【ブリヂストン レグノ】初の女性リーダー、レグノ開発「社内の期待度高かった」

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新型レグノの開発のリーダーであるPSタイヤ開発第5部の杉本香居さん
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メディア向けに開催されたブリヂストン「タイヤが変わればクルマも変わる」体験会で教材などに利用されたのは、1月に発表されたばかりのブリヂストンのプレミアムタイヤ「レグノGR-XI(ジー・アール・クロス・アイ)」(セダン用・2月20日発売)と「レグノGRV II(ジー・アール・ブイ・ツー)」であった。

ここで、今回の新型レグノの開発のリーダーであるPSタイヤ開発第5部の杉本香居さんに話を聞くことができた。

「レグノの開発リーダーをすることになったときも、どの商品だから嫌とか嬉しいというのは、そんなにありません。仕事の内容はどれも大変ですからね」と杉本さん。

その杉本さんは女性初の設計者として2004年に入社している。当初はオートバイ用のタイヤ開発を担当していたが2011年より4輪に異動。それから少ししてレグノの担当に。もちろんレグノ担当としては初の女性リーダーだ。ちなみにブリヂストンのタイヤ開発は、クルマと違って、製品ごとに専任がいるわけではない。また、各部門のとりまとめを行うため設計部門が便宜上リーダーとなるが、どちらかといえば各部の合議制に近い雰囲気で開発が進むという。

「レグノ担当になってから分かったのが、やはり社内の期待度が非常に高いと。あと、使える技術や製造技術もすごく幅広い。それに、“レグノなので、よろしく”と言うと、ちょっとうまくことが進むというか(笑)。やってみて、社内の期待度が高いし、求められるアウトプットの大きさも違うんだなと感じました。知れば知るほど、“ああ、大変な仕事をやっているんだ!”という実感が湧いてきました」と杉本さん。

やはり、ブリヂストンの中でもプレミアムなレグノに対する社内の期待度は高いということだ。

「関わる部署ごとの期待度が非常に高くて、みんなレグノだから“絶対にこうしたい!”と各部署が強い意志を持っているんですね。だから、“製造的にもこの制約を絶対に守りたい”とか、“性能的にも、この機能を絶対に入れてもらいたい”と、みんなこだわりが強くて。それが、全部が全部同じベクトルを向かずに、相反することもあるのを、いかにまとめていくか。いかに偉い人にも立ち向かっていかなければいけないみたいな(笑)。“できないのは、できないと言わないといけない”とか、“できないと言われたけど、やりたいからやらなければいけない!”とか(笑)。社内で説得していくのも大変でしたね。みんな“絶対”なんですよ。“レグノなんだから絶対こうしたい”と」と杉本さん。

どの部署も“絶対に”というのは、レグノというブランドに対して、いかに各部署の思い入れが強いかを表しているのだろう。

「よくあれだけの中で、これだけきれいにまとまったと(笑)。トータルとして最高の形で出せたなあと思っています。レグノを履いたことのあるお客様に関しては、本当に一回り大きく、性能バランスの円が大きくなったことを体感していただけるタイヤができたと思います。今まで履いたことのないお客さまに関しては、タイヤは全部同じじゃない! ということを必ず実感いただけるという自信があります。“たとえちょっとお値段が高くても、絶対に後悔させません!”と」という“絶対”の自信作となったのだ。

とはいえ、開発を振り返ると悔しかったこともあったという。

「このレグノは、今のトレッドパターンに決まるまで、ふたつの軸のパターンがあって、並行して開発していたんですね。ひとつは、新しい考えを取り入れた斬新なパターンで、“これが世の中に出たら、みんなビックリするだろうな”って思ってました。ただ、技術的なハードルが高くて、中間評価の段階で、“こちらは時期尚早”とボツになってしまいました。それが悔しかったんですよ(笑)。すごく頑張っていたので、“ここで終わっちゃうのか、残念だなと。世の中をもっと驚かせられたかもしれない!”と。ボツになったけれど、いつかは、なんらかの商品で形にしたいと個人的には思っています」と杉本さん。

いつの日か斬新なタイヤがブリヂストンからリリースされたとき、その隣に杉本さんの姿を見ることができるかもしれない。

《鈴木ケンイチ》

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