Google Mapsを挙げるなら、その対抗アプリであるiOS標準アプリの「マップ」も忘れてはいけない。ここでは分かりやすいように「iOS マップ」と呼ぶことにしよう。このアプリは「iOS6」のリリース時に目玉機能一つとして鳴り物入りで登場したものの、初期バージョンはバグが多く悪い意味で話題となって悪評が定着してしまった。そのせいであまり使ったことがない人も多いと思うが、最新バージョンはどれほど改良されているか興味のあるところだ。
Google Mapsの地図はさらにシンプルで、これとの比較ならYahoo!カーナビの地図が豪華に見えてくる。ただ、Google Mapsは河川など実際の形に近い、非常にリアルな表示をする。Yahoo!カーナビでは河川の形状がかなり簡略化して表示されており、川幅もほぼ一定で道路のような表示だ。全体に、Google Mapsは様々な用途を想定した汎用的な地図であり、Yahoo!カーナビはカーナビ用途に特化した道路地図だという印象だ。
Google MapsはVICSに頼らず独自に渋滞情報を収集している。これはロケーション機能を有効にしたGoogle Mapsユーザーから位置情報を匿名で取得することで実現したもの。この機能は事前にアナウンスなく、ある日突然スタートしたためユーザーの間で大きな話題になった。当初は表示できる道路が限られていたようだが、現在ではVICSより多くの道路を網羅していると思われる。
Google Mapsも渋滞回避の柔軟さなど優れた部分が多いのだが、それでもYahoo!カーナビが使いやすいと断言できるのは、アプリの基本的な属性、生い立ちの問題だ。Yahoo!カーナビは最初からカーナビとして作られたアプリで、それ以外の用途は想定していない。それに対して、Google Mapsはあくまで地図アプリであり、カーナビ機能は「こんな使い方もできる」というエクストラの部分だ。