「スマホの次に来る大波」…ウェアラブルデバイス、国内500万台普及に向けた鍵と課題

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野村総合研究所(NRI)主催の「ITロードマップセミナー SPRING 2014」(ウェアラブルコンピューティング時代の幕開け」)
  • 野村総合研究所(NRI)主催の「ITロードマップセミナー SPRING 2014」(ウェアラブルコンピューティング時代の幕開け」)
  • NRIの基盤ソリューション企画部 上級研究員の亀津敦氏
  • 野村総合研究所(NRI)主催の「ITロードマップセミナー SPRING 2014」(ウェアラブルコンピューティング時代の幕開け」)
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5月27日、東京国際フォーラムにて野村総合研究所(NRI)主催の「ITロードマップセミナー SPRING 2014」が開催された。自動車業界との関連を踏まえながら、講演の内容についてレポートしたい。


◆2018年には国内でも500万台規模の市場に

「ウェアラブルコンピューティング時代の幕開け」と題する講演をおこなったのは、NRIの基盤ソリューション企画部 上級研究員の亀津敦氏。

亀津氏は冒頭、ウェアラブルデバイスがここに来て普及しつつある背景にはスマートフォン/タブレットの普及が成長期から成熟期に移ってきたという状況があると指摘。「スマートフォンやタブレット市場の成熟により、コンテンツやゲーム、ビジネスITソリューションなど、スマートフォンを活用した周辺のサービスビジネスが生まれている。ウェアラブルデバイスが次のビッグトレンドとして技術的にもビジネス的にも注目が集まりつつある」(亀津氏)。2014年の国内出荷は63万台程度と見られているが、4年後の2018年には475万台まで拡大すると予測されているという。

ウェアラブルデバイスの普及を後押しする技術的な理由としては、「高速通信環境がもたらしたテザリングによる“AlwaysOn”」と(2)「Bluetooth 4.0 LE(Low Energy)の登場に代表される省電力化の実現がある」と亀津氏は説明する。


◆「皮膚に接触する1mmの奪い合い」がウェラブルデバイスの普及を押し上げる

ビジネスサイドから見たデマンドとしては、「アテンション(注目)を集めるための手段」としてウェアラブルデバイスの活用が期待されているという。「コンシューマー向けのサービスは、その存在をどのように気づいてもらって、いかに会員になってもらうかが鍵になる。PCからスマートフォン、そしてウェアラブル端末へと、消費者に気づきを与えるという観点で人間にどんどん近づいている。いまではアテンションを巡る競争は瞳の前1cm、皮膚に接触する1mmの奪い合いにまで到達している」(亀津氏)。

技術的なバックボーンやビジネスとしての期待は十分に高まっているウェアラブル端末だが、まだ本格的なビジネス機会の創出までには至っていないというのが実情だ。とはいえ、注目に値する目新しいサービスもいくつか登場してきている。
・航空会社がスマートウォッチ上に搭乗券のバーコードを表示するアプリケーションを提供
・スマートグラスの透過ディスプレイに銀行の残高情報を表示させる
・航空会社の上級顧客に対して、スマートグラスを装着したコンシェルジュが目的地の情報提供やチェックインサポート、ラウンジへの案内などパーソナライズサービスを提供
といったサービスだ。

しかしながら、これらのtoCサービスはそれ自体を価値を持たず、「イノベーティブな技術を採用し、先進企業として他社と差別化することが狙い」(亀津氏)にとどまっている。一方でtoBサービスにおいては、JALとNRIがスマートグラスを活用して航空機整備の効率化・安全性の改善を図る実証実験をおこなうなど、業務改善のヒントにもなるウェアラブル端末の利用事例がいくつか出てきているという。


◆PC/スマートフォンとは全く異なる操作体系

では今後、ウェアラブル端末はどのような技術的進化を遂げていくのだろうか。亀津氏は、技術的なトピックとして「グラス型端末が実現するユーザーインターフェースの(UI)の革新」「画像認識や音声認識に代表されるNUI(Natural User Interface)の進化」を挙げる。

Google Glassに代表されるグラス型端末が実現するUIの革新については、表示系の画面サイズや物理的なインターフェースの制約から、従来のPCやスマートフォンとは全く異なる操作体系を用意しなければならなくなったと指摘。

「ヘッドアップで見せられる情報には制約があり、目の前に大量の情報を表示させるには無理がある。米国では“消えていくUI”と呼ばれているが、この様なデバイスの場合ユーザーのコンテクストを理解した上で最低限の情報を出すことが肝要になる」(亀津氏)。

また音声認識については、カーナビなどで一般的な入力形態だったこれまでのコマンド型(「目的地」「自宅」というとメニューが開く)に代わり、AppleのSiriに代表されるような自然会話によるエージェント型(「○○に行きたい」「この近くにある安いラーメン屋を探して」)のサービス需要が高まってくると述べる。Siriに音声認識技術を提供しているニュアンスや、NTTドコモの「しゃべってコンシェル」に音声関連技術を提供しているフュートレックなどがこの分野では有名だ。

これ以外にも、iOS 7に搭載されたマイクロロケーションサービスのBluetooth Beacon(Appleでの名称は「iBeacon」)を活用した接近検知のサービス想定事例も紹介された。これは、来店などをiBeaconで検知してクーポン情報をスマートグラスのヘッドアップに表示させたり、実際に商品に目を向けた際に当該商品の口コミ情報を表示させる、というものだ。Bluetooth Beaconについては、2013年の10月に米国のエスティモートがボタン電池2年間駆動できる「Estimote Beacons」をリリースして話題を呼ぶなど注目が集まっている。


◆社会的な受容と市場拡大が平行して進む

このように、技術的な要素も整いつつあるウェラブルデバイスとその周辺ビジネスだが、解決すべき課題も少なくない。コンシューマーへの普及という点では、販売価格の問題はあるが、「GoogleやAppleなどすでに大量のコンシューマー顧客基盤を持つ企業が発売すれば劇的に価格は下がる」(亀津氏)と述べ、コスト的な課題解決は時間の問題と見る。一方で、スマートグラスについては付属するカメラによって「監視されている」という印象を与え、プライバシーに不安を抱く人が多いと指摘。また飲食店や映画館での入店拒否や、交通違反など、社会的に受容されなければ普及は足踏みする可能性もあると述べる。

しかし、この手の革新的デバイスは、過去にもヘッドフォンステレオやスマートフォン/タブレットを見るように、「ウェラブルデバイスも普及によって自然にルールが形成されていくこともあり、今後はB2Bでの特定用途の利用から、スマートフォンのセカンドスクリーン的な利用を経て、2018年頃にはセンサー/クラウド連動の本格的なアプリケーションサービスが普及していくだろう」と今後の見立てを述べて、講演を締めくくった。

講演では直接触れられることはなかったが、スマートグラスがもたらすユーザーエクスペリエンスが、来たるべき自動車の自動運転時代における操作インターフェースに少なからず影響を与えることは想像に難くない。ウェアラブルデバイスの技術を裏支えする企業の多くが車載分野にも参入していることからも分かるように、2020年代の自動運転時代に向けた開発・サービス競争は熾烈さを増している。ウェアラブルの普及拡大とモビリティの進化は密接に結びついていることを再認識させられた講演だった。
《北島友和》

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