【ホンダ リコール問題】一問一答…山本専務「複雑な新機構に対しての知見が不足していた」

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ホンダ 山本芳春 取締役専務執行役員
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ホンダの山本芳春取締役専務執行役員は10月24日、都内で報道陣の囲み取材に応じ、度重なるリコールについて「複雑な新機構に対しての知見が不足していた」とした上で、社内体制や品質評価基準の見直しで再発防止に努める考えを示した。

主なやりとりは以下の通り

----:リコールが度重なった原因は

山本専務(以下:敬称略):複雑な新機構に対しての知見が不足していたことが問題だった。ある特定の作動状態でノイズが発生してエンジンが止まるという現象は、これまでの市場に出した車でいうと発生確率は0.0039%。それを通常の開発中にとらえることが大変難しかったというのが反省点。もっと熟成が必要だった。

----:再発防止策は

山本:ホンダ四輪事業本部に品質改革担当役員を設けるとともに、(研究開発部門の)本田技術研究所の副社長を兼務することで、品質保証体制を強化していく。

----:自らが社長を務める本田技術研究所の体制の見直しは

山本:研究所の中に技術の確かさをチェックする評価会があるが、その評価委員長を(新設の)副社長が兼ねる。副社長という地位にあるものが技術評価の関所として厳密に管理することに変える。やはり今回の反省でいうと、現場が『このくらいは良いんじゃないか』というようなことに対して今後は完全にそれがオーケーだと証明されるまでは、技術評価を通してはいけないというように厳密に運営する。

当然そういうことをやっていくと場合によっては開発時間に影響するかもしれないし、機種開発の工程に影響するかもしれない。だが技術の確からしさをまず最優先することに切り替える。従来からもやってはいたが、それをもっと厳しく徹底する。

----:品質の徹底チェックは具体的にどのようなやり方をするのか

山本:商品性というのは非常に難しくて、多少のぎくしゃく感みたいなものは、プロジェクトリーダーの判断に任せていたが、今後は、新たな基準を設けて厳密に開発を管理する。特に(問題になった)発進時といったお客様の使い勝手のところが手薄だったと反省しているので、そうしたところを試作車でのチェックを繰り替えしていく。今回の知見をベースに、やはりノイズタフネスをあるレベルまで上げて、それを設計要件に反映して防ぐようにしていく。

----:現場にある程度の裁量をもたせていたことが原因か

山本:現場は技術評価もしているし、従来の評価会の委員たちも、実車もテストコースで確認をしている。だが、その確認をしているところが、やはりお客様の使い勝手というところまでは厳密に定義していなくて、そこが漏れたと思っている。だからお客様の使い勝手も含めた判断基準を改めて定め直しているので、それを厳密に守っていくように切り替えていく。

----:新しい評価基準を仮に導入していたら、今回のような度重なるリコールは防げたか

山本:防げたと思う。

----:今後発売される車種についてはどうか

山本:数か月(開発を)止めて、全部点検をし直した結果、他の車種は問題なかったので、今後発売していく車種については安心してお乗り頂いて結構だと思う。

----:開発のやり方などの見直しは

山本:ソフトウェアの開発に対しては少し変える。個別要素ごとに開発していて、量産の段階で合体して1台の車に仕上げるというやり方は、複雑で大規模なシステムになった時には、かなり無理があるので、最初から制御システムのプラットフォームを構築するような考え方に少し変えていく。

----:新型車投入のタイミングが遅れる結果になったが

山本:全体的に少し遅れてしまった。これはもう本当にわれわれ開発部隊が、今回『フィット』、『ヴェゼル』で起こした問題に起因しているので、申し訳ないと思っている。

----:福尾幸一専務が品質改革担当に選ばれた理由は

山本:彼は初代『インサイト』の開発責任者で、その後、品質部門や購買部門を経験している。購買ということはサプライヤーとの関係も良く知っているし、ホンダ全体の品質体制の責任者も務めていたので品質に対するいろいろな基準ややり方もわかっているので、インサイトのようなハイブリッドシステムから購買、品質まで全部経験している得難い人材。彼が研究所の品質をチェックするということは大変意味があると考えている。

《小松哲也》

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