現地1日、インディカー・シリーズ第7戦決勝が米ミシガン州デトロイトのベル・アイル・レースウェイで開催された。ポール発進の佐藤琢磨は他車との交錯が2度あるなどして、最終順位は18位。エリオ・カストロネベスが今季初勝利を飾っている。
市街地特設コースでの土~日ダブルヘッダー、その2日目である第7戦の予選で今季2度目のポールを獲得した琢磨(#14 A.J. Foyt Racing/ホンダ)は、決勝スタートでも先頭をキープ。序盤は着実にトップを走っていた。70周のレースが10周目を迎えた頃に発生したフルコースコーションの際、ここで琢磨を含む何台かのマシンがピットストップへ。燃費的には2ストップで走れるので、このタイミングでピットすると計3回のストップが必要となる可能性が高いが、これはソフトとハード、両スペックのタイヤを必ず使わなければならない規則を睨み、この日のレースコンディションには不向きなソフトタイヤでの走行距離を短くする狙いの戦略だった。琢磨の見た目の順位は下がり、同じ戦略を採ったカストロネベス(#3 Team Penske/シボレー)にも先行を許しはしたが、最終的に勝者となる彼ともまだ充分争える状況にあった。
ところがレースがハーフウェイに差しかかった頃、2度目のピットもこなした琢磨を最初の不運が見舞う。ライアン・ブリスコー(#8 Chip Ganassi Racing/シボレー)、ジャック・ホークスワース(#98 BHA/BBM with Curb-Agajanian/ホンダ)との交錯でスピンを喫し、大きなロスを被ってしまったのだ。ブリスコーに原因があるように見えたアクシデントだったが、ペナルティ発令はなかった模様。ここで琢磨の上位フィニッシュの可能性はほぼ絶たれてしまう。
それでも粘り強く戦い、琢磨は終盤残り7周でのフルコースコーション明けのリスタートをトップ10目前のポジションで迎えた。しかし今度はマルコ・アンドレッティ(#25 Andretti Autosport/ホンダ)に当てられるかたちで、タイヤバリアにヒット(アンドレッティにペナルティが出たようだ)。1周遅れで走り切った琢磨の最終順位は22台中18位で、結果的には前日の第6戦と同じ順位だった。
レース後、琢磨は「今日、素晴らしいマシンを作り上げてくれたクルーたちに、まずは感謝したいと思う」と語った。そして2度の接触については、「実質的な2位を走行していた(と考えられる)時に、ターン3のブレーキングで後方からブリスコーにぶつけられた。勝てていた(手応えのある)レースだった。その後もトップ10に復活する寸前までいったけれど、今度はアンドレッティにヒットされて壁(タイヤバリア)にぶつかる結果に。完走することはできたが、苦々しい思い」と、無念の心情を吐露。それでも「チームは本当に素晴らしい仕事ぶりを発揮してくれた」と陣営の努力を強調し、次戦以降あらためて通算2勝目を目指す構えを見せている。次こそは運も味方してくれることを祈りたい。
優勝はカストロネベスで今季初。2位にはウィル・パワー(#12 Team Penske)が入り、シボレーエンジン搭載のペンスキーチームが1-2を達成した。3位はチャーリー・キンボール(#83 Chip Ganassi Racing)、4位はスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing)で、ここまでがシボレー勢。ジェームス・ヒンチクリフ(#27 Andretti Autosport)の5位が最上位だったホンダにとっては、今季初めて表彰台圏内(3位以内)に1台も入れない結果となった。
ポイントリーダーだったライアン・ハンターレイ(#28 Andretti Autosport/ホンダ)はマシントラブル等で完走ならず19位。この結果、パワーがポイント首位に浮上している。2位はカストロネベスで19点差、ハンターレイはパワーから27点差の3位に後退した。
インディカー・シリーズの次戦第8戦は翌週末。現地7日決勝の日程で、テキサス・モーター・スピードウェイにて開催される。