ターゲットカスタマーは「British Villain」!? 世で言われる“ちょい悪何とか”には個人的にはまったく興味はなくなったが、ピリッと刺激を求める貴殿にどうぞ…ということなのだろう。日常が十分に刺激的なレポーターには、むしろ優雅の象徴に思える。さらにポルシェや『GT-R』のような「やる気満々ですね?」の見え方とは少し違うところもいい。しかもクーペとなるとコンバーチブルより“華”が抑えられている。2シーターであることも含め、ストイックですらあって、自分主義的なところが持ち味というべきか。味見程度の都内の短時間試乗ながら、仕立てのいいスーツや靴は着用した瞬間に良さがわかるように、いい、と思えた。とくに、従来の『XK』以上に、スムースな乗り味と洗練された敏捷性を両立させているのがいい。手元スイッチで即座に切り替え可能な“ダイナミックモード”は、山岳路など然るべき道で、3リットルのV6スーパーチャージャー(380ps/460Nm)の動力性能も足も本領を発揮することだろう。対して標準モードでは出足からごくスムースなマナー。それと排気音だが“直管”になるというモードを使うと、フォーン! と遥か遠くまで音を響かせる、スーパースポーツカーのそれになる。前後オーバーハングが短いクリーンでシャープなスタイリングも魅力的。コンバーチブルとはリヤフェンダー形状は違っているのだそうだ。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。