のボルボ・ジャパンの駐車場でハンドルを託されたのは、新たなパワートレインを得た『V40クロスカントリー T5 AWD』。ルックスの変化は、LEDドライビングライトの採用のみ。大きな変更はパワートレインで、従来の直列5気筒ターボ&6速ATから、新型の2リットル直列4気筒ターボ・エンジン&8速ギヤトロニック付きトランスミッションに。ボルボが「Drive-Eパワートレイン」と呼ぶ、新世代のパワートレインだ。また、新ナビゲーションシステムを採用した新世代インフォメントシステム「SENSUS」と、先進の運転支援システム「インテリ・セーフ10」もあわせて搭載されている。

スタート地点となるボルボ・ジャパンから高速道路へ乗り入れる。ドライバーの視線はやや高めだが、「V40クロスカントリー T5 AWD」に腰高感はない。ドッシリと低い構えでクネクネと続く首都高速のコーナーを苦もなく抜けてゆく。

交通量の減った郊外の高速道路が、新しく採用された「Drive-Eパワートレイン」の本領発揮の場となった。わずか1500回転で最大トルク350Nmを発揮する4気筒ターボ・エンジンにあわせ、それほど回転数を高めずに、8速ATはテンポよくシフトアップしてゆく。スルスルとスムーズな加速だ。追い越し加速では、レスポンスのよいシフトダウンと最高出力245馬力ならではの力強いダッシュを披露してくれた。

「V40クロスカントリー T5 AWD」は、車高をベースモデルよりも高めたクロスオーバーであるが、高速での走りに車高を高めた不満は見あたらなかった。逆に視線の高さゆえの安心感や、充実した運転支援システム(全車速追従機能付きACC/斜め後方の死角を警戒するBLIS/車線逸脱を防止するLKA)の存在もあり、高速走行の疲労感はミニマム。高速道路を延々に走り続けるグランドツアラーにも向くクルマであった。

◆日本固有のブドウから生まれた山梨ならではのワインがお出迎え

美しい新緑の山々をかき分けて高度を稼いできた中央高速道路は、笹子トンネルを過ぎると一気に下りに転じる。その先の山間のトンネルを抜けると、すり鉢状の大地に甲府の街並みが一気に眼下に広がる。この雄大なパノラマが中央高速の大きな魅力だ。

クルマが到着したのは山梨県北社市明野町。中央高速の韮崎ICを降りて15分ほどにある「明野ミサワワイナリー」だ。そこから案内されたのが、茅ヶ岳の麓に広がるブドウ畑。南アルプス連邦を正面に、北に目を向ければ八ヶ岳。南には遠く富士山を望む。高速道路から楽しんだ美しいパノラマを形作るピースのひとつだ。

ここで育成されているのは、甲州種と呼ばれる日本固有のブドウ。1000年も前から栽培されていたとも言われる古いブドウだ。明野ミサワワイナリーでは、1998年から、この甲州種ブドウを使ったワイン作りをスタート。「グレイス」と名付けられたそのワインは、今ではJALやANA、ガルーダインドネシア航空などで採用され、シンガポールやベルギーの有名ホテルでも利用されるほどとなった。

そんなワイン畑でクルマの撮影を終えた後にのぞいたのが、ワインを貯蔵・熟成させる倉庫。ワインの澱が固まらないように、毎日1本1本丁寧に手で回しているという。また、使う樽の素材も厳選されたもの。空調がないのは、部屋の中の空気を過剰にかき回さないためとも。繊細で奥深いワイン作りの世界を垣間見ることができた。

続くランチでは、各自のテーブルにズラリとワインが並んでいる。なんと、明野ミサワワイナリーでは、ブドウ畑見学だけでなくワインのテイスティングが楽しめるのだ(予約制のワイナリーツアー)。とはいえ、自分はハンドルを預かる身。試飲は同行者に任せる。「どれも美味しいです」と、あっけらかんとした若者らしいコメントに脱力。しかし、地元の食材を使ったランチは格別であった。この味を楽しむために長躯したと納得しようではないか。

◆軽快なフットワークと十分なパワー感

帰りの相棒は、『V40 T4 SE』。2015年モデルにはツーリングシャシーが採用されている。これは従来の「ダイナミックシャシー」より、ソフトなスプリング(フロント-10%、リヤ-12%)とソフトなフロントスタビライザー、新開発ツインチューブ式のリヤ・ダンパーを装着するもの。また、タイヤサイズは225/45R17から205/50R17に変更。あわせて、LEDドライビングライトと新インフォテイメントシステムSENSUS、インテリ・セーフ10が採用されている。

2リットル・ターボのAWDから、1.6リットル・ターボのFFモデルであるV40 T4に乗り換えれば、当然ながらクルマの動きは段違いに軽快だ。しかし、しなやかな走りに安っぽさはない。路面の凹凸をいなす乗り心地のよさが、その理由だろう。

最高出力180馬力/最大トルク240Nmの1.6リットル・ターボ&6速ATのパワートレインの力感は、午前中のT5ユニットと比べれば見劣りする。しかし、普通のCセグカーと思えば、まったく不満のないレベル。これ以上を求めるのならば、2リットル・ターボのDrive-Eパワートレインを搭載した『V40 T5 R-DESIGN』がおすすめだ。そちらはスポーツサスペンションと18インチアルミホイールが装備されていることもあり、もうひとつ上の速さを楽しめることだろう。

遅い昼食をゆっくりと楽しんだこともあり、東京への帰り道は夕刻となってしまった。となれば、待ち受けるのは渋滞。しかも、運の悪いことに取材日は集中工事の実施日であった。まさに試練である。しかし、ボルボにはインテリ・セーフ10がある。ダラダラと進む渋滞の中、全車速追従機能付きACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)の存在は大きい。

ボルボのACCが優れている点は、その制御が非常にスムーズであること。停止、発進はもちろん、割り込みや前方車が居なくなった時などの加減速は、まるで熟練ドライバーに運転を任せているかのような快適さがあり、安心感が段違いだ。そして緊張感の少なさは、そのまま疲労度軽減になる。ゆったりとした、座り心地のよいシートもロングドライブの辛さを軽減してくれるのに一役買っているのは言うまでもない。唯一、不満に思うのは、カーナビゲーションに表示されるマップが古いということ。マメなアップデートを期待したいところだ。

渋滞をジワジワと進み、ようやく東京のボルボまで戻れたのは、すっかり日も落ちた19時。まるまる1日をかけ、ボルボらしさを満喫するドライブであった。

《鈴木ケンイチ》

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