無料ナビアプリ三つ巴対決、一番使いやすいのはどのアプリだ

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今回取り上げている3本のアプリはいずれも斜めから見下ろす表示が可能だが、それによって遠くまで見通せるのはYahoo!カーナビだけだ。ほかの2本のアプリは斜め上からの視点にしても表示される地図の範囲は殆ど変わらない。
  • 今回取り上げている3本のアプリはいずれも斜めから見下ろす表示が可能だが、それによって遠くまで見通せるのはYahoo!カーナビだけだ。ほかの2本のアプリは斜め上からの視点にしても表示される地図の範囲は殆ど変わらない。
  • 目的地検索のメニュー。フリーキーワードのほか、履歴、周辺のスポット、カテゴリ別の施設やショップから選べる。また、保存してある目的地が履歴と一緒に表示される。
  • 目的地の保存はこの画面で「保存」をタップする。またWebのGoogleマップで場所を保存すれば同期される。
  • 「周辺のスポット」をタップするとこのように写真付きでショップなどが表示される。さり気なく天気と気温も表示されている。
  • ルート検索をするとこのような画面になる。ここで「経路オプション」をタップすると高速道路を使わないようにすることもできる
  • 全ルートを画面いっぱいに表示させることも可能。ここでグレーで表示されているルートは複数検索されたルートのうちの一つ。直接タップすることで切り替えられる。
  • ルートガイド中の画面。曲がる方向が白い矢印で表示され、分かりやすい。
  • 画面右上にレーン表示がある。今年春から追加された新しい機能だ。
無料ナビアプリ対決、一番使いやすいのはどのアプリだ

Yahoo! JAPANがリリースした無料のカーナビアプリ「Yahoo!カーナビ」が大人気となっている。リリース翌日にiTunesのiPhone向け無料アプリの総合ランキングで1位となり、この原稿を執筆時点でもナビゲーションカテゴリの無料アプリでトップを独走中だ。しかし、無料で使えるカーナビアプリはYahoo!カーナビだけではない。そこで、Google、Appleそれぞれを代表する地図アプリと比較してみた。


◆実はたくさんある? 無料で使えるカーナビアプリ

いまやスマホをカーナビ代わりに活用するのは当たり前になりつつあるが、定番となっている人気のカーナビアプリはちょっと高めの価格設定がネックだ。だからこそ、必要十分な機能を備えながら完全無料を実現したYahoo!カーナビは爆発的な人気を獲得したわけだが、カーナビとして使える無料アプリは決してYahoo!カーナビが初めてではない。

カーナビ代わりに「Google Maps」を使っているという人は多いだろう。基本は地図アプリだが、音声ガイド付きのルート案内機能を搭載しており、カーナビとして利用できる。この機能は2010年頃から搭載され、当初は完成度が低く、カーナビとして使うにはかなり苦しいものだったが、改良を重ねて進化してきた。VICSに頼らない独自の渋滞情報を実現したことは特筆に値するといっていいだろう。

Google Mapsを挙げるなら、その対抗アプリであるiOS標準アプリの「マップ」も忘れてはいけない。ここでは分かりやすいように「iOS マップ」と呼ぶことにしよう。このアプリは「iOS6」のリリース時に目玉機能一つとして鳴り物入りで登場したものの、初期バージョンはバグが多く悪い意味で話題となって悪評が定着してしまった。そのせいであまり使ったことがない人も多いと思うが、最新バージョンはどれほど改良されているか興味のあるところだ。

今回は無料で使えるカーナビアプリとして、Yahoo!カーナビとGoogle Maps、iOS マップを比較してみる。今回使用したのはすべてiPhone版だ。


◆意外と多機能で使えるGoogle Mapsだが、Yahoo!カーナビと比較すると…

まず、無料で使える地図アプリの元祖ともいえるGoogle Mapsから使ってみた。このアプリは今年5月に刷新され、カーナビ機能も強化されたばかり。どのくらい進化したのか興味あるところだ。まず、目的地検索を行う。フリーキーワードが基本だが、実はジャンル別検索や周辺施設の検索もちゃんとあり、検索した目的地の登録もできる。UI(ユーザーインターフェース)があまりにも簡素なので気づいていない人も多いかもしれないが、ひと通りの機能は備えているのだ。

