【VW ゴルフ ヴァリアント 試乗】 ワゴンの本質を問い直す高い機能性持つ1台…中村孝仁

試乗記 輸入車
VW・ゴルフ ヴァリアント
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  • レザーシートはオプション

近年、ワゴンというジャンルのモデルの性格が変わってきている。しかし『ゴルフ ヴァリアント』は、そんなワゴンの本質を問い直す極めて高い機能性を持った1台だった。

かつて、ワゴンといえば広いラゲッジスペースを持ち、セダンにはない高い機能性とユーティリティーを備えたモデルだった。しかし、ミニバンやSUVなどの台頭で、ワゴンそのものの存在意義が問われ、最近のワゴンはスポーティーでスタイリッシュなデザインを主張するモデルが多く、本来の高い機能性が損なわれている現実がある。代表的な例としては、かつてワゴンといえばこのメーカーといわれるほどワゴンづくりが上手かったボルボ。その高い機能性と使い勝手の良さは秀逸だったのだが、今はすっかりデザイン優先のモデルが主流を占め、肝心のラゲッジスペースの容量は極端な話、セダン並でしかない。

新しいゴルフ ヴァリアントは、本来持っていたはずのワゴンの本質を問い直したモデルといって過言ではない。ラゲッジスペースの容量は5人乗車状態でも605リットルを確保。実際ゴルフバックを積んでみたが、楽々と飲み込み、こうしたレジャーの友として強い味方になってくれる。勿論後席は6:4の分割可倒式で、シートを畳めば最大容量は実に1620リットルにも達する。この数値、実にBMW『5シリーズ ツーリング』のラゲッジスペースに匹敵するのだから恐れ入る。

ゴルフは日本カーオブザイヤーを、輸入車として初めて獲得したモデル。その完成度の高さや装備内容は、今や高級車と呼んでも過言でないほどの充実ぶりだ。今回試乗したのは上級のハイラインと呼ばれるグレードだが、オプションのアダプティブシャシーコントロールや電動パノラマスライディングルーフ、レザーシートなどを備えた試乗車は、デザインこそ地味ながらまさに一クラス上を実感させる走りと快適さを備えていた。

信じ難いのはこの価格帯にもかかわらず(269.5万円~)全車速追従型のアダプティブクルーズコントロールや、積極的にステアリングに介入してくるレーンキープアシスト、あるいはハイブリッドでもないのにエネルギー回生システムなどを備えること。スタート/ストップなどは当たり前、さらに駐車をアシストするパークディスタンスコントロールまで標準装備する。

アダプティブシャシーコントロール(DCC)は、コンフォート、ノーマル、スポーツ、エコ、カスタムから任意の設定をチョイスでき、それぞれ、シフトタイミングやダンピングフォース、ステアリングのアシスト量などが変えられる。さすがにコンフォートモードは快適そのもので、その乗り味はまるで大型車のよう。確かに旧型比で全長で30mm、ホイールベースで60mm拡大しているとはいえ、感覚的にはそれ以上のサイズ感を感じるものだった。しかもスポーツを選択するとかなり高回転まで引っ張るシフトプログラムの設定や、重めになるステアリング、足のセッティングなどで、ワゴンとはいえ十分にスポーティーに走ることが出来る。重心高はハッチバックと同等だから、SUVのようなロール感はなく、安心感も高い。

ワゴンは本来セダンの快適性に高いユーティリティーを兼ね備えたモデルだった。ゴルフバリアントはまさにその原点に立ち返ったモデル。すぐれた使い勝手と手ごろ感のあるサイズは、やはり一番高い機動力を持つ。1台で済まそうと思うとワゴンが良いと感じさせてくれるモデルだった。

パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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