売れ筋ミニバン、『ヴォクシー』『ノア』の末弟として登場したものの位置づけとしては高級グレードになり、兄弟下克上の『エスクァイア』である。
顔だけアップで写された写真はメタル面積の広いフロントマスクに躊躇するものの、実際はボディが長く大きいため、ボディ面積対メタル面積の比率でうまく吸収されている。すれ違いざまに見かけても、そんなにエグくない印象だ。それにしても、高級路線=メタルでぴかぴかに光らせるのは、トヨタのある愛知県文化なのだろうか。東京モン(=田舎モノ)としては、まばゆすぎて困ってしまう。
フロントマスクのゴージャス仕立てに対し、インテリアはぎらぎらとしたところはなく、色味を抑えたシックなまとめ方。ターゲット年齢の生活を考えると、もう少し質感がほしいところだが、価格からすればこのあたりが妥当なところか。シックすぎてジジ臭いと思う人には、女性ファンの多いインテリアショップ「フランフラン」のコーディネートも用意されているから、これで対応したいところだ。
ハイブリッドの走りは、パワステも軽めだし、アクセルの反応もよく、このボディの長さをまったく感じさせない軽快な走り。試乗後にクルマを降りて、あら、こんなに大きなクルマだったんだわと確認し、改めて褒めたくなってしまうほどの気持ちよさだ。
サスペンションのしなやかさやボディ剛性もあり、長距離を走らせても先代のヴォクシー/ノアと比べて明らかに疲れ方が違う。子どもたちが巣立ったあと、趣味を満喫すべく走りまわろうという世代には、強い味方だろう。人生の経過とともに(いろんな意味で)つい荷物が多くなる世代には、全長を長くして大きくした荷室も、ありがたいところである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。