目的地が見つかったら次はルート検索。これも意外と高機能で、複数ルートの同時検索ができる。いつの間にこんなすごい機能を、といいたいところだが、ルートの選び方はちょっと残念なものだ。高速道路を使うルート、使わないルートをそれぞれ検索して欲しいのに、同時検索したすべてのルートが高速道路を使っていたりするのだ。違うのはインターチェンジまでの道順だけだったりするので、あまり意味が無いといわざるをえない。

続いてルートガイドに従って走行してみる。ガイド機能は必要最低限なもので、交差点拡大表示、インターチェンジのイラスト表示、ハイウェイモードは搭載していない。しかし、ルートは白い矢印で示されるのでわかりやすく、画面には目的地までの時間と距離、次に曲がる交差点までの距離と曲がる方向、それに5月の刷新で追加されたレーン表示まである。シンプルながらも必要最低限の機能は揃っているといえる。

ただ、Google Mapsだけを使っていると「なかなか頑張っている」と思うのだが、次に紹介するYahoo!カーナビと比べてしまうと、やはり歴然とした差があると感じてしまう。


◆シンプルながらも普通のカーナビにより近いYahoo!カーナビ

続いてYahoo!カーナビを使ってみた。まず目的地の検索だが、ここにこのアプリの特徴がよく現れている。画面上部のテキストボックスをタップするというGoogle MapsにそっくりのUIだが、タップすると「ジャンル」、「住所」といったボタンが表示され、従来のカーナビアプリに近いUIになるのだ。

他のいろいろな面でも、Yahoo!カーナビはGoogle Mapsと従来のカーナビのいいとこ取りといった印象を受ける。例えばガイド画面にしても交差点の拡大表示はなく、基本的にはGoogle Mapsに近い。しかし、インターチェンジのイラスト表示やハイウェイモードはちゃんと備えている。

ルート検索は「おすすめ」、「高速優先」、「一般優先」の3ルートが同時に検索され、タブをタップすることで所要時間や料金を比較して選択できる。これは非常に便利だ。続いてルートガイドをさせると、前述のとおり基本的にはシンプル。しかしそれは高価な有料カーナビアプリと比較すれば、ということで、Google Mapsとの比較なら様々な情報がわかりやすく表示され、多機能な印象、ということになる。

今回、改めてGoogle Mapsと比較してみて、地図表示の完成度が全く違うことに改めて驚かされた。Yahoo!カーナビの地図はスッキリと見やすいながらも、道路の幅がよくわかるし施設やコンビニなどのショップも適切に表示される。また、上空から見渡す俯瞰視点の表示がうまくできており、前方の様子がよく分かる。これに比べるとGoogle Mapsはスカスカで、表示される道路が幹線道路なのか、裏道なのかもわかりにくい。

インターチェンジのイラスト表示やハイウェイモードもやはり便利だ。Google Mapsのように無ければ無いで慣れてしまうのだが、Yahoo!カーナビを使うと「やっぱり必要だ」と痛感させられ、Google Mapsには戻れなくなる。もっとも、Yahoo!カーナビの「地図を表示しないハイウェイモード」はちょっと割り切りすぎで、やはり地図を表示するハイウェイモードを用意して欲しいところだ。


◆iOS マップ、汚名返上なるか

最後にiOS マップを使ってみた。恥ずかしながら、筆者がこのアプリを起動するのは1~2年ぶり、カーナビ機能である「ターン・バイ・ターン・ナビ」を試すのは初めてだ。どれほど進化しているか楽しみだったのだが、率直に言えば数分の使用で期待は失望に代わったと言わざるをえない。

最初に筆者の自宅から都市部へのルートを検索してみたのだが、ありえないような検索結果になった。不思議に思って地図をよく調べて見ると、自宅から都市部に向かう新しい道路が、iOS マップにはない。カーナビを使っていればこういったことはままあるのだが、この道路は新しいといっても2年以上前に開通したもので、もちろんGoogle MapsにもYahoo!カーナビにも、ほかのどんなカーナビアプリにもとっくに反映されている道路だ。

