【レクサス RC F 発表間近】スピンドルグリルがクルマ全体を引き締めた…白井順二

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レクサス RC F
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大阪梅田のグランフロントB棟の一階にあるナレッジプラザに、それはさりげなく展示されていた。SUVのカテゴリーに分類される薄ベージュの『NX200t』と真っ黒なレクサス『RC』の間に挟まれて、今回の取材の本命であるレクサス『RC F』は鮮やかなブルーのボディカラーをまとって佇んでいた。

その第一印象は上の見出しにもあるように、アクの強いスピンドルグリルの強烈なオーラがクルマ全体に波及して、その低く構えたシルエットを力強く引き締めていることだ。


◆スーパーカーのオーラあり

断っておくがスピンドルグリルに関しては、一国を代表するクルマの面構えとして決して相応しいものではないという意見を私はいまもって変えていない。 ちょうど2年前のレスポンスにレクサス『LS』に関するデザインインプレッションを書いたが、その後レクサスすべてにファミリー・アイデンティティとして採用されつつ発展して来ている事実と、大会社として一旦踏み出した方向を容易には変えることなく経営陣としてこの方針を強く押して行こうとする意思を感じ、それなら今後の良好な発展を見守ろうと期待もしてきたのだった。

今回は試乗が可能でなかったため、もっぱらデザイン上のインプレッションに限るが、ヨーロッパやアメリカのスーパーカーの仲間入りをすべく放たれた今回のレクサスRC Fは、その意味で十分成功したと言えるし、この種のクルマを欲するユーザーに訴えかけるオーラを重厚に発している。

5リッターV8 NAで450馬力以上の出力と53kgm以上というトルクを発揮するエンジンはフロントミッドに置かれ、シーケンシャル8速の変速機を介して後輪を駆動。このレイアウトはこの種のスーパーカーの定石でもある。巨大なスピンドルグリルから侵入する空気のボリュームは相当なもので他のモデルではそのままかなりの空気抵抗になると想像できるが、このRC Fではボンネット上とフロントホイールアーチの後ろに大きなスリットが設けられており、そこから熱気を逃がすように工夫がされている。


◆力強さをアピールするスピンドルグリルの巨大な開口部

かなり抑揚のきついデザインで全体がまとめられているものの、斜め前方からの眺めでは、光の反射加減もあるがボンネットが盛り上がっているように見える。この盛り上がったように見えるボンネットはスーパーカーとして必須の軽快さをいささか削ぐ方向に働いていて、グラフィック上、面積の大きすぎるスピンドルグリルとあいまって、全体に重ったるい印象を与えてしまっている。エンジンそのものは開けてみると比較的にコンパクトにまとめられているし、ターボによるダクトやインタークーラーの取り回しもないから、もっとボンネットを下げられると思うのだが、どういう背景でこうなったのだろうか。

空力的な性能を語る上で前面投影面積がいつも話題になるが、その60%以上をボンネットから下の部分が占めるので、この面積を減らすことや、ノーズに向かってスロープさせるデザインで空力を改善させるのは常套手段だが、このRC Fではそんな抵抗などものともせず、チカラ任せに押しまくる、といったイメージを大切にしたかったのかも知れない。同じカテゴリーに属するメルセデスやアウディの高性能車でも、アウトバーンなどで300km/h近くで走ることが現実的なクルマなどは、その辺りはぎりぎりのところまで追いつめて走行安定性を確保しようとするのが常識だ。

ファストバックの流れるようなルーフラインは美しいが、サイドビューのグラフィックからすると後方に向けてのルーフの厚みがありすぎて、これも全体の軽快感を削ぐ要因になっている。3次元の連続面で構成されるクルマのプロポーションとはかくも難しいものなのだ。


◆手間暇かけられたことが実感できるインテリア

2+2の設定なので後席はオケージョナル・シート以上のものではないが、前席のシートはさすがに秀逸である。こまかなパッドを複雑に縫い合わせて、それだけでも大変なコストが掛かっているだろうと想像できるが、これはナイキやアディダスなどのアスリート向けの運動靴の造りとデザインコンセプトが同じなのだろう。

ダッシュボードは完全に液晶表示で、エンジン回転計が真正面に位置し、その右にやや小さく速度計が置かれている。メーターは320km/hまで刻まれているが、説明員の話では国内向けは180km/hでリミッターが効くという。

ダッシュボード全体のクオリティは非常に高いものの、デザインはややビジーで、特に最近のクルマは液晶表示になってから色彩豊かに表示される情報があまりにも多すぎる傾向にある。RC Fもこの例に漏れず少々情報過多な印象である。同時に展示されていたNXで初めて採用されたという5cm角ほどの平らなスクロールパネルがこのRC Fでもコンソール上に置かれてあり、パソコンのように指でスクロールすることによってオーディオやエアコンを操作できるようにはなっているが、感度が敏感でかなりデリケートに反応するので走行中に使うことは難しい。大馬力を駆使して走る楽しみを味わうことをレーゾンデートル(存在意義)とするクルマにはもっとシンプルで直感的な操作感がほしいところだ。

白井順二|建築家/アーバンデザイナー
1938年生まれ、アメリカに30年居住、その間インドに1年、サウジアラビアに2年、大学で教鞭をとる。赤坂のアークヒルズ外構設計、シンガポール高島屋設計担当、大阪梅田北ヤードコンペ優勝、海外での環境問題の講演多数。クルマのメカニズムや運転が趣味で『カーグラフィック』誌などに寄稿多数。A級国内競技ライセンス所持。クルマでの北米大陸、インド、ヨーロッパ全域のドライブ数万キロ。
《白井 順二》

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