【スバル レヴォーグ 1.6GT 試乗】 幅広いユーザーに向くジャストサイズワゴン…青山尚暉

試乗記 国産車
スバル・レヴォーグ1.6GT
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「25年目のフルモデルチェンジ」をうたう『レヴォーグ』は『レガシィ ツーリングワゴン』の国内専用となる後継車。

ラインナップは1.6リットルターボ(170ps)のGT、GT-EyeSight、GT-S EyeSight、および2リットルターボ(300ps!)のGT EyeSight、GT-S EyeSightがそろい、それぞれが明確なキャラクターを持つのも大きな特徴だ。ここではまず、1.6GT系をリポートしたい。

全5モデルを用意するレヴォーグは1.6GTを除き、すべてアイサイトVer.3を搭載する。スバル車のアイサイト搭載比率の多さ(約75%)を象徴するとともに、時代に合った装備基準と言える。

レヴォーグのキャラクターを端的に表すのがその呼び方だ。「REAL SPORTS TOURER」。そう、ワゴンとは大々的に呼んでいない。

ボディーサイズは全長4690×全幅1780×全高1485~90mm。ホイールベース2650mm。5代目レガシィが同4790×1780×1535mm。ホイールベース2750mmだから、全長と全高、ホイールベースのみダウンサイズされたわけだ。全長だけ見れば、3、4代目レガシイに近い。

170psを発生する1.6リットルターボはもちろん水平対向ユニット。最高出力は2.5リットル級である。ミッションはCVT=リニアトロニックのみ。1.6リットル系のAWDシステムは2.0リットル系のVTD-AWDとは違うアクティブトルクスプリットAWDである。

フロントシートはGT系の「スタンダード」とGT-S系の「スポーツ」の2種類があるが、スタンダードの掛け心地は背もたれの分厚いクッション感と適度なサポート性が心地良い。ドライバーの上半身がシートに優しく包み込まれるような感覚だ。

メーター回りはやや平板な印象。ナビ画面は7インチ。最新モデルとしては小さめ。ナビ回りのフレームが7インチ基準で造られた『インプレッサ』のものというのがその理由とか。

最初に言ってしまえば、特別にスポーティーなスペックを望まない幅広いワゴンユーザーに向いているのがこの1.6GT系だ。

パワステは終始軽めの設定。17インチタイヤを履く乗り心地はドイツ製コンパクトワゴンを思わせるダンパーのスムーズさが際立ち、シリーズ中、もっともマイルド。荒れた路面や段差、マンホール越えなどのシーンでも足回りがしなやかにいなし、路面を問わない快適感ではベストと言っていい。

ただし、後席の乗り心地、快適度は平凡。ビルシュタインダンパーを装着するGT-S系に差をつけられる印象だ。

動力性能にも不足など感じられない。アクセルレスポンスは穏やかだが、1000回転台から爽(さわ)やかにトルクが立ち上がり、2500回転を超えたあたりからさらにトルクが増してくる。とにかくウルトラスムーズに回り、不快な振動やノイズとは無縁。そして素晴らしく静かだ。

とはいえ、3000回転を越えると水平対向らしい鼓動が気持ち良く、しっかりと伝わってくる"演出"は見事というしかない。スバリストも納得だろう。

GT系のSIドライブはI(インテリジェント)とS(スポーツ)の2モード。2リットルモデルのように、Iモードでも恐ろしく速い…わけではないが、ステアリングスイッチでSモードに入れれば俊敏な加速性能を発揮する。箱根の山道を登ってもまったくストレスを感じずに済むほどだ。ただし、1.6リットルエンジンは比較的回転を上げて走るタイプではある。

操縦性は軽快感と低重心感覚の強さ、そして爽快感が持ち味だ。スタビリティは鉄壁。ヘビーウェット路面、高速走行での安心感の強さにはほれぼれさせられた。

1.6GTでお薦めなのは、もちろんアイサイトVer.3搭載モデル。レス仕様との価格差は10万8000円。それで先進の安全安心機能が手に入るのだから、安いものである、というか、レヴォーグはアイサイト付きが標準仕様と考えたい。例えばライバルの1台と言えるVW『ゴルフ』7 ヴァリアントあたりは衝突軽減ブレーキが標準だからでもある。

ワゴンのお約束装備と言えるルーフレール、パーテーションネットは現行レガシィ同様、オプションでも用意されない。ワゴンではなく、「REAL SPORTS TOURER」ゆえの考え方なのだろう。ただし、ルーフキャリアは装着可能だ。後席エアコン吹き出し口もないから、そのあたり、ワゴンのヘビーユーザーはどう感じるだろうか…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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