そこで1年ほど前に開通した新しい高速道路を見てみると、これも反映されていなかった。もっと新しい道路でも反映されている場合もあったので、一律に2年前から更新されていないわけではない。とはいえ、これでは地図として実用にならないと言わざるをえない。

目的地検索はフリーキーワードと履歴のみで、非常にシンプル。ルート検索は複数の同時検索に対応しており、地図上に複数のルートが表示される。そのルートを直接タップすることで、ルートを選ぶことができる。ただし、Google Mapsと同じで、高速道路を使わずに行ける場所でも、高速道路を使うルートばかりが検索されてしまう。Google Mapsではルート検索直前に表示されるオプションによって一般道優先に変更できるが、iOS マップでは、信じられないことに高速道路を使わないルート検索はできない。これは地図の問題と並んで非常に大きな欠点といえる。

ルートガイドについては、とりあえず合格点が出せるレベルにはなっている。音声ガイドも最初のバージョンに比べれば雲泥の差といえるほど改善された。ただ、非常に長ったらしい道路の正式名称が入っているのは相変わらずで、そのせいでセリフがやたらと長い。そのため結果的に聞き取りにくい音声ガイドになっている。

それともうひとつ、ルートガイドをさせていると地図がスクロールしていくわけだが、すると街のあちこちに真っ黒なエリアはいくつも表示される。データが表示されないバグだと思うのだが、あまりにも頻度が高いし目立つ。

iOS マップについては、iOSの音声認識機能「siri」と連携できることも紹介しておかなければならないだろう。siriを起動し、「◯○に行く」といえば、自動的にiOS マップが起動し、ルート検索が行われる。これは非常に便利なのだが、しかし実際に使ってみると「経路が利用できません」と表示されて正常に機能しない。いろいろ試してみると、どうも100kmあたりを境に、それより遠いと正常にルート検索ができるが、近いとダメなようだ。ということは日常の使用ではほとんどダメということになってしまう。


◆地図の違いが使い心地を大きく左右すると改めて実感

当たり前のことだが、カーナビアプリは地図の良し悪しが非常に重要だ。今回3本のアプリを比較してそれを改めて痛感した。Yahoo!カーナビは評価の高いYahoo! JAPANの地図サービス「Yahoo!地図」の地図データを流用せず、別の地図データを採用している。なぜなのかわからないが、いずれにしてもこの地図は過不足ない情報量と表現力を持っている。有料のカーナビアプリとの比較なら殺風景というか、スカスカな感じもあるのだが、実用面で支障があるほどではない。

Google Mapsの地図はさらにシンプルで、これとの比較ならYahoo!カーナビの地図が豪華に見えてくる。ただ、Google Mapsは河川など実際の形に近い、非常にリアルな表示をする。Yahoo!カーナビでは河川の形状がかなり簡略化して表示されており、川幅もほぼ一定で道路のような表示だ。全体に、Google Mapsは様々な用途を想定した汎用的な地図であり、Yahoo!カーナビはカーナビ用途に特化した道路地図だという印象だ。

iOS マップの地図についてはすでに紹介したとおり、基本的な部分に問題があるため評価しにくいが、それを別にして情報量や表現力だけを見れば3本のアプリで最も上をいっている。iPhoneの解像力を最大限に活かして道路を全体に細く表現しているため、情報量を増やしてもスッキリとしていて見やすい。また、かなりズームアウトしても細い道路が省略されず繊細に表現される。

Google MapsやYahoo!カーナビは様々な解像度のディスプレイに対応するため、このような細やかなチューニングができないのではないだろうか。とくにGoogle Mapsは全体に道路が太く表現され、安っぽい印象になってしまうことがある。iOS マップと比較するとはっきりと差が出る部分だ。


◆渋滞を避けて走るならGoogle Mapsが光る

地図と関連してもうひとつ触れておきたいのが、リアルタイムな渋滞情報だ。Yahoo!カーナビとGoogle Mapsがこの機能を搭載している。iOS マップも「交通情報を表示」というメニューがあり、渋滞情報を表示できるはずなのだが、実際には機能していないようだ。

Yahoo!カーナビは渋滞情報としてVICSの情報を利用している。VICSは渋滞情報を収集するための機器を道路に設置しているため信頼性が高く、多くのカーナビが採用しているため安心感もある。しかし、特に都心以外で対応していない道路が多いため、大渋滞しているのに全く表示できない場合がある。

