【ポルシェ マカン 試乗】これが本当の、ポルシェが作ったSUV…中村孝仁

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ポルシェ マカンS
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最初にポルシェがSUV、即ち『カイエン』を作った時、そのプラットフォーム開発はポルシェが行った。しかし、当時ポルシェにはSUVとしての素養を持ったプラットフォーム開発が必ずしもうまくいったとは言えない。そこへ行くと『マカン』のそれは見事である。

カイエンの場合、やはり非常に重かった。それが証拠に、2代目となった時はほとんど250kg近く軽量化されてバランスの良いモデルになっていた。マカンの場合、カイエン同様プラットフォームは他のVW系、即ちアウディ『Q5』とシェアしている。しかしそれは英国誌オートカーによれば1/3であって、2/3のコンポーネンツはポルシェ専用が使われ、シェアしているのはフロア並びにクラッシュストラクチャ、それにドアストラクチャの下半分だけだという。

やるなぁ…と思ったのはこのプラットフォーム、MLBと呼ばれる縦置きFWD用のプラットフォームである。しかし、ポルシェは彼らの7速PDKをエンジンから切り離してリアに搭載。結果としてパワーアウトプットはこのリアに置かれたトランスミッションから抽出され、このうち20%ほどのトルクが通常走行で常にフロントに配分されるという、ほぼFRベースと言っても過言ではないトルク配分に変えてしまったことだ。これが、マカンをポルシェたらしめる大きな原動力なのである。つまり走っていてFWDベースを感じることがまずないのである。

3リットルV6ツインターボユニットは、このPDKのおかげもあってか非常にシャープかつスムーズな加速感を持つ。実にスポーティーである。8速ティプトロニックのカイエンとは全く異なる印象で、カイエンの場合どうしてもラグジャリーという印象が付きまとう。

サスペンションは基本的にアウディと同じ成り立ちを持つが、当然ながら足の味付け、即ちダンパー、スプリング、アンチロールバーなどの硬さはすべてオリジナル。そこにこのセグメントでは最もクィックだと言われるステアリングを装備しているのだから、このクルマの動きがまるでスポーツカーのようであることは、ただ読んだだけでも容易に想像がつくと思う。実際試乗した日はかなりの雨模様だったので、メータークラスター内に装備される、トラクションの配分模様が頻繁にフロント側に移っていた。

勿論そのセンシング自体もかなり敏感なようで、意図してアクセルを煽ると濡れた路面ではすぐに後輪が滑り、その都度一気にフロントのトラクションが増える様を確認した。リアのトラクションが全く抜けると、トルクはすべてフロント側に移るという。

アメリカではこいつがコンパクトSUVで、カイエンがミッドサイズSUVなのだそうだが、そのあたりが日本の道路事情とは大きく異なる点で、やはりマカンは日本ではミッドサイズに相当する外形寸法を持っている。オンロードを走って運転が痛快だと感じさせたモデルに出会ったのは恐らく初めてのことだ。

パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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