インディカー・シリーズの第6戦が5月31日(現地時間)、ミシガン州デトロイトで開催された。佐藤琢磨は早期のギヤトラブルで勝負権を失い、翌日の第7戦に向けての“実戦試走”に徹することとなったが、そのなかで明るい兆しも見えてきつつあるようだ。
ベル・アイル島に特設された市街地コースで、土~日にそれぞれ予選&決勝をこなすというタイトスケジュールのダブルヘッダー。琢磨(#14 A.J. Foyt Racing/ホンダ)は予選15位から上位進出を狙っていたが、序盤でギヤのトラブルが出てしまい、70周レースの11周目にギヤボックス交換で実質4周をロスするという厳しい展開を強いられた。この時点でレース1(第6戦)の勝負権はなくなったが、翌日にレース2(第7戦)があることを考えれば、もちろん「そこからはテストセッションとして走った」というかたちになる。
そして琢磨は「自分たちのマシンが、非常に限られたコンディションにおいてのみスピードを発揮していることが分かった」という。「ハードタイヤで、路面コンディションがいい時には速かったと思う。レース中盤、一時的にだけど、とてもいいハンドリングになった。その点を活かしたマシンにすることで、明日のレースを戦いたい。これからまたデータを研究し直して、明日に備える」。実戦試走のなかで見えてきた光明、それがレース2での挽回につながることを期待したい(レース1の最終順位は18位)。
レース1はエリオ・カストロネベス(#3 Team Penske/シボレー)が支配する展開に終始するかと思われたが、後半のフルコースコーションがタイミング的に不利に働いた面があるなどして、終わってみれば彼は5位。終盤はウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)とグレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)のトップ争いとなり、パワーが先頭を守りきって今季2勝目を挙げた。シボレーが“お膝元”のデトロイトで勝ってホンダ勢の連勝を3で止め、今季対戦成績を3勝3敗としている。
惜しくも2位だったレイホールは「勝てると思って走っていた。前を行くライバルと同等の速さのマシンに仕上がっている、という自信もあった」が、パワーをパスすることは叶わなかった。しかし、今季初の上位成績に「ようやく自分たちのシーズンが始まったと感じている」と、喜びと充実感を漂わせてもいた。
3位にはトニー・カナーン(#10 Chip Ganassi Racing/シボレー)が入り、4位はジャスティン・ウィルソン(#19 Dale Coyne Racing/ホンダ)。前戦インディ500を勝ってシリーズポイントリーダーにも浮上していたライアン・ハンターレイ(#28 Andretti Autosport/ホンダ)は最終周にクラッシュするなどして16位だったが、それでもシリーズ首位の座は守っている(同2位はパワー)。
第7戦は翌日(現地6月1日)、同じくベル・アイル・レースウェイで開催される。