Google MapsはVICSに頼らず独自に渋滞情報を収集している。これはロケーション機能を有効にしたGoogle Mapsユーザーから位置情報を匿名で取得することで実現したもの。この機能は事前にアナウンスなく、ある日突然スタートしたためユーザーの間で大きな話題になった。当初は表示できる道路が限られていたようだが、現在ではVICSより多くの道路を網羅していると思われる。

本来、両者の渋滞情報はある程度似通っているはずだが、実際に使用してみるとかなり違うことに驚かされる。Google Mapsで渋滞している道路がVICSではそうでなかったり、その逆もあるのだ。筆者が使用してみた実感としては、VICSは渋滞の表示がないのに渋滞していた、ということが多く、Google Mapsは渋滞の表示があるのに渋滞していなかったということが多いようだ。

渋滞情報と連動する渋滞回避については、Google Mapsが素晴らしいアイディア機能を搭載している。現在のルートと違うルートを通った場合に所要時間がどのくらい増えるか、減るかを地図上に表示するのだ。例えばルートは直進だが、そのルートが渋滞してきた場合に、左折するルートに「5分速い」といった表示が出る。このUIは非常にわかりやすく、使いやすい。なお、Googleの発表によると、現在のルートより速く到着するルートが見つかった場合、画面下にメニューを表示してルートを変更できる機能が搭載されている。しかし、筆者が使用した範囲ではこの機能が起動したことはない。

Yahoo!カーナビも渋滞情報に基づいた回避ルートの検索ができる。しかし、Google Mapsほど柔軟なルートの選択はできない。もっとも、これはYahoo!カーナビが劣っているのではなく、有料のカーナビアプリでも渋滞回避についてはYahoo!カーナビとほぼ同じだ。

なお、やや蛇足になるが、PNDなどのカーナビ専用機でもほとんどのモデルがVICSによる渋滞情報に対応しているが、ほとんどのモデルは渋滞の表示はできても、それを回避するルート検索はできない。これはほとんどのモデルが採用するVICS多重放送(FM-VICS)が渋滞回避をサポートしないサービスであるためだ。Google MapsやYahoo!カーナビが無料アプリでありながら渋滞回避ができるのは、本当に凄いことなのである。


◆多用途アプリと専門アプリの差が出る

3本のアプリを改めて使ってみて、カーナビアプリとして使うなら「Yahoo!カーナビ」が最も優れていると感じた。まずiOS マップは現在も地図データのクオリティに問題があり、積極的に使う気にはならない。次にGoogle Mapsは決して悪くないのだが、目的地検索のやりやすさ、インターチェンジのイラスト表示ができるルートガイド、情報量が多く、しかも見やすい地図といった点で、いずれも「Yahoo!カーナビ」が確実に優れている。

Google Mapsも渋滞回避の柔軟さなど優れた部分が多いのだが、それでもYahoo!カーナビが使いやすいと断言できるのは、アプリの基本的な属性、生い立ちの問題だ。Yahoo!カーナビは最初からカーナビとして作られたアプリで、それ以外の用途は想定していない。それに対して、Google Mapsはあくまで地図アプリであり、カーナビ機能は「こんな使い方もできる」というエクストラの部分だ。

わかりやすい例として、Google Mapsでは目的地を検索すると徒歩や電車での案内が先に表示されてしまい、アレっとなることがある。当たり前だがYahoo!カーナビではそういったことはない。結局、カーナビとして使うならYahoo!カーナビが使いやすいのだ。

もちろん、Google Mapsは徒歩ナビや乗り換え案内もこの1本で済むということをメリットと考えることもできるし、海外でも使えるといったメリットもあるので、そういった点を重視するなら常用するのもいいであろうが、Yahoo!カーナビと併用させて損はないだろう。とはいえ、カーナビを触れたことがない人でも違和感なく操作できるユーザーインターフェース、信頼性の高いVICS交通情報対応、豊富で実用的なオンライン情報など、ナビとしての総合力を見れば、多くの人に勧められるのはYahoo!カーナビだ。今後、ナビゲーションのベンチマークとしてYahoo!カーナビが位置づけられることになるのは確実だろう。
《山田正昭》

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