じつは最近のマツダ車にかなり興味がある。特に『アテンザ』のデザインは秀逸だと思う。日本もそうだが海外でその姿が視界に入ると必ずと言っていいほど目で追いかけてしまう。リアエンドに付く『マツダ6』のエンブレムを見送りながら、マツダに対する期待が膨らむ瞬間だ。デミオもまたうまくそれを継承した。プレゼンテーションによれば躍動する動物のアテンザとは違った動きを表現したものらしいが、こいつもまたリアフェンダーの膨らみなどいい感じに仕上がっている。フロントマスクから流れるような造形は躍動感がある。しかもこのボディが予想以上に堅牢にできている。今回2つのエンジンを楽しみに試乗会へ臨んだが、走り出してすぐ感じたのはボディ剛性の高さだった。開発に関して高張力鋼板を多く使うとともに、通常より溶接部を増やしたそうだ。どんなに素晴らしいエンジンを搭載しても受け止めるシャシーフレームがしっかりしていないと意味がないことを再認識させられた。よって、ハンドリングは軽快だし、ボディの一体感は強い。『アクセラ』の2.2リットルの小排気量版となる1.5リットルディーゼルを走らせたときそのマッチングがいいことを実感した。1トンちょっとの重量とそれを軽々しく走らせる太いトルクは走っていて気持ちがいい。マニュアルシフトを操作してもそうだし、オートマでも十分出だしから早く走れる。ガソリンの1.3リットル車も非力なところはない。というか、1.5リットルを乗らなければなんら不服はなかった。高回転域までスムーズにまわる。マツダのエンジン開発陣は相当クルマ好きの集まりなんだろう。このまわり方はコンパクトカーとして理想的だ。■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★九島辰也|モータージャーナリスト東京・自由が丘出身。新車のインプレッションから海外ブランドのヒストリー、カーカルチャーまで幅広く活動。特に英国車、英国文化に造詣が深い。趣味はゴルフとマリンスポーツ。日本葉巻協会員。